故エリザベス女王が現地時間8日に逝去してから初めての週末を迎えた日曜日、バッキンガム宮殿前に長蛇の行列ができた。最寄駅からは道路が規制されて一方通行となり、花束を持った弔問客が2時間かけて宮殿前へと歩いていった。
【この記事の他の写真を見る】
英時間11日の午前10時30分、ロンドンの地下鉄グリーンパーク駅を降りると、多くの人々がバッキンガム宮殿に向かった。
駅を出ると宮殿へと通り抜ける王立公園「グリーンパーク」があるが、周囲にはフェンスが立てられて一方通行になっている。
晴天だったこの日は家族連れが多く、ベビーカーを押したり愛犬を連れて列に参加する人が多く見られた。グリーンパークを抜けた後に並木道「ザ・マル」を渡ると、セント・ジェームズ・パークの行列と合流してバッキンガム宮殿へと向かうという遠回りする道のりだ。
人々はもの静かに並んでおり、周囲の写真を撮ったり子供に話しかけるなど穏やかな雰囲気だった。小さな子供が肩車をされて、嬉しそうに遠くの景色を眺める姿も見られた。
群衆の中からは「行列に並ぶのなんて、気にならないね」と話したり、子供達に「がんばったわね。もうすぐよ」と励ます声が聞こえるなど誰もが女王に敬意を払うことを重んじている様子だった。
行列は止まったり動いたりで、宮殿前に着くまではおよそ2時間を要した。午後0時30分頃に宮殿前に着くと、ゲート前には今日置かれたばかりの花束やカードが並べられていた。
宮殿前では、エリザベス女王が崩御した8日から大量の献花で溢れ返ったため、現在はグリーンパークへと移動されている。
沿道に立ってしばらくすると、ザ・マルからカミラ夫人を乗せた黒い車が入って来た。この少し前には、チャールズ国王が車の中から手を振って宮殿に入って行ったそうだ。この日の午後、国王は英連邦事務総長と謁見し、英連邦国からの来賓を迎えたレセプションを開催した。
宮殿前は入場を制限しているため、いつもよりもごった返しておらず平和的な雰囲気だった。
しばらく過ごしたあと再びグリーンパークに戻ると、公園内には木の周辺や通りに花束がびっしりと並べられ、それらを見物する人々で溢れ返っていた。
花束にはエリザベス女王の写真や手書きの手紙やカードのほか、コーギー犬やパディントンベアのぬいぐるみ、キャンドルやユニオンジャックなどが供えられていた。
ある子供からのカードには「親愛なる女王陛下へ。70年間女王でいてくれてありがとう。天国でゆっくり休んでくれることを願います。あなたのことをずっと思っています」とメッセージが記されていた。
当日、王立公園は声明文を発表し「テディベアや風船など、花以外のものは供えないように」と伝えた。花束は女王の葬儀が執り行われる19日以降に堆肥化するため、包装パッケージを取り省いて置くように要請している。
(TechinsightJapan編集部 取材・撮影・文:寺前郁美)