ねぐせ。「グッドな音楽を」がTikTokチャート好調 音楽を心の支えとするリスナーへ捧げるような一曲

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2022年09月13日 12:21  リアルサウンド

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ねぐせ。『ワンダーランドに愛情を!』

参照:https://www.billboard-japan.com/charts/detail?a=tiktok&year=2022&month=09&day=12


 Billboard JAPANの「TikTok Weekly Top 20」は、TikTokにおける視聴数のみならず、楽曲がどのように使われて視聴されているのかを示す指標を元に作られたランキング。同チャートの9月7日付のTOP10は以下の通り。


1位:THE SUPER FRUIT「チグハグ」
2位:ねぐせ。「グッドな音楽を」
3位:佐藤千亜妃「夜をループ」
4位:星野源「異世界混合大舞踏会 (feat. おばけ)」
5位:ぼっちぼろまる「タンタカタンタンタンタンメン」
6位:DINDIN「I’m not myself when I’m around you (Feat. 10CM)」
7位:Ado「新時代 (ウタ from ONE PIECE FILM RED)」
8位:水曜日のカンパネラ「エジソン」
9位:Snow Man「JUICY」
10位:Repezen Foxx「XOXO (feat. SPRITE)」


 今週のTikTok Weeklyチャートは、3週連続で首位を獲得した7人組の新ボーイズグループ THE SUPER FRUITによるインディーズデビューシングル曲「チグハグ」を先頭に、3位にはきのこ帝国の佐藤千亜妃のソロ楽曲「夜をループ」が、10位にはYouTuberのDJ社長を中心としたユニット Repezen Foxxがタイ出身のラッパー SPRITEを迎えた「XOXO (feat. SPRITE)」が初登場している。水曜日のカンパネラ「エジソン」、Ado「新時代 (ウタ from ONE PIECE FILM RED)」、DINDIN「I’m not myself when I’m around you (Feat. 10CM)」のようなロングヒット楽曲もしっかりランクインするなか、着実に順位を上げているのは、ねぐせ。「グッドな音楽を」だ。初登場で13位にチャートインして以降、先週6位、そして今週の2位へと徐々に順位を上げている。


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 ねぐせ。は、ギター担当のなおや、ドラムス担当のなおと、ベース担当のしょうと、そしてギターボーカルのりょたちによる名古屋発の4ピースバンド。2020年8月結成の若手バンドだが、『VIVA LA ROCK 2022』に出演を果たしただけでなく、惜しくも台風で中止となった幻の『ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2022』最終日に出演が決まっていたなど、大型音楽フェスへの参入から、各地での地道なライブ活動が実を結んできていることがわかる。そんな人気急上昇の彼らは、5曲入り3rdミニアルバム『ワンダーランドに愛情を!』を9月14日にリリースする。今週2位にランクインした「グッドな音楽を」は、7月27日に配信リリースされており、このミニアルバムにも収録されている。YouTubeにアップされたMVの再生回数は、すでに40万回再生を突破するなど、彼らのディスコグラフィのなかでも人気の高い「スーパー愛したい」に続くさらなるヒットの兆しが見えている。


 また、MV内でメンバーがサビに合わせて振りを踊っているが、TikTok上で同曲が広まっている要因はここにあると思われる。キャッチーなメロディに乗った〈ホットでグッドな音楽を/歌い続けてみたらいい〉というストレートなメッセージに、簡単な振りが合わさることでユーザーの目に留まり、TikTokで大きな広がりを見せているのだろう。


 楽曲に着目すると、1960年代から70年代にかけて活躍したイングランドのロックバンド T. Rexによる「Get It On」のリフをオマージュした印象的なイントロからはじまる。サザンオールスターズの「ロックンロール・スーパーマン 〜Rock’n Roll Superman〜」でも「Get It On」のリフが引用されていることもあり、耳馴染みがある方も少なくないだろう。まさにご機嫌でロックな幕開けを飾るイントロは、〈ロックでキュートな音楽を/掻き鳴らし続けてみたらいい〉という歌詞とも呼応しているようだ。


 シンプルなギターバンドサウンドではあるものの、むしろシンプルがゆえに音楽を奏でることへの初期衝動を感じさせるこの楽曲。サビ以外でも、〈ヘッドホン爆音塞がる心/ネガティブ人間でごめんなさい〉といった歌詞から、音楽との親密な関わり方が浮かび上がってくる。神聖かまってちゃんの「ロックンロールは鳴り止まないっ」に通じるような、音楽へのエモーショナルな初期衝動とセンチメンタルが混ざり合う世界観に思わず自らを投影せずにはいられない。そして〈落ち込んでいるとき真っ当に/向き合えるものはこれしかない!〉〈気が沈んだ時こそ聞いてみよう/音楽にはそんな力がある〉という歌詞を、音楽を心の支えとしているすべての音楽リスナーに捧げたい。この楽曲は「グッドな音楽を」奏でつづけるというねぐせ。の意思表明であり、最高の音楽讃歌だ。(Z11)


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