「男性の排尿トラブル」放置すると症状悪化も 4つのタイプ別の漢方養生法を専門家が紹介

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2022年09月25日 07:00  AERA dot.

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気になる症状は早期に、積極的に対処しましょう ※写真はイメージです (c)GettyImages
排尿のトラブルは多くの人が経験するものですが、男性の場合は前立腺の肥大が原因となっていることも少なくありません。気付かぬまま過ごすケースも多い病気ですが、放置すると症状の悪化を招いてしまう心配も。“歳だから仕方がない”と軽視せず、気になる症状があれば積極的に対処しましょう。日本の漢方のルーツである中国伝統医学「中医学」には、前立腺の不調を整える養生法があります。本記事では4つのタイプ別に【前立腺肥大症の対処法】を紹介します。


■加齢とともに増える「前立腺肥大症」


 前立腺は、精液の生成に関わる男性生殖器の一つ。尿道を囲む位置にあり、排尿のコントロールにも関係しています。


 前立腺の不調には、急性前立腺炎、慢性前立腺炎などの症状がありますが、中でも多く見られるのは「前立腺肥大症」。加齢による男性ホルモンの低下が要因の一つと推測されていて、50代で20〜30%、80代では80〜90%に見られるとされています。主な症状は、尿が出にくい、尿が途切れる、頻尿、残尿感など。前立腺が肥大すると尿道を圧迫し、膀胱を刺激するため、さまざまな排尿トラブルが現れます。


 中医学では、前立腺の問題は五臓の「腎」と深く関係していると考えます。腎は人の発育や生殖、排尿のコントロールなどに関わる臓器。そのため、加齢によって腎の働きが衰えると前立腺や排尿のトラブルが起こりやすくなるのです。また、血流が滞る「お血(おけつ)」、身体に余分な水分や汚れが溜まる「痰湿(たんしつ)」、過剰な熱がこもる「熱うつ」などの体質も、前立腺の不調を引き起こす要因となります。


 前立腺肥大症を放置すると、膀胱炎、膀胱結石、腎機能障害などの合併症につながることもあります。排尿トラブルは“加齢による症状”と軽視しがちですが、不調が続いている人は一度医師の診察を受けることが大切。その上で、症状が重くない場合は中医学の対処を取り入れ、根本から体質を整えていきましょう。


■タイプ別「前立腺肥大症」の対処法


「前立腺肥大症」は、男性であれば加齢とともに誰にでも起こりうる症状。中医学でも、男性は56才から生殖機能が落ち、64才から「腎」が衰え始める(※)と考えます。前立腺の不調を予防、改善するためにも、中高年以降の人は積極的に体質を整えましょう。
※男性は8の倍数の年齢で身体に変化が訪れるとする考え方



【タイプ1】老化症状が気になる「腎(じん)の虚弱」タイプ



 五臓の「腎」は生命エネルギーの源「精」を蓄え、人の発育や生殖と密接に関係する臓器。また、水分代謝と関わり、尿の生成・排泄をコントロールする働きも担っています。そのため、腎が衰えると生殖器である前立腺の問題や排尿トラブルが起こりやすくなるのです。


 腎は加齢とともに自然と衰える臓器で、老化症状とも深く関わっています。前立腺肥大症はもちろん、加齢によるさまざまな不調の予防、改善にもつながるので、中年以降の年齢の人は積極的に腎をケアしましょう。


<気になる症状>
前立腺肥大、頻尿、尿もれ、尿が出にくい、尿が途切れる、尿がまったく出ない、腰痛、足腰がだるい、冷え、めまい、耳鳴り、物忘れ、むくみ、舌の色が淡い、舌苔が白い


<食の養生>
身体を温め、腎を強くする食材を積極的にとりましょう。
山芋、くるみ、松の実、栗、ごま、枸杞の実、銀杏、羊肉、すっぽん、山椒の実、八角、しょうが、ねぎ、にら、にんにく、シナモンなど


【タイプ2】血流が滞る「お血(おけつ)」タイプ



 食生活の乱れ、運動不足、冷えなどの要因で「お血(血行不良)」が発生すると、前立腺にもドロドロ血が停滞し、肥大を招く要因に。症状は“痛み”が特徴で、排尿痛のほか、頭痛、胸痛、関節痛などの不調が現れやすくなります。


 このタイプは慢性疾患、高脂血症、高血圧症などの人にも多く見られるため、気になる症状がある人は日頃の養生を心がけて。食生活の改善、適度な運動などを意識して、サラサラ血流をめざしましょう。


<気になる症状>
前立腺肥大、尿が出にくい、排尿痛、血尿、疼痛(頭痛、胸痛、腰痛、関節痛など)、物忘れ、手足のしびれ、爪や唇の黒ずみ、舌の色が暗く舌にシミのような黒い斑点がある


<食の養生>
辛味、黒色の食材でサラサラ血流に。
玉ねぎ、らっきょう、ターメリック、サフラン、シナモン、よもぎ、黒豆、小豆、黒きくらげ、なす、昆布類、サンザシ、いわし、さば、酢など


【タイプ3】むくみやすい「痰湿(たんしつ)」タイプ



 飲み過ぎ食べ過ぎなどで「脾胃(胃腸)」の働きが落ちると、水分代謝が悪くなり、体内にベタベタとした「痰湿(余分な水分や汚れ)」が溜まるように。これが前立腺にも影響して、肥大を招く要因となります。前立腺肥大で尿が出にくくなると、さらに水分代謝が悪化して痰湿が溜まりやすくなる、という悪循環に陥ることも。


 このタイプは、まず体内に溜まった余分な水分を取り除き、身体をすっきりさせることを心がけて。合わせて食生活を改善し、脾胃を整えて水分代謝を良くすることも大切です。


<気になる症状>
前立腺肥大、尿の濁り、尿が出にくい、肥満気味、痰が多い、むくみやすい、食欲不振、お腹の張り、軟便、下痢、舌苔がベタつく


<食の養生>
余分な水分を取り除き、脾胃を整えましょう。
きゅうり、冬瓜、とうもろこしの髭茶、はと麦、緑豆、緑豆春雨、もやし、とんぶり、緑茶、 しそ、サンザシ、麦芽、みかんの皮(陳皮)、ゆず、カルダモン、粟など



【タイプ4】炎症を招く「熱うつ」タイプ



 体内に過剰な熱がこもると、膀胱の機能に影響し、前立腺の肥大や排尿障害につながります。症状を繰り返すと炎症が起こり、前立腺炎を招くケースもあります。


 このタイプの症状は排尿時の灼熱感や痛みが特徴なので、不調を感じたら早めの対処を。身体の余分な熱を下げ、排尿をスムーズにして炎症を鎮めましょう。症状が強い時は、まず医師の診察を受けることも大切です。


<気になる症状>
前立腺肥大、排尿時の灼熱感、排尿痛、頻尿、残尿感、尿の色が濃い、尿の濁り、血尿、下腹部の痛み、口の渇き、熱感、舌の色が紅い、舌苔が黄色くベタつく


<食の養生>
涼性、利尿作用のある食材で熱を冷ましましょう。
とうもろこしの髭茶、たんぽぽ茶、竹の葉茶、クチナシ、はと麦、きゅうり、冬瓜、トマト、 れんこん、緑豆、もやし、緑豆春雨、とんぶり、緑茶など


■暮らしの養生


・冷えは「腎」の大敵。特に腰・下腹部の冷えを予防し、飲食も温かいものを。
・適度な水分補給を意識して。多過ぎても少な過ぎても排尿に影響します。
・尿のがまんはNG。尿意を感じたらトイレに行く習慣を。
・適度な運動(ウオーキング、ヨガなど)で血行を促し、代謝の良い体質に。
・生活習慣病は前立腺肥大症を招く要因に。積極的な改善を心がけて。


■前立腺トラブルに効くツボ


※入浴後などのリラックスした時間に呼吸をととのえながらほどよく刺激しましょう。


【関元(かんげん)】
へその下、指3本分のところ


【中極(ちゅうきょく)】
関元の下、指1本分のところ



【三陰交(さんいんこう)】
内側のくるぶしから指4本くらい上の、すねの骨の内側の窪んだところ



監修:菅沼 栄先生(中医学講師)



本記事は、イスクラ産業株式会社が発行する情報誌『チャイナビュー』より、一部改変して転載しました。同誌は日本中医薬研究会の会員店で配布しています



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