「そこに立たされる意味を思って全力で」…オリックス・宮城大弥が連覇へ向け決意

0

2022年09月27日 06:32  ベースボールキング

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

ベースボールキング

キャッチボールで調整する宮城大弥 [写真=北野正樹]
◆ 猛牛ストーリー 【第36回:宮城大弥】

 連覇と、昨年果たせなかった日本一を目指す今季のオリックス。監督・コーチ、選手、スタッフらの思いを「猛牛ストーリー」として随時紹介していきます。

 第36回は、27日に本拠地で楽天戦に先発する宮城大弥投手(21)です。連覇を果たすためには負けられない一線を託され、「大事な試合。そこに立たされる意味をしっかりと思って、全力で投げたい」と意気込みを語っています。




◆ エースからのプレッシャーも力に

 「いつも通りの調整は出来ました。体も元気。いつもと同じような感じです」

 プロ入り初の中5日登板で11勝目を挙げてから約1週間。左腕は体調の変化なく、順調な仕上がりぶりを強調する。

 今季の楽天戦は2勝2敗で防御率は2.03。「打線は良いし、長打もあるのでしっかりと抑えるところは抑えて頑張りたい。チームに流れを持ってくる投球をしたい」と相手の印象を語りつつ、「先発として6〜7回を無失点でいけたらベストだと思う」と目標を掲げた。


 プレッシャーのかかる登板が続く。

 前回登板の9月18日・ソフトバンク戦(京セラD大阪)では、5回を90球、被安打1で与四死が2、奪三振5という内容でチームの勝利に貢献した。

 前日にはエース・山本由伸が完封で14勝目を挙げており、そのヒーローインタビューで「(明日の)宮城はやってくれる男です」と大観衆に勝利を約束。試合当日には能見篤史兼任コーチらから「勝たないとやばいよ」などと、愛情のこもった重圧をかけてもらった。


 そして今回も、山本から叱咤激励が飛んだという。

 「先ほど、練習の早い段階で『お前にかかっているかも』という感じの言い方をされました。『勝てよ』とも言われたので、勝てるように頑張ります」と先輩からの言葉を受け止めながら、「緊張もするし、うれしくはないですけれど。でも、やらなければいけないので、しっかりと自分の投球をしたい」と前を向いた。

 「大事な試合。そこに立たされている意味をしっかりと思って、全力で投げたい」

 落ち着いた言葉からは、重圧を好投につなげる力に変える術を身に着けたように見えた。


◆ 「日本一になって、能見さんを泣かせたい」

 大切にしているアドバイスがある。

 「今年は8勝止まりだよ」──。シーズン当初、その一言だけで実質2年目のジンクスへの対処を考えさせてくれた、能見兼任コーチの言葉だ。

 1勝もできずに6勝で足踏みしていた7月には、「投げやりだけには絶対になるな」と、どんな状況でも自分の投球を見失わないことの大切さを教えてくれた。

 チームでの父と仰ぐ左腕の大先輩の金言もあって、8月には3勝(1敗)を挙げて初の「大樹生命月間MVP」に輝いた。


 もう一つは、中嶋聡監督からの「ムキになって投げるな」だ。

 9月4日のロッテ戦(ZOZOマリン)にて、2年連続の2ケタ勝利を挙げた試合での出来事。2回に3点の援護をもらったが、その裏、先頭打者を含め2四球でピンチを広げ、二死一・二塁から茶谷健太を3球で追い込みながら、甘いストレートを中前にはじき返されて1点を献上してしまった。

 後続を断ち、ベンチに引き揚げて高山郁夫コーチの指導を受けていたところ、監督から厳しい言葉がかけられたという。

 「試合中に中嶋監督から指摘を受けたことは、1年目のファームで1度ありましたが、一軍の試合では初めてでした。3〜4回を無失点に抑えられたのは、監督の言葉で冷静になれたからだと思います」と宮城。

 2回のアウトはすべて三振(空振り2)。緩急をつけた投球が出来れば抑えられるのに、力任せに独り相撲をして四球でピンチを招く投球の“若さ”を指摘してもらう形となった。


 「日本一になって、能見さんを泣かせたい」という宮城にとって、負けられない試合。そして、昨年はコロナ禍で果たせなかった優勝のビールかけを実現するためにも、左腕に力が入る。

 「日本一にもなりたいし、今年はみんなでビールかけをしたい。ヤクルトさんがグラウンドでやっているのを見て、うらやましく思った」

 今度も大きなプレッシャーを、マウンドでエネルギーに変えてみせる。


取材・文=北野正樹(きたの・まさき)




【動画】公約達成も…宮城に待っていたのはまさかの結末!?
    ニュース設定