第13世代Coreプロセッサ(Raptor Lake)はなぜ速い? コア数とキャッシュ容量増加が意味すること

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2022年09月28日 01:31  ITmedia PC USER

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第13世代Coreプロセッサの概要は、クライアントコンピューティング部門 バイスプレジデントのマンディー・モック氏が説明した

 既報の通り、Intelは9月27日(米国太平洋夏時間)、第13世代Coreプロセッサ(開発コード名:Raptor Lake)を正式に発表した。その先陣を切るハイエンドデスクトップPC向けの製品は、米国において10月20日に発売される予定となっている。



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「第13世代Coreプロセッサ(Raptor Lake)」登場 “世界最速”のアンロック対応デスクトップ向けから



 先日、同社はイスラエルにおける事業を説明する「Intel Technology Tour 2022」を開催したが、実は旅程には第13世代Coreプロセッサの“秘密”に迫る説明会が組み込まれていた。説明会には同社の担当者が登壇し、報道関係者に同プロセッサの特徴を詳しく説明した。



 第13世代Coreプロセッサはなぜ“速い”のか――この記事では説明会の模様をお伝えする。



●シングル/マルチスレッド性能の両方を大幅に向上



 「百聞は一見にしかず」ということで、スライドを交えてサクサク解説していきたい。



 一部でうわさになっていた通り、第13世代Coreプロセッサは「高効率コア(Eコア)」の搭載数を最大8基から最大16基に増強した。このEコアは“高効率”とうたっているものの、ArmアーキテクチャのCPUにおけるEコアよりも“パフォーマンス”を重視した設計となっている。簡単にいえば消費電力を抑えつつも、そこそこ高いパフォーマンスを発揮できることに重きを置くコアである。



 一方で、このEコアはマルチスレッドに対応していない。そのため、単純にコアを増やせば増やすほど処理パフォーマンスが向上しやすいということにもなる。ある意味で、第13世代Coreプロセッサは「More is better」の考え方でパワーアップしたCPUともいえる。



 実際、PコアとEコアを初めて併載した第12世代の最上位製品(Core i9-12900K)と比べると、第13世代の最上位製品(Core i9-13900K)はマルチスレッド性能で最大41%、シングルスレッド性能で最大15%ほどパフォーマンスが向上するという。この性能向上のうち、マルチスレッド性能の向上は明らかにEコアの“倍増”による貢献が大きい。



 シングルスレッド性能の向上は、ひとえにクロック周波数の積み増しの効果が大きい。第13世代Coreプロセッサでは、PコアとEコア共に600MHzほど最大クロックが引き上げられているのだ。



オーバークロッキングにも高い耐性



 第12世代の基本設計を継承した第13世代Coreプロセッサは、全体的にオーバークロッキング耐性が高めとなっている。同社が配布しているアンロックツール「Intel Extreme Tuning Utility(XTU)」を使うと、コア単位でオーバークロックの調整ができるようになっている。やろうと思えば、液体窒素を使った8GHz超のオーバークロッキングまでできてしまうとのことだ。



●「ゲーム」と「コンテンツ制作」に強いことをアピール



 第13世代Coreプロセッサは、特にマルチスレッド性能の向上が大きい。そのこともあって、Intelはゲームにおける高フレームレートの維持やコンテンツ制作におけるレンダリング、各種光源計算の高速処理に重点を置いた機能説明を行った。



 前世代のCoreプロセッサ、あるいは競合であるAMDのRyzenプロセッサとの比較グラフもあるにはあるが、いずれにしてもプロセッサの世代が変われば、性能も大きく変化するというのを実感しやすいデータが示された、



 特にタスクマネージャーでの各スレッドの動作状況を見てみれば分かるように、Eコアの増加の寄与が非常に大きく製品選択の参考になる。



●性能向上を裏で支える「キャッシュ」



 こうした前情報を補完すべく、今回の説明会では技術的視点からの第13世代Coreプロセッサの解説も行われている。



 同プロセッサのパフォーマンスアップは、搭載できるEコアの数を増やしたことや最大クロックを引き上げたことも大きく貢献しているが、L2キャッシュとL3キャッシュも非常に重要な役割を果たしているという。



 まず、L2キャッシュはPコアとEコア共に容量を増やしつつ、動的プリフェッチャーのアルゴリズムを改善してスループット(実効アクセス速度)を改善している。Pコアは1コア当たり最大2MB(従来は最大1MB)、Eコアは1ユニット(4コア)当たり最大4MB(従来は最大2MB)の容量を備えている。一方、Pコア、Eコアと内蔵GPUが共用するL3キャッシュ(Intel Smart Cache)の容量は、最大で36MBとなった(従来は最大30MB)。



 ただし、L2/L3キャッシュの増量と改善がパフォーマンス向上につながるかどうかはアプリの特性(設計)次第の面もある。裏返していえば、アプリによっては高速化の効果が薄くなるということでもある。



 ゲーミング部門を担当するマーカス・ケネディ氏(ジェネラルマネージャ)にそのあたりの話を聞いてみた所、「さまざまなゲームデベロッパーと意見を交換しているが、ゲームのパフォーマンスを向上させる大きなポイントとして最近はCPUのキャッシュメモリの容量を挙げられることが多い」という。処理すべきデータが大容量かつ複雑になる中で、L2/L3キャッシュの利用状況(容量)がゲームのパフォーマンスを左右するケースが増えているのだ。



 CPUの開発に当たって、Intelではゲームデベロッパーやクリエイターなどからさまざまな要求を聞き、バランスを考慮しつつ製品に落とし込んでいると思われるが、今回の第13世代Coreプロセッサでは「Eコア倍増」と「キャッシュの容量増加と改良」を選んだことは、近年のアプリにおける“重要な要素”が何なのかを示唆しているということである。



 実際、マルチスレッド処理でのパフォーマンス向上に寄与した要素を紹介したスライドにもあるように、高速化に貢献した要素としてコア(スレッド)数とキャッシュ容量が7割近くを占めている。「クロック数も大切だが、コアの数とキャッシュの容量はもっと重要である」という、第13世代Coreプロセッサの設計の“裏”にある思想を物語っている。



 決して万人の要求を満たすものではないと思うが、少なくともIntelが示した用途での効果が非常に大きいのは確かだろう。


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