田原総一朗「岸田内閣の支持率急落も腐った自民党に自浄はできない」

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2022年09月28日 06:00  AERA dot.

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田原総一朗・ジャーナリスト
ジャーナリストの田原総一朗氏は、自民党の腐敗に落胆する。


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 9月19日に毎日新聞が報じた岸田文雄内閣の支持率は何と29%で、8月21日の36%から7ポイント下落した。やはり19日に日経新聞が報じた内閣支持率は43%で、8月調査の57%から14ポイントも下落している。他紙でも大きく下落し、深刻な事態である。


 こうした支持率の下落が欧州の先進国や米国で起きれば、当然ながら政権交代である。だが、日本ではそうならない。問題は野党が弱すぎることだ。


 それに、立憲民主党や国民民主党の幹部たちから感じ取れるのは、政権奪取の意欲が極めて薄いことだ。野党の議員たちは、自民党の批判をしていれば選挙で当選できるうえ、共産党を除いて、どの野党も政党助成金を受けているので、どの議員も生活が安定している。


 だから、ホンネを言えば、現在の状態が一番望ましく、政権など奪取したら大変なことになる、と考えているのである。


 そうした意欲の薄さがあるからこそ、たとえば安倍晋三内閣が森友・加計疑惑、桜を見る会などのスキャンダルを連発させても、選挙で自民党が勝っているのである。


 だが、実は野党は昔から弱かった。自民党の首相が交代するのは決まって派閥の力学からであった。かつては自民党の各派閥がしっかりしていて、首相に問題があると派閥の力によって辞めさせられた。


 たとえば岸信介首相は、1960年に日米安保条約を改定し、このこと自体は自民党の議員たちの多くが望んでいた。だが、岸首相はその後に憲法改正に強い意欲を示していたのである。


 一体何のための憲法改正なのか。


 岸首相は、憲法で縛られた対米従属で戦争ができない日本を、自立して戦争ができる日本に変えたいと思っている、と自民党の多くの議員たちは捉えていた。


 岸首相は、太平洋戦争を始めた東条英機内閣時の大臣で、戦後、米軍から戦犯にされていた、などの履歴の持ち主であったためだ。




 そして、自民党の派閥の力学で、岸首相は辞任させられた。


 もう一例、わかりやすいのが田中角栄首相のケースである。


 田中首相はそのエネルギーと金力によって、本命と言われていた福田赳夫を打ち破って首相に就任し、絶大なる影響力を持った。自民党も野党も、そして官僚たちもメディアも、田中首相が意のままに動かしているように思えた。


 だが、第4次中東戦争が起きて、石油を中心に、日本が悪性インフレに包まれた。すると、改めて田中首相の金権政治に対する批判が高まり、福田、三木武夫などは閣僚を辞任して、公然と田中批判をぶち上げた。自民党内で「田中首相辞めるべし」の声が圧倒的になり、ついに田中首相は辞任せざるを得なくなったのである。


 その後、小選挙区制になって、執行部の公認が選挙での当選に不可欠となった。安倍内閣では議員の誰もが首相のイエスマンになり、政権に対して党内からまったく批判が出なくなってしまった。


 今度は日本の政治に緊張感がなくなってしまったのである。


 そうした中で著しく支持率が低下した岸田首相はどうすべきなのか。何ができるのか。国民の支持がないまま内閣を持続させるつもりなのか。自民党も腐りきってしまった今、日本の政治は腐りきってしまうのではないか。


田原総一朗(たはら・そういちろう)/1934年生まれ。ジャーナリスト。東京12チャンネルを経て77年にフリーに。司会を務める「朝まで生テレビ!」は放送30年を超えた。『トランプ大統領で「戦後」は終わる』(角川新書)など著書多数

※週刊朝日  2022年10月7日号


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