密輸で保護されたカワウソ4歳の誕生祝い 飼育員の「ごめんなさい」と「ありがとう」にじーんときた

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2022年09月28日 16:10  まいどなニュース

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飼育員さんといろいろなことを学んできたポポちゃん(提供:海遊館)

 大阪の水族館「海遊館」(大阪市港区)が、8月29日にコツメカワウソのポポちゃんが4歳を迎えたことをブログで報告しました。

【写真】きれいに飾られたお祝いのお魚を、遠慮がちに端から食べていくカワウソ

 ハートと4をかたどった魚をプレゼントしてもらったポポちゃん。前足を上手に使ってパクパクと魚を食べるぽぽちゃんの動画には、こんなコメントがついていました。

海遊館にやってきた8月を誕生月にしてお祝い

「ポポの誕生日は...わかりません。
ポポはタイからの密輸により日本に持ち込まれたところを保護されたからです。保護された時の大きさから、推定生後2-3か月と考えられました。
なので、海遊館にやってきた8月を誕生月の代わりとして4歳のお祝いをしました!」

「ポポは密輸されたこともあり、受け入れた後も病気などにかかっていないか調べる『検疫』の期間を長く設けなければならず、隔離室から移動できたのはポポが2歳の時でした。」

 通常カワウソは家族で群れをつくって暮らし、群れからいろいろなことを教わります。そんな体験ができなかったポポちゃんは、深いプールで泳ぐことに苦戦したり、ほかのカワウソを見て威嚇したりしていました。

 それでも、ポポちゃんと飼育員さんはいろいろなことに根気良く取り組み、今は深いプールでもスイスイ泳げるようになり、ほかの個体とも一緒に過ごせるようになってきました。そして――

「次はポポに家族ができる日が来ますように(*^-^*)」

と飼育員さんの願いが綴られました。

 この誕生祝いの動画を見た人たちからは、
「ポポちゃん、とても苦労した子だったんですね。今こうして幸せにお誕生日を迎えられて、本当によかったです。これからも元気で楽しく毎日過ごせますように。」
「そういった理由で来る子もいるんですね。今は幸せだといいな…」
「ポポお誕生日おめでとう! いい食べっぷり(笑) 気持ちいいー(*´˘`*)」
「ポポ、海遊館さんに保護されて良かった。カワウソの人気が出て飼いたいと思う人がいる程、密猟の問題がついて回りますよね。こらからもポポが元気に過ごせますように。あと密猟がなくなりますように。」
などとコメントが寄せられました。飼育員さんに詳しいお話を聞きました。

検疫のための隔離期間や単独飼育が長かったカワウソのポポちゃん

──検疫期間中は、ポポちゃんはどのような生活をしていたのですか?

 検疫室で過ごす間は、おもちゃで遊んだり、健康管理のための静止、体重測定などのトレーニングをしていました。

──飼育員さんも特別な対応をするのでしょうか?

 人獣共通感染症で人が感染すると命を落とす疾病を持っている可能性もあるため、担当者は暑い夏でもジャンパーと厚手のビニル手袋をはめながら汗だくになって作業にあたりました。また、検疫室の担当者はその日、他の生き物とは接触できません。

──気が張る作業ですね。検疫の期間はどのくらいだったのですか?

 検疫期間は通常1カ月、ポポの場合は保護から1年間の指示があり搬入から約2カ月でした。検疫検査後は、他のカワウソの飼育スペースに移動はしましたが、更に狂犬病等の対策で、保護から1年間は他個体と同居はせず、単独飼育は続きました。同居はできませんが、鳴き声やにおいなどの気配は感じていたと思います。保護は2018年8月、海遊館への搬入が2019年8月、そして2020年10月まで単独飼育でした。

──長いですね…。これまで、どんな生き物が密輸で保護されたのですか?

 海遊館での受け入れはカワウソ以外ではアジアアロワナ、サンゴ類です。

──コツメカワウソは、よく保護されるのでしょうか?

 2019年にワシントン条約で規制が厳しくなり(絶滅の恐れがある種CITES気乏幣紊押⊆莪規制と輸出国・輸入国の許可書が必要に)、それ以降は今のところ密輸の摘発はありません。

──密輸は生き物にとって厳しい環境になりますよね。

 密輸では、保護される前に命を落としている場合も少なくなく、無事保護されても長く生きることができないこともあります。密輸はそれだけ過酷なことなのです。

 また、コツメカワウソは野生動物であり群れで暮らす生き物です。1頭でいること自体がストレスになることもあります。飼育には十分なスペースを確保し、水陸両方の環境を整える必要があります。カワウソをペットとして飼うのはとても難しく適切な飼育をしていないケースが見受けられたり、健康管理ができていなかったりなどの問題があります。

──カワウソを個人で飼う流れは、カワウソも不幸にしてしまいますし、密輸を助長しかねないと言われています。

 コツメカワウソは日本国内の自然には生息していない種なので、もし飼えなくなって捨てられたり、逃げてしまうと、日本の生態系に与える影響は計り知れません。

 「カワウソが好き、可愛い」という気持ちは大切ではありますが、それはコツメカワウソを苦しめることにつながる可能性があることは知っておいていただきたいと思います。これからはみなさんが大好きなカワウソたちを守るためにどんなことができるのかを考えてみませんか?

今後は他の個体と一緒に過ごし、家族を見つける

──ポポちゃんは、これからほかの個体と一緒に過ごしたりして、繁殖を目指すのですね。

 海遊館では可能な限り1頭での飼育を避けるため、カワウソ全個体の相性などをみながらペア替えをして飼育管理しています。血統上適したパートナーとの相性、他の雌個体の繁殖時期や飼育スペースを考えながらポポの繁殖時期を調整していきます。繁殖に成功したら、仔の様子をみながら親子(ポポと仔)で展示したいとは考えています。

──うまくいって、ポポちゃんファミリーに会える日が来るといいなと思います。4歳になったポポちゃんに思うことはどんなことですか?

 人の身勝手さにより捕らえられ、現地から税関で保護されるまで頑張って生きてくれたポポ。怖いことがあるとすぐに人の足に隠れてしまうポポ。他のカワウソをみると「ナニコレ?!なんでお部屋にこんなの入れるの??この部屋から出るー。」とでも言ってるようにぴいぴい鳴いて訴えていたポポ。展示水槽でなかなか泳ぐことができなかったけど、開館前に水槽へ移動し何度も練習を重ねて泳げるようになったポポ。

 そんな姿を見てきて、本来なら当たり前だったり、家族が教えてくれることだったりするはずなのに、人の欲や身勝手さによってごめんなさい。という思いと、生きて海遊館に来てくれて私たちと一緒に学び、この環境に慣れてくれてありがとう、海遊館でパートナーと家族を作ろうね。

 ◇ ◇

 コツメカワウソを知ってもらい、絶滅の危機にあることや、なぜ密輸されたのかを伝えることも水族館の大切な役割です。飼育員さんが話すように、私たちがカワウソにできることについて考えてみる機会になるといいですね。

※コツメカワウソ:カワウソの仲間では最も小型の種類です。東南アジアに分布し、四肢の指に小さな爪があることから名前が付きました。(海遊館HPより)

(まいどなニュース/Lmaga.jpニュース特約・太田 浩子)

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  • 取引禁止されてる珍獣を飼う人って生き物の具合が悪くなったらどうしてるの?地獄に落ちてください。
    • イイネ!2
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