カタールW杯「チケット」異聞。チケットが最も売れている意外な国はどこ&日本は何位?

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2022年09月29日 06:51  webスポルティーバ

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 サッカーのW杯は、ただ世界最強の代表チームを決めるだけの大会ではない。4年に1度のサポーターの祭典でもある。世界には、この大会のために4年間働き、仕事を辞めて試合を観に行くサポーターも少なくない。

 ブラジルの名門チーム、パルメイラスのスタジアムのそばには、いくつものカフェやバーがある。試合が行なわれている時間も、そこは人でいっぱいだ。チケットを買えなかったサポーターたちが、そこで試合をテレビ観戦するからだ。テレビで観るのなら家で観ても同じなのに??―と思うかもしれないが、それは違う。少しでもスタジアムのそばにいて、その熱気を肌で感じたい、ゴールを決めたら一緒に歓声を挙げられるかもしれない、それがファン心理というものだ。




 それと同じで、たとえチケットをゲットできなくても、とにかくW杯を開催している国にいたいというサポーターは数多い。かくいう私もかつてはそんなファンのひとりだった。たとえスタジアムで試合は観れずとも、大会の熱気あふれる空気を吸い、世界中から集まってくるサッカーファンと互いのチームを称え、時には論議し、記念品を交換し合うだけでも十分に価値がある。大会の傍観者ではなく、一部になれるのだ。

 しかし、今回のカタールW杯に関しては多くのサポーターが大きな不安を抱いていた。さまざまな点で今までの大会とは異なっていたからだ。まず一番の問題はチケットがなければ大会期間カタールに入れなかったことだ。しかも、チケット1枚ではカタールにはたった4日しか滞在できないという縛りもあった。これでは思う存分、W杯の空気を満喫することはできない。

 しかし今、すべては変わった。カタールは首長の鶴の一声ですべてが変わる。それは大会の開幕戦のカードと日程が100日前に変更されたことから皆さんもよくご存じだろう。サポーターやチケットに関しても、同じようにすべてが一変した。まずはチケットを持っていなくても、チケットを持っている人の親族(従兄弟も可ということだから、結局は友人でも大丈夫ということだろう)なら、3人までがチケットなしでもカタールに入国できることになった。

サウジアラビアで大人気

 4日間しか滞在できないという縛りもなくなった。これは近隣諸国からの日帰りが可能になったことが大きい。試合の日にはマッチデーシャトルという飛行機が各国からドーハに飛び、サポーターは試合を観るだけのためにカタールに入国し、宿泊は他の国にできることになったのだ。これでカタールのホテル不足問題も大幅に解消することになった。

 実はこの「日帰り可」への変更は、隣国サウジアラビアからの圧力がかなり大きかったようだ。彼らは車や飛行機でカタールまでやってきて、その日のうちに自宅に帰りたいからだ。サウジアラビアの上流階級は、今大会の最高の顧客なのだ。

 そんなW杯のチケットは今回、310万枚が用意されているが、一般に売りに出されているのはそのうち200万枚だと言う。残りは開催国カタールのVIP(首長の親族だけでもものすごい数がいる)、FIFA関係者や加盟国の協会役員、そしてスポンサー用となる。2018年のロシア大会では245万枚、2014年のブラジル大会では230万枚が一般客のために用意されていたのに比べると、今回はその数はかなり少ない。そして8月の時点で、すでに245万枚のチケットが持ち主を得ている。

 開催国がどこか、その時の自国チームの期待度はどうかにも大きく左右されるが、W杯のチケットが平均的によく売れる国は決まっている。アメリカ大陸ならブラジル、アルゼンチン、メキシコ、アメリカ合衆国、ヨーロッパであればイングランド、ドイツ、フランスだ。

 今回、FIFAは売れ行き上位10カ国の国名を明かしているが、その順位を問い合わせてみた。

 今回のW杯がいつもと様相が異なるのは、現段階で最もチケットが売れている国がサウジアラビアだということだ。チケット全体の30%がサウジアラビアで売れているという。サウジアラビアは開催国のカタールよりもはるかにサッカー熱の高い国だ。ご近所で行なわれる世界大会を見すごす手はないだろう。今大会はアラブ人サポーターの多い、ちょっとこれまでとは異なった雰囲気のW杯となるだろう。これは楽しみでもある。

トップ10入りしたインド。日本は?

 次にチケットを多く買っているのが、実はアルゼンチンとメキシコだ。

 この2カ国は代表チームへの愛が半端ないことで有名だ。一方でブラジルは、ここ最近、代表選手のほとんどが若いうちからヨーロッパに出てしまっていることもあり、以前に比べるとセレソン人気が落ちている。しかし、アルゼンチンとメキシコに限ってはそんなことはない。彼らにとっては代表=祖国なのだ。

 特にアルゼンチンは、やはりリオネル・メッシの最後のW杯となる可能性が高いとあって、注目度はかなり高い。何度もヨーロッパ最高のプレーヤーとなり、クラブチームでも多くの優勝を手にしてきたメッシだが、代表チームで世界のトップに立ったことがない。アルゼンチン人なら(アルゼンチン人でなくとも)、誰もがその最後の雄姿を見たいと思うだろう。

 メキシコはW杯優勝経験こそないが、サッカーに対して、それは熱い国だ。過去、南米とヨーロッパを除いた国のなかでは最多の16大会に出場し、自国でも2度W杯を開催している。それだけにこの大会にかける思いも強く、毎回チケット販売のトップランキングにその名を見せる。舞台が遠い中東に移ってもその熱さは変わらないようだ。

 チケットの売れ行き順の4位以下はアメリカ、イングランド、ブラジル、ドイツ、フランス、目新しいところではUAEなどと続くが、ドイツやフランス、ブラジルなどの常連国は、ふだんに比べると出足が少し鈍いようだ。

 ちなみに、W杯に自国が参加しないのに、チケットの売れ行きがいいのがインドだ(UAEも非出場国だが、地理的にカタールに非常に近いからだろう)。8月の時点で、インドでは2万3500枚のチケットが売れていて、開催国を含めたトップ10に入っている。

 インドの航空会社エア・インディアは、W杯期間中、インドの主要都市からカタールへのフライトを、新たに週20便追加すると発表している。実はインドは2018年のW杯でも2万人近くがロシアに観戦に行っており、非出場国としてはアメリカ、中国に次いで3番目の多さだった(今回、中国人サポーターは国のゼロコロナ政策もあって数が少ないようだ)。ただ、インド人は世界のサッカーには熱狂しているが、自国のサッカーにはあまり興味がないようで、インド代表チームのキャプテンはSNSで「W杯もいいが、アジアカップの予選も見に来てほしい」と呼び掛けている。

 逆に、いまやW杯出場常連国となった日本での売れ行きは、8月末時点で19位と低迷している。

すでに売り切れた4試合

 最後に、試合別の人気も見てみよう。11月20日に行なわれるカタール対エクアドルの開幕戦、準決勝と決勝の4試合はすでに売り切れだ。決勝戦が行なわれる12月18日はカタールの建国記念日にも当たるとあって、試合はビッグイベントとなるはずだ。FIFAによるとこの試合のチケットには300万人からのリクエストがあったようで、まさにプラチナチケットだ。

 これら4試合のほかに、ほぼ売り切れに近いカードがいくつかある。

 まずはアルゼンチン対メキシコ戦。この試合はグループステージの試合のなかで最も人気があったようだ。チケット購入ランク上位の国同士の対決はやはり強力だ。メキシコのアルゼンチンに対するライバル意識も強い。隣のサッカー大国サウジアラビアとアルゼンチンの対決もその次に人気を誇っている。この2試合に関しては、すでに完売したという情報もある。アルゼンチン、メキシコ、サウジアラビアの3チームが同組に入ったグループCの試合は、相対的に人気が高い。

 その他で人気が高いのはグループBのイングランド対アメリカ。イングランドは前回のヨーロッパ選手権の決勝で敗れただけに、今大会への期待度が高い。一方、アメリカでは最近、サッカー人気が高まっている。米英対決というある種ライバル国同士のカードに注目が集まったのだろう。

 ブラジルの試合もすべて人気が高い。FIFAランキング1位であり、ネイマール、ガブリエル・ジェズス、ラフィーニャ、ヴィニシウス・ジュニオールなどスターが揃ったセレソンの試合の切符は、ブラジル人以外も購入しているようだ。なかでも一番売れ行きがいいのはセルビア戦だという。

 ポルトガルの試合もまた人気だ。メッシ同様、クリスティアーノ・ロナウドにとっても最後のW杯となるのはほぼ確実で、代表のユニホームを着て戦う彼を見ておきたいファンは多いはず。ガーナ戦はほぼ完売状態なようだ。

 もちろん、まだ余裕がある試合も数多くある。FIFAのジャンニ・インファンティーノ会長によると、チケットは「まだ50万枚以上、入手可能」とのことだ。

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