エクアドル戦で思い出した16年前の凶兆。余りにも不可解、なぜ森保監督は旗手怜央に出番を与えなかったのか

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2022年09月29日 10:51  webスポルティーバ

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 目の前の冴えない試合を見ながら思い出したのは、奇しくも同じドイツ・デュッセルドルフで行なわれた、16年前の試合だ。

 2006年ワールドカップ・ドイツ大会を目前に控えた日本代表は、最後の仕上げとしてドイツでふたつの親善試合を行なった。

 まずはレバークーゼンで、開催国のドイツと対戦。結果は2−2の引き分けだったが、ヨーロッパの強豪を土俵際まで追い詰めた一戦は、内容的に見ても本大会に大きな期待を抱かせるものだった。

 ところが2戦目、デュッセルドルフでマルタと対戦した日本は、1−0で勝利こそ手にしたものの、低調な内容に終始。本大会前最後の試合で、せっかくのいい流れに水を差す結果となったのである。

 その後のワールドカップ本大会での結果は、ご存じのとおり。2敗1分けでのグループリーグ敗退に終わっている。

 翻(ひるがえ)って、現在の日本代表である。

 11月開幕のワールドカップ本大会を前に、日本はふたつの親善試合を行なった。

 まずはアメリカと対戦し、2−0で勝利。そして4日後、エクアドルと対戦したわけだが、アメリカ戦から一転、攻守ともに見せ場は少なく、劣勢の時間が長く続いた末のスコアレスドローに終わった。

 2試合の流れは、16年前とよく似ている。

 ただし、当時と違うのは、試合が行なわれたタイミング。16年前が本大会直前の最終調整段階にあったのに対し、今回は本大会2カ月前の、まだまださまざまなテストを行なうべき段階にあったということだ。




 だからこそ、エクアドル戦の"使い方"には疑問が残った。

 エクアドル戦の日本は、アメリカ戦から先発メンバーを総入れ替え。試合内容が冴えなかった大きな要因のひとつが、この選手起用にあったことは間違いなく、そもそもこんなに極端な選手起用をする必要があったのかは疑わしい。

 これが、16年前のようにワールドカップ直前の試合だというなら、総入れ替えも理解できる。本番に向けたコンディション調整のため、登録メンバー全員にある程度のプレー時間を与えることが目的となるからだ。

 しかし、今回は違う。

 本大会はまだ2カ月先である一方で、本番前に活動できるのは、実質的に今回が最後。チーム戦術を固める作業を行ないつつ、"旬"な選手のなかから、本大会でのブレイク候補を探し出す(主力組に取り込む)テストが行なわれるべきではなかっただろうか。

 その意味で言えば、2試合で先発メンバーが総入れ替えされたことはもちろんだが、それ以上に不可解だったのは、旗手怜央にまったく出番が与えられなかったことだ。

 今季ヨーロッパでチャンピオンズリーグ(CL)デビューを果たし、レアル・マドリードをタジタジにさせた成長株が、わずかな出場時間すら与えられないまま、今回の代表活動を終えたのである。

 今となっては、アメリカ戦前に旗手から聞いた言葉があまりに虚しい。

――やってきたことをピッチ上で表現できている自信は、最近になって大きくなっている?

「CLも経験していますし、レアルとやれたっていうのは、僕のなかでは大きな出来事だった。そこでのプレーというのはすごく(手応えが)あったので、自信はすごくついていますけど、ただ、できないこと、やらなきゃいけないことはもっとあるんで、そこに目を向けてやっていきたいと思います」

――レアルとやれた、というのは単に試合をしたという意味だけではなく、手応えのあるプレーができたということ?

「(手応えのある)プレーもありましたし、メンタル的な部分だったり、試合に挑む気持ちだったり、そういうところで浮つきもなくできたりとか、心身ともに、プレーもそうですけど、すごく自信を持ってできたかなと思います」

――ヨーロッパへ行ったことで自信は大きくなった?

「ヨーロッパへ行ったっていうのも大きいですけど、(今の自信は)一歩ずつの積み重ねだと思うんで。それがすべて、ヨーロッパでできるところまでつながっていると思うので、一歩ずつやってきた成果が今につながっているのかなと思います」

 所属クラブで活躍し、個を伸ばすことが日本代表の強化につながると期待され、選手はそれぞれ日常の舞台で奮闘している。なかでも旗手は、その日常で最も大きな成果を手にしたひとりだと言っていい。

 にもかかわらず、それが見過ごされてしまうのでは、あまりにももったいない。ヨーロッパでの成果を改めて示すような活躍を見せた鎌田大地を除けば、結局は従来の序列に沿った選手起用が行なわれた感は強くなる。

 先発メンバーを総入れ替えしたエクアドル戦。森保一監督は試合後、「誰を起用してもチームとしてプレーできる。本大会に向けて大きな財産となる戦いができた」と選手のパフォーマンスを称えた。結果についても、「公式戦ならしっかり勝ち点1を拾えたいい戦い」と話している。

 だが、現実のワールドカップに照らせば、日本が決勝トーナメントに進むためには、エクアドルは勝たなければいけないクラスの相手だ。

 その相手に対し、悪い形でのボールロストを連発し、ピンチの連続。対戦相手のレベルが違うとはいえ、前の試合でせっかく勢いが生まれかけていたにもかかわらず、それを確かなものにするどころか、水を差す結果となった印象は否めない。

 これが16年前と同じ、ワールドカップ本番の凶兆でないことを祈るばかりである。

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