中国で過熱する“折りたたみスマホ市場” サムスンはHuaweiの牙城を崩せるか

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2022年09月29日 16:32  ITmedia Mobile

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Huaweiの折りたたみスマートフォン最新モデル「Mate Xs 2」

 Samsung Electronicsの「Galaxy Z Fold4」「Galaxy Z Flip4」は折りたたみスマートフォンの代表といえる製品であり、この形状のモデルとして世界各国で圧倒的なシェアを誇る。ライバル製品が少ないこともありグローバル市場では「折りたたみといえばGalaxy Z」という状況だ。だがその話は中国では全く通用しない。中国メーカー各社が折りたたみスマートフォンを次々と投入しており、既にSamsungの存在を脅かしているのだ。



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●中国での折りたたみスマホ市場はHuaweiが半数以上を占める



 中国の調査会社CINNO Researchによると、2022年第2四半期の中国国内折りたたみスマートフォンのメーカー別販売シェアは、1位がHuaweiで53.7%と半数以上を占めた。Huaweiの折りたたみスマートフォンは前年同期に72.2%と国内シェアの約4分の3を占めるほどであり、既に1年前からSamsungを抜き去っていたのだ。なお、Huaweiのシェアがこの1年で約20%の減少となった理由は販売不振ではない。新規参入メーカーが増え、製品数が増えたことで、全折りたたみスマートフォンの中での割合が減っただけだ。



 中国全体の折りたたみスマートフォンの販売台数は2020年第2四半期が44万3400万台で、2021年第2四半期は58万7000台と134%の伸びを記録している。この数にHuaweiのシェアをかけあわせると、2021年第2四半期は32万台、2022年同期は31.5万台と販売台数そのものはほぼ変わっていない。Huaweiの折りたたみスマートフォンは安定した台数が売れるほど、既に中国国内では一定お知名度を誇っているのだ。Huaweiの全スマートフォンの販売台数は年々減少しているものの、プレミアムフォンである折りたたみスマートフォンは年に1機種以上と積極的に新製品を投入しており、市場で高い存在感を示している。



 Huaweiの折りたたみスマートフォンは2021年12月に発売した縦折り型の「P50 Pocket」も人気が高い。発売直後から品切れを繰り返しており、中国全体の折りたたみスマートフォンの中で2022年第1四半期、第2四半期と連続で販売台数1位となった。P50 Pocketのライバルとなる縦折り式モデルで目立った製品はSamsungの「Galaxy Z Flip3 5G」「Galaxy Z Flip4」となるが、発売時の価格を比較するとP50 Pocketが8988元(約18万3000円)、Galaxy Z Flip3 5Gが7599元(約15万5000円)。P50 Pocketは5G非対応ながら、高級感ある外観したことなどにより、価格が高くともSamsungの同タイプ機より売れているのである。



●Samsungが巻き返しを図るも、その地位は安泰ではない



 さて、中国国内の折りたたみスマートフォンのシェアは2位がSamsung、以下vivo、OPPO、HONOR、Xiaomiと続く。Samsungは今から10年以上前は中国国内でシェア1位だったが、スマートフォン時代になると低価格モデルで強みを発揮できず、見る見るうちに販売数を落としていった。今や海外ならどの国に行ってもSamsungのスマートフォンを見かけるが、中国では「その他メーカー」といえるまでシェアを落とした。この状況の中でSamsungは「折りたたみスマートフォン市場」という新しい分野で他社より先に新製品を投入し、中国国内での存在感を高めることを狙っていた。



 だが折りたたみスマートフォンの本命となる、横開き型の端末でHuaweiは「外折り式」「内折り式」と2つの方式の製品を投入し、さらにSamsungよりも画面サイズを大きくしている。一時は「打倒Samsung」とばかりにカメラでライカとコラボし、子会社のHiSiliconが高性能NPU搭載プロセッサを開発するなどしてAppleを抜き、世界シェア2位に上りつめたHuaweiだが、折りたたみスマートフォン市場では既にHuaweiがSamsungを大きくリードしているのだ。



 このように、中国国内ではHuaweiが圧倒的に強く、Samsungが巻き返しを図ろうと躍起になっている。しかしそのSamsungの地位も今や安泰ではない。CINNOの調査結果を見ると、vivo、OPPO、HONORは1年前には折りたたみモデルを出していなかったにもかかわらず、その後の約半年から数カ月で一気にシェアを高めている。各社から登場した製品は横折り式・内折りタイプとGalaxy Z Fold4と同じタイプの製品。だがvivo「X Fold」とHONOR「Magic V」は大画面に加え高性能カメラを搭載、OPPO「Find N」は逆に小型スタイルとすることで新たなユーザー層開拓に成功した。



●Xiaomiやvivoも負けじとハイスペックの折りたたみスマホを投入



 中国国内の折りたたみスマートフォン市場が広がりつつある中、唯一マイナス成長だったのがXiaomiだ。Xiaomiが2021年3月に発表した「Mi MIX Fold」は7999元(約16万3000円)と、横折り式の折りたたみスマートフォンとしては当時格安価格で登場した。しかしOPPOがFind Nを同じ価格で投入し、前述したようにvivoとHonorが高性能モデルを出したことでユーザーを奪われてしまった。



 だが、Xiaomiもライバルに負けじと一気にハイスペックのモデルを出してきた。2022年8月11日にSamsungがGalaxy Z Fold4、Z Flip4を発表した翌日、8月12日に「Xiaomi Fold 2」を発表したのだ。初代モデルよりディスプレイサイズを大型化しつつ、本体の最薄部分は8.4mm。内折り式のスマートフォンとしては最薄となる。そして提携を発表したばかりのライカのカメラも搭載した。「ハイスペック、大画面、薄型スタイリッシュ、高性能カメラ」と四拍子そろえたXiaomi Fold 2は、中国で今最も注目される折りたたみスマートフォンになりつつある。



 Xiaomi MIX Fold 2に弱点があるとすれば、ディスプレイを開くか閉じるかしかできず、ヒンジを途中の位置で止めることができないこと。Galaxy Z Fold4はヒンジを自在の位置にとどめ、アプリを分割表示できるフレックスモードで折りたたみスマートフォンを使いやすいものにしている。Xiaomiがこのモードにできないのは、閉じたときにヒンジ部分が隙間なく閉じる構造にしているため。



 一方のSamsungは、ヒンジ部分に隙間ができるものの、フレックスモードを実装している。とはいえ、隙間なく折りたためるのはvivoやOPPO、HONORも同じであり、vivoはフレックスモードを搭載している。



 そのvivoは2022年9月26日に「X Fold+」を発表した。プロセッサと充電周りのマイナーアップグレードとなるものの、初代モデルのX Foldは4月に発売したばかりであり、高価かつ最新技術を搭載したフラグシップモデルを半年で新製品に入れ替えるのは異例のことだ。しかしそれだけ折りたたみスマートフォンは、中国で最も目立つ存在になっており、常に最高の製品を出し続けなければ他社との競争に負けてしまうという焦りもありそうだ。



 まだ1モデルしか出していないOPPOの次の新製品や、9月にベルリンで開催されたIFA2022でフラグシップモデルのグローバル投入を発表したHONORの動きなど、中国国内の折りたたみスマートフォン市場は、これからさらに盛り上がりを見せていくだろう。そして中国の消費者にとっては「いつ折りたたみスマートフォンを買うべきか」が、これから悩ましくなりそうだ。


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