人気コミックの映画化『マイ・ブロークン・マリコ』の奈緒インタビュー! 親友・永野芽郁の存在が助けに

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2022年09月29日 20:52  All About

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2021年第24回文化庁メディア芸術祭のマンガ部門新人賞を受賞するなど話題を呼んだ漫画『マイ・ブロークン・マリコ』(平庫ワカ著/BRIDGE COMICS/KADOKAWA刊)が映画化。主演の永野芽郁さんが演じたシイノの大親友、マリコを演じた奈緒さんにインタビューしました!

奈緒さんにインタビュー

壮絶な人生を歩むマリコを演じきった奈緒さん

WEBコミックで火がつき、SNSで話題になり、単行本も出版されるや即重版決定という人気コミックを映画化した『マイ・ブロークン・マリコ』。永野芽郁さん演じるヒロインのシイノは、ソウルメイトといっても過言ではないマリコが自ら命を絶ったことを知り、マリコを虐待してきた父親から遺骨を奪い、彼女を抱いて旅に出るという物語。

苦しみながら人生を歩んできたマリコを演じた奈緒さんに、マリコの役作りや、連続テレビ小説『半分、青い。』での共演以来の親友・永野芽郁さんとの再共演、女優としての未来など、たくさんのお話を伺いました。

永野芽郁の存在が私の背中を押してくれた!

(C)2022 映画『マイ・ブロークン・マリコ』製作委員会 (C)平庫ワカ/KADOKAWA 原作:平庫ワカ KADOKAWAにて発売中

――『マイ・ブロークン・マリコ』は原作漫画のファンも多い作品ですが、この作品のオファーを受けた理由、また原作を読んで感じたことなどを聞かせてください。

奈緒さん(以下、奈緒):はい。まずオファーを受けて、原作漫画を読んだのですが、私は自ら命を絶ってしまう女性の役を演じたことがなかったので「かなり覚悟のいる役だな、私にできるだろうか」と思いました。

ただ原作の力は強くて、これは届けるべき物語だと思いましたし、何より永野芽郁ちゃんがシイちゃん(シイノ)を演じることが、私の背中を押してくれました。

シイちゃんとマリコの関係性がとても大切だと思ったので、シイちゃんを芽郁ちゃんが演じるのなら私にもできるかもしれない……という気持ちで出演を決めたんです。
(C)2022 映画『マイ・ブロークン・マリコ』製作委員会 (C)平庫ワカ/KADOKAWA 原作:平庫ワカ KADOKAWAにて発売中 

――マリコはとても辛い人生を歩んできた人ですが、そのマリコを知っていく役作りの作業は、大変ではなかったでしょうか?

奈緒:正直、マリコの身に起こることは悲しいことが多いのですが、もう彼女は辛いとか悲しいとかいう感情を持てなくなっていたと思います。辛いと思ってしまったら、生きていけなかったのではないかと。

「割に合わないでしょ」というマリコの言葉が忘れられないのですが、「自分が悪いんだ」と思わないと崩れてしまいそうだから、自分が生きるための手段として、希望は全て消してしまったのではないかと思います。

マリコが辛い気持ちを消していたので、演じているとき、私自身は辛さを感じませんでした。そして何よりシイちゃんの存在が大きかったです。自分を大切にしてくれるシイちゃんが、マリコの生きる糧だったのではないかと思いました。

俳優だからこそ、届けられる思い

一つの質問に対し、丁寧に的確な言葉を返してくれる奈緒さん

――脚本を読んだとき「この物語をみんなに届けなくては」と思ったとおっしゃっていますが、「届けたい」という思いの根っこにあるものは?

奈緒:この作品に限らず、全ての作品がそうなのですが、こういうお仕事をしているからこそ、届けられるものがあると思います。私、原作を読んだとき、最後に泣いてしまったんです。

シイちゃんは無鉄砲なところもありますが、人生と真剣に向き合って、どうやって生きるか常に闘っている。その姿が素晴らしいなと。この物語は、希望や勇気を与えてくれるので、絶対に皆さんに届けたいと思ったんです。
(C)2022 映画『マイ・ブロークン・マリコ』製作委員会 (C)平庫ワカ/KADOKAWA 原作:平庫ワカ KADOKAWAにて発売中 

――特に、マリコと同じような辛い経験をした方に届くといいなと思うのですが、奈緒さんは、そういう方にどんな言葉をかけますか?

奈緒:マリコのような思いを抱えた方には「生きているだけで絶対に誰かのためになっている」と伝えたいです。

毎日キツいな、嫌だなと思ったときは、一息ついて、明日まで生きてみようと思ってほしい。そして、そんな夜を繰り返しながら、いつか「この世界で生きていてよかった」と思える瞬間が来ると思うんです。私たちも同じように生きていくので、一緒にそんな未来を見られたら、うれしいなと思います。

完成した映画を見て、涙……

(C)平庫ワカ/KADOKAWA 原作:平庫ワカ KADOKAWAにて発売中

――タナダユキ監督も原作に衝撃を受けて、映画化を決めたようですが、タナダ監督の演出はどうでしたか?

奈緒:タナダ監督とは最初に、シイちゃんとマリコの関係性について「ふたりのような言葉にできない親密な人間関係ってあるのではないか」という話をしました。マリコが命を絶ったことは悲しいけれど、悲しい物語ではなく、ふたりの関係に見える美しさを映画の中に残せたら……という思いも監督と共有できました。

最初にちゃんとお話できたので、撮影は何テイクも重ねることなく、スムーズに進みました。タナダ監督が誰よりも原作やキャラクターを大切にしていることは俳優側にも伝わっていたので「監督についていけば大丈夫だ」という信頼がありましたね。

――完成した映画を見た感想は?

奈緒:原作の最後のページをめくって涙が止まらなくなったときと同じ感動がありました。それも永野芽郁ちゃんが演じているシイちゃんに会えた感動は大きかったです。試写が終わった後、涙が止まらなくて、芽郁ちゃんとふたりで泣いていました。
(C)2022 映画『マイ・ブロークン・マリコ』製作委員会 (C)平庫ワカ/KADOKAWA 原作:平庫ワカ KADOKAWAにて発売中 


いつも見守っている奈緒さんの友だち

――この映画はシイちゃんとマリコの関係性について描かれていますが、奈緒さんにとって友だちの存在はどういうものでしょうか?

奈緒:学生時代からの友だちは、自分にとっては鏡みたいな存在です。友だちを通して自分の心が垣間見える時があり、そうやってお互いに成長していったと思うし、本当に大きな存在です。

東京に出てきている友だちもいるので、お休みの日は連絡を取ってよく会いますね。私は悩み相談を人にするタイプではないのですが、自分の中で考え抜いて決心したことなどを、会った時に決意表明みたいに語ったりして(笑)。そんな私を友だちはいつも見守ってくれています。
学生時代からの友だちとのエピソードを語ってくれました

――昔から知っている人が、いつも見守り、応援してくれるのは心強いですね。

奈緒:そうですね。私は高校生のとき、すでにこのお仕事をしていたので、大学進学を選択しなかったのです。みんなが受験勉強をしている中、自分だけ進路が決まり、なんとなく申し訳ない気持ちになることもありました。そんなとき、友だちが「奈緒ちゃんが夢を追いかけているから、私たちも勉強を頑張れるんだよ」と言ってくれて。

そうやって応援してくれる友だちがいるから、思い切り夢を追いかけられたんだと思います。

俳優養成スクールと『半分、青い。』で人生が変わった

――奈緒さんは福岡県から女優を目指して上京していますが、ターニングポイントとなった出来事はありますか?

奈緒:一番最初のターニングポイントは、脚本家の野島伸司さんが主宰しているポーラスター東京アカデミーに所属していたときです。俳優の養成学校なのですが、特待生として入学させていただき、ここで、芸能界で生きていくために必要なことなど多くの学びを得ました。

ここでの経験がなかったら、私は連続テレビ小説『半分、青い。』(NHK)のオーディションにも受かっていなかったと思います。

――俳優として生きる意識を変えてくれたのですね。

奈緒:それまでの私は、自分の限界を決めていて、勝手にストッパーをかけて「私なんて」と、よく言っていたんです。でも「私がこの役をやっていいんだ」「この世界にいてもいいんだ」と自信をつけさせてくれたのがポーラスターでの1年間でした。

ここでの経験がその後の私の俳優人生にすごく影響を与えたし、次のターニングポイントの『半分、青い。』(NHK)につながっています。

――やはり連続テレビ小説『半分、青い。』(NHK)の出演は奈緒さんにとって大きな経験でしたか?

奈緒:はい、大きかったです。あのドラマに出演して、たくさんの方に奈緒という存在を知っていただけたというのもありますが、何より作品の規模が大きくて、こんなに大勢のスタッフの方が、この作品に関わっているんだということに驚きました。

最初の本読みのとき、後ろを振り返ったら、想像以上に大勢のスタッフの方がいらして……。そんな経験は初めてだったんです。

そして『半分、青い。』という大きな船を最後まで漕ぎ続けた芽郁ちゃんを、親友役としてずっと見られたことも、とても素晴らしい経験でした。頑張るエネルギーをくれましたし『半分、青い。』の経験は、今も私を鼓舞してくれます。

素敵なおばあちゃんになるために

素敵なおばあちゃん役を演じる未来のために、日々の暮らしを大切にしていると語る。

――将来について、俳優としての目標はありますか?

奈緒:『半分、青い。』をやっていた頃、よく「いつか母親役を演じたいな」と言っていたんですが、最近、ありがたいことに母親役をいただけるようになったので、次は、おばあちゃん役かなと(笑)。

だいぶ先の話になりますが、おばあちゃん役を演じている自分がパッと頭に浮かんだことがあって。いいおばあちゃんになれるように、いい年の重ね方をしたいなと思っています。

――まだ当分、見られそうにないですね(笑)。

奈緒:はい(笑)。でも最近、家での生活を大切にしていて。料理、洗濯、お掃除など、生活していく上で必要なことを丁寧に行いながら、年を重ねていけたらと考えています。そうすれば、俳優の仕事にもつながるものがあるのではないかと思うんです。

おばあちゃんになったときに、それまで重ねてきた時間がいい感じに演技に滲み出るように、日々の生活を大切に生きていきたいです。
(文:斎藤 香(映画ガイド))
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