みじめな「おひとり様老後」にしないために

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2022年09月29日 21:21  All About

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2018(平成30年)年推計の「日本の世帯数の将来推計(全国推計)」によると、2040年の社会は、総世帯の4割超が65歳以上の世帯でその4割が単身世帯。みじめなおひとり様を回避する策を「お金」と「つながり」から考えました。

2040年65歳以上の男性4分の1、女性4分の3が単身

2040年の日本は、総世帯の44%(2018年時点は38%)が65歳以上の世帯でその40%を単身世帯(同33%)が占め、夫婦のみの世帯は31%(同33%)に減少します。また、65歳以上の男性の4分の1、女性の4分の3がおひとり様です(2018(平成30)年推計『日本の世帯数の将来推計(全国推計)』国立社会保障・人口問題研究所より)。

2022年1〜6月の出生数は過去最低でした。一方、未婚や熟年離婚・卒婚は増加傾向にありますので、おひとり様が大多数の社会が推定より早く到来しそうです。みじめなおひとり様を回避し、自立した安寧なおひとり様の老後を迎えるために、必要な「お金」と、「つながり」に関して対応策をご紹介します。

「お金」への対応策:生活資金の目安は女性1500万円弱

総務省「家計調査報告(家計収支編)・令和3年(2021年)単身世帯詳細結果表」によると、65歳以上の高齢単身無職世帯の家計収支(月額)は次の通りです。

・実収入:13万5345円(うち社会保障給付12万470円)
・消費支出:13万2476円
・非消費支出(直接税と社会保険税):1万2271円(※)

もう少し詳しく、65歳以上の単身世帯の男女別の消費支出を見てみましょう。意外なことに、女性が年間約2万円多く支出しています(非消費支出は含まず)。

・男性:163万4520円(13万6210円/月)
・女性:165万1836円(13万7653円/月)

これに、前述の(※)非消費支出14万7252円(1万2271円/月)を加えた年間支出は、男性が178万1772円、女性は179万9088円。年間の生活費の目安は180万円ということになります。

一方、収入の要である公的年金受給額、65歳以上の厚生年金保険(第1号)老齢年金受給権者の年金額(基礎年金を含む)は次の通りです(「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」(厚生労働省)より)。

・男性:204万4692円(17万391円/月)
・女性:131万460円(10万9205円/月)

「令和3年簡易生命表の概況(厚生労働省)」では、90歳まで生存する男性は約28%、女性は52%。女性は95歳までの生存率が約27%です。

この統計から、男性の老後期間を25年(65〜90歳)、女性を30年(65歳〜95歳)として、老後の生活資金(計算式=(年間支出−年間収入)×老後期間)を計算すると、男性は約657万円の黒字(=生活資金は年金で賄える)です。一方、女性は約1466万円を準備する必要があります。

・男性(老後25年):(178万1772円−204万4692円)×25年=0円(約657万円の黒字)
・女性(老後30年):(179万9088円−131万460円)×30年=1465万8840円

算出したのは、一般に現役時代の70〜80%といわれる「基本的生活費」です。安寧な老後を過ごすためには、医療・介護費用や余暇費用などの予備資金を上乗せする必要があります。

特に医療・介護費用は、2人以上の世帯に比べ、どうしても他者に頼らざるを得ません。その分だけお金を必要としますので、少し多めに見積もる必要があります。

男性の多くは生活費を年金で賄い、万一の支出に対しては退職金で対応できそうです。一方、女性は「老後資金約1500万円+予備資金1000万円程度」を退職金でカバーするのはかなり難しいので準備が必要です。

自分の収入や能力に応じた金融商品、例えば私的年金・外貨預金・預貯金・投資信託・金・株式などでコツコツと蓄えながら、副業やリスキリング(学びなおし)で収入を増やすことも考えましょう。70歳くらいまで細く長く収入を得る道につながれば最高です。

また、老後資金と同じく、いえそれ以上にコツコツと時間をかけて作り上げる必要があるのが「つながり」です。

「つながり」への対応策:ITスキルで「生存のためのつながり」

「つながり」のイメージはコロナ禍を境に激変しました。遠くの親族はもちろん隣人や近くの友人とも助け合うことができない状況を体験し、改めて「つながり」を考えた人も少なくないでしょう。老後、特に身体機能が低下し他者のサポートが必要となり始める75歳以降は、「生存するためのつながり」が必要になります。

新型コロナウイルス感染症対策として、外出を最小限に絞り込んだこの数年、IT弱者もテレビ電話・ビデオ電話・メールなどで遠く離れた子どもや孫、友人知人と交流を深め、ネット経由で必要な物資や情報を入手・発信するようになりました。「生存のためのつながり=親戚・友人知人・近隣の人」から人や距離の縛りが消えたのです。

ITスキルは、おひとり様を孤独や孤立の恐怖から解放し、おひとり様の生活を支え、社会や人、モノとつながる必須ツールになりました。

とはいってもネットでは構築できない「つながり」があります。それは生活や身体のサポートを受けるため、そして死後の整理のためのネットワークです。「どこ(誰のそば)に住むか」の選択は、このネットワークの中で生きるための選択でもあります。

現在の家だけでなくケアハウス、有料老人ホーム、シニア向け賃貸住宅、サービス付き高齢者向け住宅など、終の棲家の候補は多種多様です。介護・看取り・死後整理に対する考えを、サポートしてくれる親族や友人、地域包括センターの担当者、後見人などに素直に伝えて、それが実現可能な居場所を元気なうちに探すといいでしょう。

シンプルが一番!

安寧な老後には、生活スタイルと思考の見直しも必須です。終の棲家への転居や死後整理を考慮して生活スタイルをシンプルに整え(=生前整理)、「比較」「執着」「義理」などを手放して人間関係や家計をシンプルにしましょう。無駄な支出が減り、豊かで平安な老後につながります。「Simple is Best」です!

文:大沼 恵美子(ファイナンシャルプランナー、年金アドバイザー)

大沼FP・LP設計室代表。FPとして2002年に独立開業。「健康は食のバランスから、貯蓄は生活のバランスから」という考えを提唱する。企業や地方自治体等の各種セミナーやFP資格取得講座、福祉住環境コーディネーター資格取得講座の講師も務める。
(文:大沼 恵美子(ファイナンシャルプランナー、年金アドバイザー))

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