『ちむどんどん』賛否両論も黒島結菜にとっては得! 沢口靖子や松下奈緒、朝ドラ女優たちの「損得勘定」

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2022年09月30日 05:00  週刊女性PRIME

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周防正行監督作品映画『カツベン!』完成披露レッドカーペットイベントでの黒島結菜('19年10月)

 賛否が渦巻いたNHK連続テレビ小説『ちむどんどん』が終わる。ヒロイン・比嘉暢子に扮した黒島結菜(25)の演技についても議論百出だったが、黒島自身の損得を計算すると、得をしたのは間違いない。顔と名前が広く知れわたったからだ。

賛否の『ちむどんどん』、でも視聴率は今期トップ

 黒島は2012年にデビューし、NHKの時代劇『アシガール』(2017年)などに主演してきたものの、知名度が十分とは言い難かった。秀作はあったが、ヒット作とは呼べなかったためだ。しかし、もう知らぬ人はいない。

『ちむどんどん』の視聴率は世帯が16%前後で個人が8%前後(ビデオリサーチ調べ、関東地区、以下同)。最終的に近年の朝ドラでは最低を記録しそうだが、それでも現在放送中の全ドラマの中で断トツのトップ。朝ドラは人気商売である女優が顔と名前を売るには格好の場だ。

 暢子が他人の気持ちを推し量れないキャラクターだったため、黒島まで苦手になってしまった人がいるかも知れない。また、黒島の演技が暢子の高校時代から出産後まで一本調子だったことにクビを捻った人もいるはず。

 もっとも、それは脚本と演出に従ったもの。黒島に限らず、役者の実力は1作だけでは量れない。勝負はこれから。この朝ドラで得られた知名度を生かすも殺すも本人次第である。

 黒島は10月からKing & Prince​平野紫耀(25)が主演のTBS系ドラマ『クロサギ』(金曜夜10時)でヒロインを務める。平野は詐欺師のみを騙す特殊な詐欺師に扮し、黒島は検事を目指す正義感の強い大学生を演じる。今度は嫌われそうにない役柄である。

 朝ドラヒロインを務めると、知名度が武器になり、しばらくは大きな仕事が来る。だが、不評が2、3作続くと、元の木阿弥になってしまう。黒島も正念場だ。

 朝ドラをジャンピングボードにした好例が『澪つくし』(1985年度上期)の沢口靖子(57)である。沢口は1984年の第1回「東宝シンデレラオーディション」でグランプリに選ばれ、直後に『ゴジラ』など2作の映画に出演したものの、茶の間の知名度はもう一歩だった。だが、この朝ドラのヒロイン・古川かをる役を演じたことで、状況は一変する。

 かをると吉武惣吉(川野太郎)による「ロミオとジュリエット」を思わせるラブストーリーで、視聴者は画面に釘付けになった。平均世帯視聴率は44.3%に達した(ビデオリサーチ調べ、関東地区、以下同)。沢口は十分過ぎるほどの知名度を得た。

 沢口は翌1986年、TBS系連続ドラマ『痛快!OL通り』に主演。これも大ヒットし、視聴率は20%を突破した。『澪つくし』で沢口を知ったことで見た人も多かったはずだ。そもそも朝ドラに主演してなかったら、『痛快!OL通り』の話もなかったかも知れない。以降は順風満帆。一度も主演級から退いたことがない。

朝ドラを機にトップ女優へ

 大きく得をした朝ドラヒロインの代表格は平均世帯視聴率が18.6%だった『ゲゲゲの女房』(2010年度上期)の松下奈緒(37)にほかならない。松下は2004年にデビューしたものの、朝ドラヒロイン前は二番手以下が大半で、主演作はNHKの深夜の連ドラ『グッジョブ -Good job-』(2007年)のみ。当時から演技力はあったから、知名度不足がネックになっていた。

 それが、この朝ドラで売れない漫画家の夫・村井茂(向井理)に寄り添う妻・布美枝を演じた途端、様変わりする。放送終了後はフジテレビ系『CONTROL〜犯罪心理捜査〜』(2011年)NHK『胡桃の部屋』(2012年)、テレビ朝日のスペシャルドラマ『二十四の瞳』(2013年)と立て続けに主演。以降もずっと主演級である。

 既に高い評価を得ている女優も得をする。例えば『カーネーション』(2011年度下期)でデザイナー・小原糸子役を演じた尾野真千子(40)である。

 当時の尾野は30歳。2007年に主演映画『殯(もがり)の森』がカンヌ映画祭コンペティション部門でグランプリを受賞しており、女優として完成されていた。だが、映画に軸足を置いて活動していたため、幅広く知られている存在とは言い難かった。

 だから尾野は『カーネーション』のヒロインのオーディションを受けた。制作発表では「出たら売れる。親孝行ができると思っていた」と語り、喜びを隠さなかった。朝ドラヒロインたちの本音に違いない。

 この朝ドラの平均世帯視聴率は19.1%だった。放送終了後の尾野はフジテレビ系『最高の離婚』(2013年)に出演するなどドラマの仕事が急増。CMも増えた。

朝ドラをきっかけにできなかったパターンも

 損をしたと思われる女優もいる。『つばさ』(2009年度上期)で短大生・玉木つばさを演じた多部未華子(33)と『ウェルかめ』(2009年度下期)で雑誌編集者・浜本波美に扮した倉科カナ(34)である。ともに平均世帯視聴率が13.8%、13.5%と低く、それが事あるごとに蒸し返されたからだ。

 とはいえ、ドラマを成功させる要素は「1に脚本、2に役者、3に演出」というのが古くからのセオリー。2人に責任はない。

 実際、『つばさ』はよく分からないところのある脚本だった。ラジオがなぜか人間の姿(イッセー尾形)に変身し、つばさと話した。朝ドラにはヒロインの努力ではどうにもならないことがある。

 明らかに損をしたヒロインもいる『春よ、来い』(1994年10月から1年間)を半年で途中降板した安田成美(55)だ。降板理由は故・橋田壽賀子さんの脚本の仕上がりが遅れ気味で、その内容にも疑問を抱いたから。共演陣の中にも同意見の人はいた。

 ところが、憶測で「安田の歴史観が降板理由」とする報道があった。「安田引退」と一方的に書いたメデイアも。安田はマイナスイメージが付いてしまった。

 芸能界を離れたヒロインもいる。例えば平均視聴率20.5%だった『オードリー』(2000年度下期)で、映画監督・佐々木美月役を演じた岡本綾さん(39)である。

 放送終了後、TBS系の連ドラ版『いま、会いにゆきます』(2005年)などに出演したが、井ノ原快彦(46)の主演映画『天国は待ってくれる』(2007年)でのヒロイン役を最後に引退した。

 岡本さんは当時24歳。引退時には所属事務所を通じ、報道各社にファツクスで「女優として内から引き出すものがなくなり、一度自分自身を見つめ直す時間がほしい」とコメント。損得を含め、朝ドラヒロインのその後はいろいろだ。

取材・文/高堀冬彦(たかほり・ふゆひこ)放送コラムニスト、ジャーナリスト。1964年、茨城県生まれ。スポーツニッポン新聞社文化部記者(放送担当)、「サンデー毎日」(毎日新聞出版社)編集次長などを経て2019年に独立。

NHK連続テレビ小説『ちむどんどん』


NHK総合 月〜土 8:00〜8:15、12:45〜13:00


(土曜は一週間の振り返りを放送)


公式サイト:

https://www.nhk.or.jp/chimudondon/

 

 

 

 

 

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