“夜の街”で圧倒的支持を集めた漫画『明日、私は誰かのカノジョ』、ラストはどうなる? 最終章直前、作者インタビュー

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2022年09月30日 09:02  ねとらぼ

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ねとらぼ

最終章では重要キャラの白井雪が再登場/(c)Cygames

 9月30日、漫画『明日、私は誰かのカノジョ』が最終章に突入しました。累計発行部数が間もなく400万部に達する同作は、夜の街で圧倒的な支持を集め、掲載媒体である「サイコミ」に新しい読者層を呼び込むなど、特定の領域において大きな影響力を持っています。



【その他の画像】



 「これを描いて終わり」という最終章が始まるにあたって、作者・をのひなおさんと担当・梅崎さんに取材し、連載が始まってからの変化や作品にまつわるエピソード、好評だった実写ドラマの背景、最終章で描くことなどについて伺いました。



【※※※記事中に一部、単行本未収録の内容が含まれます※※※】



●完結まであと半年!?



――最終章を迎えた感想は。



をのひなお もっと早く終わるはずだったんですが、描きたいことや描かなきゃいけないことがでてきて今に至ります。「やっと来た」「もう終わりか」のどちらの思いもあります。



――最終章を銘打ってから4〜5年続く作品もありますが、想定しているボリュームはどれくらいですか。



をのひなお 来年の春頃に完結じゃないですか。



担当 大体予定より数カ月伸びるから夏だと思う。



【最終章】物語の最後の章。「最終」とはいえ、最終章に突入してから数年に渡って連載が続く漫画も少なくない。



――明日カノの読者数は右肩上がりなんですか? それとも章によって増減があるのか。コメントの盛り上がりは4章がすさまじかったです。



担当 ずっと伸びていて、現在は1週間で約60万人が読んでいます。



をのひなお 読者数とコメント数は比例していなくて、書き込む人の割合はそこまで多くないんです。



――驚異的な数字ですね。「少年ジャンプ+」「マガポケ」「マンガワン」の人気作となんら遜色がない。これだけヒットしたら、スピンオフもありえそうですね。



担当 やるなら本人に描いてもらいたいですね。麻雀漫画『天牌』では、同じ原作&作画コンビでスピンオフ『天牌外伝』をやって、同時進行していたんです。明日カノも……



をのひなお 無理ですよ。分身しないと。



――サイコミは王道の少年マンガ誌を目指してスタートしたそうですが、最近は『あなたは私におとされたい』『東京深夜少女』『私がわたしを売る理由』『この裏アカ、先生でしょ?』といった作品が人気です。



をのひなお 女性向けが増えましたね。



担当 明日カノでけっこう変わったので、今はまた王道系の作品を仕込んでいます。



――サイコミではセールスに応じてインセンティブが支払われるんですよね。それがかなりの金額になると伺いました。



をのひなお はい……。別媒体で連載している作家仲間に驚かれました。



担当 作家さんにとって非常にいい環境だと思います! 



●ギリギリまで悩んだ6章ラスト



――連載開始から約3年半経ちますが、一番変わったのはなんですか。



をのひなお なんだろう。



担当 歳をとった(笑)。ここのところ、をのさんと「歳を取りたくない」という話をよくしていて、6章も「老い」が一つのテーマになっています。



――6章で菜々美さんが主役になったのはびっくりしました。5章でルナと飲むシーンが印象的で、途中までしっかりした大人だと思っていたら、急に不穏な空気になって……



をのひなお あの時点では、次の主人公にしようとは思ってなかったです。昔ビジュアル系好きで、今はスピリチュアルにハマっていて、あとちょっと競馬好きというキャラをどう6章に落し込むか考えていて。スピリチュアルのセッションも実際に行きました。



――体験してどうでした。



をのひなお なんでも話していいという安心感のもと会話が進んで「スピリチュアルとは……?」「これはセラピーでは??」となりました。



――6章は途中までつらい話だったんですが、通して読むと一番好きな章になりました。



担当 編集部でも、特に中年男性陣には好評でした。



をのひなお 原稿を渡したときに「うわ、つらいわ」「俺、これが一番すきかも」とか、担当さんの反応が大きかったです。



※以下、ネタバレあり



――最後はハッピーエンドだと受け取ったのですが、あれはもともと考えていたんですか。



をのひなお ネームを仕上げるギリギリまで悩みました。いくつか案があったものの、どれもしっくりこなくて、最後に「こんな感じでどうですか?」と担当さんに聞いたら「それいいですね」となって。



――「これでいいんだ」だと妥協になるのが、「これがいいんだ」になると少し前向きで。



担当 解釈は分かれますよね。「これがいいんだ」と自分に言い聞かせる読み方もある。ただ自殺エンドではない……(笑)。



をのひなお その読み方は全く考えていなくて、「最終章のプロローグで1Pから菜々美でてくるんだけどどうしよう……」と思いながら反応を見ていました。



【自殺エンド】6章ラストで菜々美さんが飛び降りたとする読み方。同話に登場するcali≠gariに「マグロ」という楽曲があることが補助線になっていた。



――菜々美さんの生き様は、仮に人生に“勝ち負け”があるとして、負けたら負けたなりに「これでいいんだ」と思いながら生きればいい、と。そういうメッセージはあまり世に出てないから良かったです。



●ドラマは「もうこれで描きたかった」くらいの出来



――今年の4月から実写ドラマが放送されて人気でした。去年の9月には「ドラマ化は未定」と伺っていたので、スピード感に驚きました。



をのひなお 撮影から放送までとても早かったです。



担当 放送中も撮影していましたからね。



――これまでサイコミ作品のドラマ化は。



担当 最初がツナミノユウさんの『ふたりモノローグ』で、吉谷光平さんの『今どきの若いモンは』と明日カノが今年の4月に同時期にドラマ化しました。



――ドラマはクオリティが高かったです。キャストの選考等には関わっていたんですか?



をのひなお 基本的に全部お任せしていて、言われたことに「なるほど、了解です」という立場でした。キャストはみなさんハマり役ですばらしかった。漫画の序盤は連載デビューしたてなのもあって展開運びが拙いんですが、ドラマは「もうこれで描きたかった」っていうくらい綺麗になっていて、スタッフの方々に感謝です。



――監督は酒井麻衣さんら、3人が務めているんですね。打ち合わせなどはどのように。



をのひなお オンライン会議で話のすりあわせをしました。



――ドラマで印象に残ったシーンはありますか。



をのひなお ホスト編の冒頭(6話)で、萌のセフレ・豪の家が出てくるんですが、テーブルの上でポテチがパーティ開けされていて、そこにシビれました。豪はパーティー開けするタイプなんですよ! そういう細かいところまで気を配っていただいて、こっちが描きたかったことや描ききれなかったことを汲み取った演出・セリフがいくつもありました。



担当 11話のキモ客は衝撃的でしたね。指示棒をシャカシャカして「今日の授業はおしまいです」とやるヤツ。独自解釈で上乗せしてきた!



――10話でホストクラブに幻想の客が出現する様子はすごかったです。



をのひなお 「ラストナイト・イン・ソーホー」みたいな。映像作品ならではの演出も素晴らしいから、まだ見てない人はぜひ! 放送時は「こんなに面白いんだよ」と思って毎週Twitterで実況していました。



担当 エンディングの入りも良かった。「シティーハンター」方式というか、ED曲が絶妙なタイミングで流れて。



――ドラマ化で新たな読者に届いた感触はありますか。



をのひなお 単純に単行本の売り上げがぐっと伸びました。



担当 アプリの読者数も跳ねて、編集長からも「なんであんなに成功したの?」と聞かれたんですが、いい制作チームのおかげです。



――ディズニー+で配信中ですよね。そもそもなぜディズニーが……。



担当 あるときディズニーさんが興味をもっていると話があって。「え? え?」と気がついたら話が決まっていました。



をのひなお 運が良かったです。



担当 ディズニー+では日本以外にアジア圏でも放送されるので、さらなる広がりに期待しています。



をのひなお リメイク版をぜひ作っていただきたい(笑)。



――ドラマがこれだけ成功したら次もありそうですね。



担当 やってほしいです。次やるとしたら5〜6章ですけど、すごくシブい話になるから、どうするんだろう。



をのひなお 6章は邦画っぽさがありますね。4月末から歌舞伎町にゆあの特大看板が掲出されているんですが、ドラマの反響もあって期間が延長されました。



担当 あれもクライナーさんから「コラボしませんか」と連絡が来て、あれよあれよという間にああなってました。



――今後、実現したい企画はありますか。



担当 アニメ化ですね。お話、お待ちしています!



――明日カノは今、海外市場では読めるんですか。



担当 まだないですね。フランス語の予定が以前からあるんですが。海外版は話がでてから契約や翻訳作業等で時間がかかるんです。



をのひなお 翻訳はぜひお願いしたい。



●最終章は雪たちが描かれる



――最終章のタイトルは「No Woman No Cry」。また洋楽の名曲ですがこのチョイスは……?



をのひなお 担当です。いくつか案を出してくれるので、そこから私が選んでいます。



担当 章ごとのイメージを聞いて考えています。



【洋楽の名曲】1章:Killing Me Softly(ロバータ・フラック)、4章:Knockin' on Heaven's Door(ボブ・ディラン)、番外編:Stairway to Heaven(レッド・ツェッペリン)、6章:What A Wonderful World(ルイ・アームストロング)、7章:No Woman No Cry(ボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズ)。



――前回の「What A Wonderful World / この素晴らしき世界」は伏線回収が見事でした。



をのひなお もともと最終章のタイトルにする予定だったのが、なにかの手違いでこうなっちゃって。でもうまいこと回収できて良かった。



――そして、菜々美さんの同級生が雪の母親……! 「シッチィ」というあだ名は以前にも登場していました。



をのひなお あそこで気付かれるかなと思いました。白井雪でお母さんが白井性だったらシッチィ……コメント欄に鋭い読者さんが大勢いるので、ヒヤヒヤしていました。



――最終章では雪がまた戻ってくるんですね。同級生たち(リナや萌、留奈)はでてくるんですか?



をのひなお でてきます。あの学校も濃いですね。



――みんないろいろ抱えている。最終章を期待している読者に向けて一言お願いします。



をのひなお 最後まで楽しんでいただけたらうれしいです!



担当 すぐには終わらず、なんだかんだ長い付き合いになると思います。



(取材・構成:高橋史彦)


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