ryuchellとpecoの離婚が「理解できない」人たちの心理、認定子育てアドバイザーが語る家族のカタチ

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2022年09月30日 11:00  週刊女性PRIME

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週刊女性PRIME

ryuchell(りゅうちぇる)

《これからは夫と妻ではなく、人生のパートナー、そしてかけがえのない息子の親として、家族で人生を過ごしていこうね。という形になりました》

 ryuchell(りゅうちぇる・26)とpeco(ぺこ・27)が、8月25日にそれぞれのインスタグラムで離婚を発表した。ふたりは2016年に結婚し、2年後に長男が誕生。今後も別居はせず、4歳になった息子と3人で暮らしていくという。

《“夫”であることに、つらさを感じてしまうようになりました》

《本当の自分のことを言えずにいる苦しさを、毎日ひとりで抱え込んでしまいました》

 離婚原因となった、ryuchellのセクシュアリティーにまつわる告白はネット上で大きな反響を呼んだ。

《結婚前に伝えるべきなのに、ぺこがかわいそう》

《子どもの気持ちを考えると、公表する必要があるのか疑問》

《りゅうちぇるは告白して楽になっただろうけど、そのぶんぺこに重荷を負わせているのでは》

 など、大多数がryuchellへの厳しい意見であったことから、発表直後は炎上状態に。

炎上収まらないryuchellとpecoの離婚

 突然の離婚発表から約1か月。ふたりはこの間にもさまざまなメディアに登場し、離婚に至るまでの葛藤や話し合いの様子などを語っている。ある女性ファッション誌のインタビューでは、

「結婚するときに墓場まで持っていくと決めていたから、てこ(ぺこ)には自分のセクシュアリティーを話していなかった」

 とryuchellが語ったことで、結婚前から自身の性自認があったこともわかった。

 ふたりの離婚について、新しい記事が発表されるたびに多くの意見が飛び交い、論争は収まりそうにない。“多様性”の時代、ふたりの離婚をどう見るべきなのか。

「大前提として、まずはryuchellさんの告白を尊重すべき」

 子育てアドバイザーで、『新しいパパの教科書』などの編著書がある高祖常子さんはそう語る。ただ、高祖さんがこのニュースに最初に触れたとき「婚姻関係を維持したうえでの“新しい家族の形”も見たかった」と少し残念に感じたという。

「多様化の時代だからこそ、男性と女性という性にとらわれない、新しい夫婦像を世間に示すことができたのではないかと個人的には思いました。自治体によっては、同性間のパートナーシップ制度も認められています。

 ryuchellさんとpecoさんのお互いの信頼は失われていないわけですし、ふたりの婚姻関係は解消したとしても、将来的にはこうした制度を利用する方向性もあったでしょう」(高祖さん、以下同)

追い詰められての“離婚決断”に

 しかし、その後発表された雑誌のインタビューで、「紙切れ1枚のことだけど、それをしないとやっぱり自分は次に進めない」とryuchellが思い詰めていたことが明らかに。離婚は彼の強い意志だったことがわかった。

「このインタビューの内容から、ryuchellさんが心を整理する方法はやはり離婚しかなかったのだと改めて理解できました。

 結婚するときに“墓場まで”と無理な決断を自分に強いてしまったからこそ、苦しさが限界まで募り、離婚という決断を下さざるをえなかったのかもしれませんね」

 近年はLGBTQへの理解が深まりつつあるにもかかわらず、ネット上ではryuchellを非難する声が多い。

「妻の立場として、つい自分に置き換えて考えてしまう女性が多いのではないでしょうか。ryuchellさんが結婚前からセクシュアリティーに気づいていたのならなおさら“なんで結婚したの?”と理解が難しく、割り切れない気持ちになるのでしょう。

 とはいえ、ふたりが納得いくまで話し合って出した結論は重んじるべき。いろいろな考え方があるのはよいことですが、直接的な批判は、新しい道を進もうとしているryuchellさん一家を傷つけてしまいかねません」

 これまでも、ryuchellは自身の“個性”について語ってきた。幼いころから、バービー人形やキラキラしたものが好きだったせいで、小中学生のころはからかわれ、つらい思いをしたこともあるという。高祖さんのもとにも「息子が自分のことを“私”と呼びたがって困っている」といった相談が寄せられることもあるそうだ。

「子どもの場合、セクシュアリティーの問題ではなく、ただ単にお友達のまねをしているだけのケースもあります。どちらにしても、そうした子どもの発言を無理にただしたり、否定したりすべきではありません」

 親が“男らしく”“女らしく”と、子どもに対して無意識に自分の価値観を押しつけている場合もある。

「男の子が“私”と言ってはいけない、女の子が“僕”と言ってはいけない理由はなんでしょう。親である自分が恥ずかしいなど、親の都合が理由になっていないか、考えてみる必要があります」

 ryuchell自身は、高校時代に意を決し、ずっとあこがれていた金髪のカールヘアにメイク姿で思い切って登校。

 “本当の自分”を同級生に認めてもらえたことが自信につながったと語っていた。

「ファッションやメイクでは大胆な表現ができても、やはり“男性は女性を愛するべき”という意識は強く刷り込まれたものだったのでしょう。今回のryuchellさんの“苦しかった”という発言からもよくわかります」

 印象的なのは、

《夫として、男として、pecoを守れなかった》

 という言葉だ。

「共働き家庭が増加し続けている現在、経済的な面からも、もはや夫がひとりで家計を支えているケースは少なくなりつつあるのでは。それでもやはり、夫が家庭を守るべきとの考え方は根強いのだと思います。こういった世間の風潮も、少しずつ変わっていけばいいなと感じます」

子どもには丁寧な説明が必要

 ryuchellのカミングアウトが、4歳のひとり息子に与える影響を心配する声も多く聞かれた。今回の離婚について、ふたりはできるだけ息子にわかりやすく説明したと週刊誌のインタビューで明かしている。

「男の子だけど男の子を好きな人がいて、ダダ(パパ)はそういう人なんだよ」

「あなたは紛れもなく愛し合って生まれてきた子なんだよ」と息子に伝えたところ、「僕はハッピーだよ」との言葉が返ってきたという。

「子どもへの丁寧な説明はとても大切で、今回のおふたりの対応は素晴らしいと思います。セクシュアリティーの問題にかかわらず、両親の離婚や別居では、子どもに心配をかけまいと真実をあいまいにしたり、嘘をついたりしてごまかしてしまう方もいます。

 それだと子どもは“聞いてはいけないことなのかな”と親に気を使うようになり、苦しくなってしまいます」

 離婚や別居を決断したときだけではなく、子どもが成長していく過程で、その都度丁寧な説明やフォローをしていく必要もある。

「おふたりのお子さんはまだ4歳。これから理解力が深まったり、思春期を迎えたりと、成長段階で父親のセクシュアリティーにもやもやした気持ちが生じる可能性は十分にあります。

 そんなときにお子さんの思いをきちんと受け止め、会話ができる親子の関係性をいまから築いておくといいですね」

 今回の騒動で際立っていたのは、妻であり母であるpecoの、家族への深い愛情と強い意志だろう。

《何よりもまず、りゅうちぇるという人間そのものがだいすき》

《りゅうちぇるがこうして今生きて、勇気を振り絞って打ち明けてくれたことに、ありがとうの気持ちでいっぱい》

《わたしは息子に胸をはって、りゅうちぇるはすてきなパパだよと伝えられる》

 と、ryuchellと息子への迷いなき気持ちをインスタで語っている。

「pecoさんのこの発言が、すべての答えだと思います。周囲が何を言っても、pecoさん自身はryuchellさんをまるごと受け止め、新しい形でやっていこうとすでに前を向いています。さまざまな家族の形をみんなで応援し、支えられるような社会になるといいですね」

 ryuchellのように、結婚後に自身の性自認に迷いが生じるのは決して珍しいケースではない。特に子どもがいる家庭では、親としてどうすべきか非常に難しい選択を迫られる。

「今回のpecoさんの対応は素晴らしいものでした。とはいえ、自分がpecoさんと同じ立場に立たされてしまったとき、同じようにふるまえなくても自分を責める必要はありません。多様性を認めるべきと頭ではわかっていても、心が追いつかないのは当たり前です」

 苦しければ物理的に距離を取り、別居をするなどして新たな関係性を築く方法もある。

「ryuchellさんたちは同居を続けることを選びましたが、この先、子どもの成長やお互いの心境の変化に伴い、別の選択をする可能性もあるかもしれません。それでもいいんです。絶対にこうすべきとの正解はありません。

 その都度、臨機応変に、家族がいちばん心穏やかに過ごせるスタイルを模索していけばいいと思います」

 家族の形は、それぞれの家族の数だけ無限にあるのだ。

高祖常子(こうそ・ときこ)●認定子育てアドバイザー。NPO法人ファザーリング・ジャパン理事。子どもの虐待防止や、家族の笑顔を増やすための講演活動なども行う。著書に『感情的にならない子育て』(かんき出版)など多数

(取材・文/植木淳子)

 

 

 

 

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