保護犬の中には、新しい里親に譲渡できないケースもある……噛み癖があり、立てなくなってしまった老犬の場合

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2022年10月01日 10:40  まいどなニュース

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ピースワンコにきた当時のイヴくん

2019年のある日のこと。愛護センターから、保護犬の譲渡活動を行うピースワンコ・ジャパン(以下、ピースワンコ)に引き出された一頭の犬がいました。

【写真】14歳で椎間板ヘルニアとなり、立てなくなってしまったイヴくん

その名はイヴくん。詳しい出自はわかりませんが、噛み癖があり、気性が荒い性格の彼は、前の飼い主から飼育放棄されたのではないかと思われます。

イヴくんの噛み癖は激しいもので、人だけでなく他の犬も対象のようです。そのため、すぐにシェルターに入れることはせず、しばらく検疫犬舎の中で様子を見ることにしました。

散歩も餌も大好きなイヴくん、飼育放棄の疑いが…

ピースワンコに来た当初のイヴくんは 噛み癖が直らない一方、お散歩好きの元気な犬でした。餌を前にすれば素直にお座りし、餌をゲットすると、誰にも取られないよう隅っこのほうに持ち帰り、美味しそうに食べるお茶目な一面もありました。保護犬は大まかに「野犬」「捨て犬」の2パターンがいますが、人間から餌をもらえることを知っていることから、イヴくんはやはり飼育放棄された犬なのではないかと思われます。

お世話は、スタッフ2人がかりで約30分の1日2回

スタッフの愛情を受けたイヴくんは、噛み癖こそ直らないものの、少しずつ心を開くようになりました。しかし、この気持ちの行き来と反比例するかのように、イヴくんの肉体は日に日に老化がすすみ、椎間板ヘルニアを患ってしまいます。さらに首から下は全く動けなくなり、1日中寝たきりになり、床ずれのせいで体中穴だらけになっています。

噛み癖があることから接するのも大変ですが、それでもスタッフは与えられた命を守ろうと懸命にケアを続けます。体が動かないイヴくんをスタッフが抱きかかえながら移動させようとすると、イヴくんはまたガブッ。それでもスタッフは笑顔で接し、「痛いね〜」「よし、イヴちゃん帰ってよーし!」と明るくケアし続けます。

床ズレが起きている傷口などへの手当ては2人がかりで約30分。これを日に2回行います。とても大変な作業ですが、スタッフによると、その活動の源は他でもない多くの保護犬たちの「その日1日を精一杯生きる姿」だと言います。

しかし、この数日後イヴ君はお世話を続けているスタッフたちに見届けられながら、静かに天国へ旅立っていきました。

譲渡からあぶれてしまった保護犬を、今日もケアし続ける人がいる

ピースワンコには、様々な環境のもと引き取られた保護犬がいます。こういった保護犬のなかには、さまざまなトレーニングをしても、新しい里親に譲渡することができない犬もいます。「気性難である」「老犬である」「病気がある」といった理由によるものです。

今回ご紹介したイヴくんもそのうちの1匹ですが、譲渡が難しい保護犬であっても、その命を守り抜くため施設内で懸命にお世話をし続けています。「保護犬の譲渡活動」という取り組みを通して、最終的には「犬猫の殺処分ゼロ」を目指しているからです。

「一度救われた命を1秒でも長く生きて欲しい」と願うスタッフの思い・懸命な活動によって譲渡が難しいワンコの命も今も守られ続けています。

「保護犬」の話では、悲惨な状況から救われ新しい里親さんの元で第二の犬生を過ごす……というハッピーエンドなものに注目しがちですが、そういったケースからあぶれてしまうワンコも確実にいます。しかし、それでも命を守り続ける人たちがおり、今日も懸命にケアし続けています。このことをより多くの人に知ってもらい、何かの行動につなげていただくことを願うばかりです。

(まいどなニュース特約・松田 義人)

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