48歳でがんを発症した医師が確信!15年再発しなかった理由は「がんに“克つ”5つの生活習慣」

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2022年10月01日 11:10  週刊女性PRIME

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船戸崇史先生(写真提供/船戸クリニック)

「左腎にがんが見つかった48歳までは、忙しくて睡眠不足、食生活もぞんざい。冷たい清涼飲料水が大好物だった」と話すのは、船戸崇史先生。

まさか自分ががんになるわけがない

人間ドックで左腎に6cmの腫瘍が見つかりました。ステージは1bですが、転移があればステージ4になる可能性もありました。現実を受け入れられず『医者の私ががんのはずがない』と、かたくなに受け入れられなかったですね」(船戸先生、以下同)

 信じ切れず、ほかの医師にCT画像を診てもらったり、関連する文献を調べ続けた。

「もし私が死んだら、妻や子ども、クリニックやスタッフはどうなるだろうと次々と不安が押し寄せ、怖かったです」

 ショック状態から時間を経て、「神様が自分の身をもって治療法を探せと言っているのかも」と思えるようになった。

「今までがん患者さんにしてきた治療法を自分で試せる機会です。そうすれば患者さんたちの痛みや苦しみも体感できる。それで手術を受ける覚悟を決めました」

 腎臓がんは抗がん剤や放射線治療も効きにくいため、左腎を全摘出することに。

「今までは自分がメスを入れるほうでしたので、初めての体験に少しワクワクしました。でも術後に麻酔が切れると、傷に割り箸が入っているようで、めちゃくちゃ痛かった(笑)。その痛みに懲りて生き方を変えようと決意しました。患者さんには『がんは生活習慣病ですから、生活を見直して』なんて言ってたのに、自分の生き方には無頓着でした

女性はがんの発症が若年化

 日本では現在、2人に1人ががんになり、3人に1人ががんで死亡するといわれる。特に女性はがんの発症が若年化の傾向にある。いったいがんはどのように発生するのか。

「がんは遺伝子のエラーが積み重なり、細胞ががん化することが判明しています」

 遺伝子は日常的にエラーを起こしており、通常であれば、修復されない細胞は自滅する。「しかし、一部のそうならない細胞が『がん細胞』になります。人間の身体では、通常でも毎日約5000個のがん細胞が発生しているといわれています。しかし、その都度、リンパ球などの『免疫細胞』ががんを消してくれるのでがんになりません。これが自然治癒の力です」

 しかし、このシステムが体内で働かなくなる人がいる。

「リンパ球の働きは『ホルモン』と『自律神経』によってコントロールされています。この2つの働きが乱れると、がん細胞が増えていき、がんになる。それを引き起こす要因となるのが、現代人の悪い生活習慣なのです」

 自律神経には交感神経と副交感神経がある。交感神経は日中や興奮時に優位になりやすい。反対に副交感神経が優位になると、リラックスモードにかわる。

「がんを退治するリンパ球がより働くのは、副交感神経が優位なとき。例えば睡眠中は副交感神経が優位になりますが、これまで診てきたがん患者さんは睡眠が足りていない人ばかりでした。私たちががんになるのはリンパ球の働きを邪魔する生き方をしているせい。だがら、“がんが嫌がる生き方”をするべきです」

がんになるメカニズム4つ

1. 悪い生活習慣がホルモンと自律神経の働きを乱す
2. リンパ球の働きが邪魔される
3. その日にできたがん細胞をすべて消し切らない
4. 消し残りのがん細胞が増えてがんになる!

生き方を変えてがんが治る身体をつくる

 船戸先生はがんになるまで「そもそもなぜ病気になるのか」という根本的なことを考えることはなかった。だが、自分をひとりのがん患者として客観視するようになる。

あらためて自分の生活習慣を振り返るとひどいものでした。がんはそれまでの生き方や生活習慣の“結果”。だから、外科手術で切り取り、抗がん剤や放射線治療で対処しても、以前のままの生活をしていたら再発するのは当たり前です

 自分の治療を通じ、「がんを消すリンパ球を元気に」し、自然治癒力を引き出す生活習慣を考え始める。

「遺伝子のエラーは、ストレスや睡眠不足、食生活の乱れ、冷え、たばこや過度の飲酒などの悪い生活習慣や、環境要因などで加速します。つまり、より早くがん化する可能性があります。そこで、それとは反対の生き方にすればいいと考えました」

 単に規則正しい生活をするだけでは足りない。「睡眠」「食事」「笑い」「運動」「身体を温める」の5点に注目して暮らすことが大切だと気づき、治療を続けながら自ら実践した。

「これをクリニックでは5か条にまとめました。実際に習慣化させた患者さんは、本当にがんが小さくなりました(次ページ参照)」

クリニック5か条を習慣化させた患者IさんのCT腹部画像

 Iさんは73歳の男性。来院時、進行胃がん、多発肝転移、がん性腹膜炎(腹水)、両下肢浮腫があった。このままなら余命3か月、抗がん剤治療をすれば6か月から1年という診断だった

4ヶ月後の画像を見ると…

 週1〜2回の点滴(栄養剤、若干のステロイドなど)を行うとともに、「5か条」だけを習慣化したところ、肝臓の約9割を占めていた腫瘍が縮小していた

 また、がん患者の臨床経験から、がんになりやすい人がいることもわかってくる。

「がんになる人は無理をしている人が多い。『我慢して』『頑張る』『頑固者』なので、頭文字から“3G”と呼んでいます」

 日本人らしくまじめで自分の規範を持ち、それを踏み外さないようにする。

「『頑張らなきゃ』というストレスががんを助長するエネルギーになります。生きていくうえではある程度の頑張りは必要かもしれませんが、頑固な性格だとそれが習慣化してしまうのがよくない。やりたいことや楽しいことを後回しにしてしまう3Gの人は、自分の生活を犠牲にしがちです。そんな窮屈な生き方は捨てたほうがいい」

すぐに実践したい5か条の生活習慣

 では、がんに“克つ”生活とは、どんなものなのか。

「自然治癒力の源となるのは睡眠と食事、笑いの3つ。良質な睡眠ほどがん細胞の除去に有用なことはありません。6〜8時間は睡眠を。食事は野菜を中心とした『がんが嫌う食べ物』を積極的にとることをおすすめしています」

 ただし、余分なカロリーががんのエサになるので食べすぎは厳禁。

「断食で内臓を休ませると免疫力が上がるので、自宅では週に1回、『1日断食』をしてみては(下記参照)」

1日断食のやり方

 内臓を休ませると免疫力が上がるので、食べないことは非常に有効な健康法。1週間に1回、断食で、よくない腸内環境もリセットしよう。食べ物をたくさん食べると、活性酸素が大量に増えて、余計な活性酸素ががんや老化の原因になる。

やり方
 前日の夕食に梅干しを入れたおかゆを軽く食べたら、翌日の朝食、昼食は食べず、水分だけを補給する。夕食もおかゆを。おかゆにはおすましを足してもOK。

 がん患者は3Gの人が多く、笑いが足りないと話す。

「笑うことで免疫力が高まります。口角を上げるだけでも効果がありますよ」

 さらに運動と身体を温めることは、がんを消すためのアクセル(加速装置)のような働きをする。

「運動によって体内に酸素が増えるとリンパ球が元気になります。反対に運動が足りないと“がんが好む環境”をつくり出してしまうので要注意です。また、がん患者さんは低体温の人が多い。体温が1度上がると、リンパ球の活性が40%上がるといわれているので、身体を温めたり、冷やさない習慣も心がけましょう」

 船戸先生も実践している5か条の生活習慣については次のページで詳しくご紹介する。

がんに克つ5か条

 がんを予防するには生活習慣を見直すこと。船戸先生がおすすめする5つの生活習慣とは。

その1. 質のいい眠りで免疫力を働かせる

 がん治療にとって治る時間を確保することはもっとも重要だ。睡眠中はさまざまなホルモンが分泌され、起きている間に傷ついた細胞や体内組織を修復し、疲労やメンタルストレスを改善する。

 まずは規則正しい生活で睡眠時間を維持しよう。そのうえで船戸先生が推奨するのが「10―6睡眠」だ。

 しかし、仕事や不安、身体の痛みなどのストレスが良質な睡眠を妨げることが多い。

「仕事量を減らしたり、不安が消えないときは睡眠薬の使用も考え、眠れるようになったら徐々に減らす。痛みも薬で除くことができます」

 スマホ画面のブルーライトの影響で眠れなくなるので、睡眠前は見ない習慣を。

「10-6睡眠」のコツ

 夜10時に寝て、朝6時まで8時間眠ろう。人間は耳や手のひらにも光を感じるセンサーがあるので、部屋は真っ暗にするのが望ましい。眠れないという人は朝の運動時間を30分増やして、身体を疲れさせるとよい。

その2. がんが嫌う食材を積極的にとる

「がん細胞も日頃の食事が栄養源になります。だからがんが嫌う食材を積極的にとり、がんが好む食材を減らしていくことが大切です」

 第一に推奨するのが、緑黄色野菜、果物、根菜、海藻類、きのこ類、豆類、発酵食品だ。

「私も納豆にキムチ、めかぶを入れたものを毎日食べています。緑黄色野菜には自然の抗酸化物質『ファイトケミカル』が豊富です。この物質は、湯通しすると抗酸化作用が高まります。がんを予防するなら、煮たり蒸したりする調理法がおすすめです」

 果物にもファイトケミカルが豊富。無農薬のものを、皮ごと食べることが望ましい。

「外来患者さんにご紹介している、ファイトケミカルが豊富なスープと、にんじんとりんごのジュースの作り方をご紹介します。スープは毎朝、私もいただきます」

 反対に、がんが好む食材には、糖質と肉類、乳製品、塩分がある。

「がん細胞は特に糖質が好き。お米や小麦などを使った糖質や、精製した砂糖を大量に使用したお菓子、清涼飲料水を過剰に摂取するのは避けたほうがいいでしょう。肉類をどうしても食べたいときは鶏肉を選んで。たまには私も肉を食べますが、以前より魚を食べる頻度が増えました」

 牛乳はなるべく避け、チーズやヨーグルトといった発酵食品は少なめを心がけて。

先生おすすめ!スープ、ジュースの作り方

【にんじん&りんごジュース】


無農薬のにんじん3本、りんご1個、レモン1/2個をジューサーにかける。がん予防なら毎日200ml、がん患者なら毎日400〜800ml飲む。

【野菜スープ】材料と作り方

1. 無農薬の15種類以上の野菜と海藻、きのこ、豆類を用意。野菜を葉ごと乱切りにし、そこに海藻、きのこ、豆類、適量の水を入れて30分〜1時間煮込む。

2. 最初のうちは、少量のみそ、しょうゆ、キムチ、カレー粉などで味をつけて食べる。慣れてきたら1のままでも。

その3. 朝、30分の運動でがんが嫌う酸素を増やす

 がんは、酸素と熱を嫌う。酸素が多く、温かい状況では、がん細胞を取り締まる免疫細胞の中のリンパ球の活性が高まるためだ。

「朝起きたら、できれば6〜8時の間に、最低30分から1時間歩きましょう。有酸素運動であるウォーキングは体温が上がり、体内の酸素が増える効果が期待できます」

 また、朝の光を浴びることで、セロトニンという幸せホルモンが分泌される。

「セロトニンは約15時間後には睡眠ホルモンの『メラトニン』に変わります。朝の適切な運動は、夜、良質な睡眠を得るためにも役立つのです」

 ウォーキングの途中、無酸素運動の100mダッシュを1〜2回入れるとベスト。

「酸素がない状態で筋肉を使うと、筋肉に乳酸がたまる。乳酸は細胞の中に存在する、細胞小器官の1つ『ミトコンドリア』のエサになり、さらにリンパ球を元気にします」

 走るのが苦手ならスクワットなどの筋トレでもよい。

「運動が嫌いな人はジムで指導をしてもらうのがいちばん間違いないですね」

その4. 笑う習慣でNK細胞を活性化

笑いにはどんな治療より効果がある」と語る船戸先生。
笑いで免疫力がアップすることにはエビデンスも多い。

 リンパ球の一種に、がん細胞やウイルス感染細胞などを見つけ次第攻撃する「NK(ナチュラルキラー)細胞」がある。笑いの作用によって、このNK細胞が活性化することが実証されている。

「家族や友人とコミュニケーションをとり、大声で笑うのももちろんいいですね。でも、面白いことや楽しくなくても口角を上げて『ニッ』と笑うだけでも効果はあります。がん患者さんはまじめな人が多いので笑いが足りていないのが現実。腹が立ったときでも、イライラしても、あえて笑ってみてください」

 泣くという行為も効果的だ。大切なのは我慢せずに感情を外に吐き出す習慣だという。

「こらえるのはとにかくダメ。大いに笑って、大いに泣いて、感情をため込まない生活をすること。我慢することは心身のストレスにつながり、がんを大きくしてしまいます」

 がん予防以外にも、笑うことは免疫細胞を活性化するため、アトピー性皮膚炎や花粉症にも有効。抑うつを改善し、血糖値を下げるといった研究も

その5. 温活で体温を上げ免疫細胞を活性化

「がん患者さんには低体温の人が多いです。低体温の体内はがんにとって居心地がいい。対して、リンパ球の活性は体温が1度上がると40%上がります。また、冷えは血行不良が原因ですが、その血行は自律神経が調節しています」

 身体を温めて血行をよくすることで自律神経のバランスを整えることが大切だ。

「身体を冷やさないために、エアコンが効いている部屋では足首が隠れる靴下を履き、特に下半身を冷やさないように気をつけています」

 冬は腹巻きやスパッツで身体を温め、夏は冷たい飲み物やアイスクリームなど内臓を冷やす食べ物を避け、身体を冷やさない工夫を。運動するのも体温を上げる手段のひとつだ。

「さらにがん細胞は42・5度以上で死滅するといわれています。そこでおすすめしているのが『HSP(ヒートショックプロテイン)入浴法』です。私も術後に実践しました」

 HSPとは、誰もが持っている“ストレスから身を守るためのタンパク質”だ。

「入浴などの熱刺激を受けて増加し、がんと闘う免疫細胞の力を増強すると考えられています。がんに克つためには、欠かせない存在なのです」

HSP入浴法のやり方

1.バスタオルと着替えは、すぐ手の届くところに置く。
2.浴槽のふたを開けたり、床や壁にシャワーをかけ、浴室内を暖める。
3.手、足、身体(心臓から遠いところから)にかけ湯をする。
4.浴槽には、足から手、身体の順にゆっくりとつかる。
5.湯につかりながら、舌下で体温を測る。38度まで上がるのが理想的。
6.入浴後は「10〜15分」、身体を保温する。

※お湯の温度目安/42度→入浴10分、41度→15分、40度→20分
※血行促進作用のある入浴剤を使用の場合は、40度→15分
※詳細についてはHSPプロジェクト研究所所長の伊藤要子医師のHPをご参照ください。

船戸崇史先生


船戸クリニック院長。日本ホリスティック医学協会副会長。日本消化器外科学会認定医。西洋医学を中心に東洋医学や補完代替医療を取り入れ治療、診察を行う。また、がん予防滞在型リトリート「リボーン洞戸」も開設。著書も多数。

<取材・文/宇野美貴子>

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