子どものムダ毛、脱毛していい? 中学生以下の患者増と知っておくべきリスクとは

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2022年10月01日 11:30  AERA dot.

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体毛が気になる──。子どもから大人まで、ムダ毛で悩む人がいる。ムダ毛はないほうがいいのか
(写真:gettyimages)
永久脱毛、介護脱毛、増える子どもの脱毛ニーズ──。ボディーポジティブという言葉が広まる一方で、「ムダ毛」を気にする人はいまだ多い。だが、脱毛には一定のリスクもある。AERA2022年10月3日号の記事を紹介する。


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 メノポーズカウンセラーで、デリケートゾーンの商品を扱う「うるおいヘルスケア」代表の小林ひろみさんは、中学生くらいから、人より毛深いのではないかと悩んでいた。


 誰に指摘されたわけでもない。しかし、視界に毛深い腕が入ってくるのがたまらなく嫌だった。わき毛は放置するとかゆくて不快。きれいにするには抜いた方がいいが、30分はかかる。わき毛が皮膚下で埋まった状態で伸び、炎症が起こって膿むこともあった。


 起業した2008年、わきを永久脱毛した。小林さんは言う。


「QOL(生活の質)、爆上がりです」


 小林さんのように、体毛がQOLにかかわることは確かにある。


■痛みやリスクを説明


 一般に脱毛には医療機関とエステティックサロンの施術があり、レーザー照射か光照射かの違いがある。半永久的な脱毛を望むなら医療機関、除毛や減毛で手入れが楽になればいいというならエステ。ただ、施術時の痛み、火傷(やけど)や赤み、毛嚢炎(毛穴の奥の毛根を包む部分の炎症)のリスクは、医療機関、エステどちらにもある。医療機関には、肌トラブルが生じた際、すぐに対応できるというメリットがある。


 高梨医院(さいたま市)の吉岡容子院長が言う。


「痛みは部位や機械によって程度の差はあれ必ずありますし、赤みや湿疹は正常な反応で、誰にでも出ます。繰り返せば毛嚢炎が起こる部位もある。作用があるから副作用がある。これらをきちんと説明してくれるところを選ぶことがトラブル回避になります」


 痛みは麻酔クリームや笑気麻酔で対処する手もあると聞く。


「麻酔を効かせすぎて、痛い、熱いといった感覚がわからなくなるのは危険と考えています。患者さんの訴えがあれば、レーザーの出力を抑えるなど速やかに対処ができますから」(吉岡院長)


 皮膚の疾患を抱えている場合はどうだろうか。難治性のアトピー性皮膚炎患者も多く診る巣鴨千石皮ふ科(東京都)の小西真絢院長のもとには、「脱毛の契約後、その肌の状態では脱毛できないと言われた」という相談が時々寄せられる。




「治療で症状がコントロールできていれば、脱毛は可能です。患者さんの中には、髭の脱毛で、湿疹や赤みが思っていたよりひどく出た方もいました。医師から見ると脱毛治療で想定内の反応であっても、患者さんはびっくりしてしまう。事前にどんな反応が出るのかを確認し、皮膚の疾患があるなら主治医に相談すると安心だと思います」(小西院長)


 体毛を気にするのは大人に限った話ではない。全国24院展開の医療脱毛専門院「リゼクリニック」の昨夏の調査では、小中学生女子の8割以上が処理経験済みだった。医療脱毛希望の中学生以下の患者数はこの5年間上昇しており、その数を2020年4月〜21年3月と5年前を比較すると8.3倍増。


「当院では施術は14歳以上としていますが、脱毛業界全体を見ても、希望者の低年齢化が進んでいる」(リゼクリニック新宿三丁目院・大地まさ代院長)


■悩みを受け止めて


 遺伝的要因から小学校低学年の頃には毛深くなる子どももいる。その特徴が、からかいやいじめの原因になるケースもある。子どもが「脱毛したい」と言ってきたら、親としてどうすべきだろうか。


「まずは体毛に対する悩みを受け止め、子どもに寄り添った対策を考えてほしい。剃刀などの自己処理はまたすぐ生えてくるので処理の回数が多く、皮膚トラブルを招きやすい。親が安全で適切な処理法を理解し、直接あるいは子どもに教えて体毛処理をする。脱毛も選択肢の一つです」(大地院長)


 ただし、脱毛は子どもがはっきり意思表示した場合のみの選択肢にすべきだという。脱毛には痛みが伴い、火傷や赤み、毛嚢炎のリスクがある。施術前後は紫外線対策、施術後は肌を清潔に保つことが不可欠だ。授業や試験、学校行事がある中で、施術に耐えられ、注意事項を守ることができるか。親のサポートも必須になる。


「『自分が体毛で悩んでいたから』と、親の意向で子の脱毛を選択した話を聞くことがあります。子どもの意思が定まらない中での脱毛は、心身の負担になる懸念があり、決してお勧めできません」(同)


■介護脱毛は自分のため


 子どもの毛は発育段階にあり、脱毛回数が多くなったり、脱毛完了後また生えてくることがある。思春期はホルモン分泌の活発化で体毛が濃くなるが、思春期を過ぎホルモンバランスが落ち着くと自然と薄くなることもある。念頭に置いておきたい。




 近年、40〜50代を中心に広がっているのが「介護脱毛」だ。将来、介護される立場になった際、排泄後の拭き取りや清拭で介護者らに迷惑をかけないようにデリケートゾーンの毛を脱毛する。大地院長は新傾向として「『迷惑をかけないため』ではなく、シニア期を快適に衛生的に過ごしたいなど、『自分のため』に介護脱毛を希望する人が増えてきている」と指摘する。


 冒頭の小林さんは、ある勉強会で、看護職の人が「排泄処理は速やかさを優先にしており、じっくり見ない。高齢者は毛が少ない。毛で迷惑に感じたことはない」と発言していたのが強く印象に残っているという。「同様の話は介護職員からも聞いたことがあり、『迷惑をかけないための介護脱毛』には違和感があった。しかし、『自分のために』というのであれば理解できる」(小林さん)


 ただし、注意したいのは、更年期以降の介護脱毛だ。女性ホルモンの減少で皮膚が乾燥しやすくなっているため、肌トラブルが生じる可能性がある。小林さん自身も以前は問題なかったのに、更年期を迎えたいま、デリケートゾーンの毛を処理すると下着が当たるだけでも刺激を感じるようになった。


「いきなり脱毛ではなく、剃ったり電熱カッターで処理したりするところから始めてはどうでしょう。メノポーズカウンセラーの立場としては、将来の介護を考えるなら、脱毛より、寝たきりの大きな要因となる骨粗鬆症(こつそしょうしょう)対策に力を入れてほしいですね」(小林さん)


 毛をなくしたい人がいる一方で、毛を必要とする人もいる。


「こんなに需要があるとは思っていませんでした」


■ウィッグにリピーター


 アンダーヘアのウィッグ「ヴィーナスベール」を14年から販売する「クレイジーバンプ」の担当者は言う。ヴィーナスベールは特殊加工のシールでピタッと貼り付き、水に濡れても剥がれず、1週間ほど持続する。日本人にとって自然な毛量、色、質感が人気で、使い切りで1個2万円近くするが、一度に複数個購入する人や定期購入するリピーターがいる。


「『永久脱毛したが、親と温泉に行くときに使いたい』『年を取り薄くなってきて人目が気になる』などの声をいただいています。開発当時は女性をターゲットにしていたのですが、男性からの要望もあり、その後、男性用も作りました」(担当者)


 なくしたいけど、あってほしいときもある。あなたは体毛とどう付き合う?(ライター・羽根田真智)


※AERA 2022年10月3日号


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