知らないと損!「払いすぎている人が多すぎる」国が教えてくれない“介護費が100万円減る”世帯分離の裏ワザ

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2022年10月02日 06:10  週刊女性PRIME

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週刊女性PRIME

介護費が家計を圧迫(イラスト/伊藤和人)

 親に介護が必要になったとき、どれくらいの費用が必要になるのか知っているだろうか。

介護費用は総額500万円超!

 生命保険文化センターの調査(2021年度)によると、介護にかかる費用は、住宅のリフォームや介護用ベッドの購入費などの一時的な費用が平均74万円、介護施設や住宅介護サービスの利用料、おむつ代、介護食代などの月々の費用が平均8・3万円。介護期間は平均5年1か月としてこれらを合計すると総額は500万円を軽く超える。

 親が要介護・要支援になると、介護サービスの利用料などに公的介護保険が適用され、自己負担の割合は1〜3割となるが、それでも多くの費用が必要となる。高齢の親と同居している人や、これから同居しようと考えている人が避けては通れない親の介護費用の問題。少しでも負担を減らしたい。なにか方法はないだろうか。

「世帯分離という方法をとると、介護費用を抑えられますよ。日本の高齢者のうち46%は低所得者だといわれていますが、それを本人や家族が自覚していないので、本来受けるべき国からの補助を受けられていないのです。国の制度を賢く使って節約しましょう」

 そう話すのは『「世帯分離」で家計を守る』の著者で「お金と福祉の勉強会」代表の太田哲二さん。世帯分離というのは同居中の親子が住民票を2つに分けて世帯を別にするというもの。これをすると介護費が安くなるのだとか。

 これはどういうカラクリなのだろう。

「介護費の自己負担額は『世帯の所得』によって決まります。この『世帯』というのがミソ。親が属する世帯のことなので、親を子ども夫婦と同じ世帯にしておくと、所得が上がり、自己負担額も高くなるのです。そこで“世帯分離”。世帯を分けると親の所得だけで計算されるので、自己負担する料金が安くなり、結果的に介護費が安くなります」(太田さん、以下同)

「世帯分離=親子の縁を切る」ではない

 その際のありがちなトラブルとして、親が嫌がるケースがある。

「世帯分離をよく知らないと、『親子の縁を切ろうとしている』と思われてしまうのです。でも、住民票を別にするだけで、戸籍とはまったく関係ありません」

 こんな誤解もあるという。

「世帯が別になると、親を養っているときに受けられる扶養控除が認められなくなるという情報もインターネット上にありますが、そんなことはありません。世帯分離はあくまでも『住民票での世帯を分ける』というだけで、扶養控除とは関係ありません。いままでどおり受けられます」

 そして、もっとも大切なのは、親自身が、子どもと生計を別にして、介護保険料や介護費用を自分のお金で負担したいと望んでいるかどうかということ。というのも、世帯分離は本来、社会的保護を受けなくては生活が立ち行かなくなる人を守るための手段で、介護費用を節約するためのものではない。

「そのため、介護費用の節約のためだけに世帯分離をするのだと、市役所の窓口で受け付けてもらえないことも。世帯分離をするときは、家族でよく話し合って」

世帯分離する前

 親と子を同じ世帯にしておくと、親の「世帯の所得」が上がる。つまり、所得が多いと認定され、本来受け取れるはずの支援を手放すことに。その結果、介護費用が家計を圧迫してしまう。

世帯分離すると…

 親との子の世帯を分けると、「親世帯の所得」が低くなるため、国からの補助が受けられて、介護費用の節約に。住民票を分けるといっても、同居のままでOK。

世帯分離するといくら安くなる?

 世帯分離をすることで、抑えられる費用は主に3つ。

高額介護サービス費

 ひと月に支払う自己負担額は所得によって決められていて、それを超える場合の支払いは、国から返還される。世帯分離をして所得が下がると、自己負担額も少なくなる。

特定入所者介護サービス費

 特別養護老人ホームやショートステイを利用した場合の費用も所得によって負担額が少なくなる。施設での食費や居住費といった介護費用が節約できる。特に高額な費用がかかる施設に入所した場合は、世帯分離することで負担額に大きな差が出るので、かなりの節約に。

自治体による支援制度

 在宅介護の場合、市町村によってはおむつ代などの介護費用を給付してくれることも。各自治体によって異なるため、役所などで確認してみてほしい。

「これだけの費用を抑えられるのですから、介護費用が100万円以上安くなることも珍しくありません」

Kさん東京都在住夫婦の年収約700万円の場合

医療型ショートステイの費用が1か月あたり5万円減

 田舎の母が身体を壊し、介護が必要になったので、私たち夫婦と一緒に暮らし、世帯も同じにしました。そのすぐ後から医療型ショートステイに通うようになり、その費用が1か月14万円ほど。

 母のこととはいえ、この支払いは正直きつかったです。そこで知ったのが世帯分離。藁にもすがる思いで世帯分離をしたら1か月の支払いが9万円ほどになり、だいぶラクになりました。それから3年弱通っていたので、合計すると150万円ほど安くなったことに。もしあのとき、世帯分離をしていなかったらと考えると怖いです。

超簡単、世帯分離の3ステップ

 役所の手続きというと面倒なイメージがあるがそれは勘違い! ポイントを押さえてスムーズに申請しよう。

1. メリットがあるかどうかを確認

 世帯分離をして介護費用を抑えるために重要なのは、介護サービスを利用する親世帯の所得額を下げること。親の所得が高いと無意味だから要注意! また、親が自分で支払いを希望していることが重要な要件だ。

2. 必要な書類をそろえる

 本人確認書類、国民健康保険証(加入している場合)を持参。住民課の窓口にはいろいろな申請書がズラリと並び、どれに記入すればいいのかわかりにくいため、窓口で聞くのが吉。

3. 書類を窓口に提出する

 あとは窓口に書類を持っていき、簡単な質問に答えるだけ。ただし、注意点も。

「世帯分離の理由を聞かれたら、『生計を別々にすることになったから』という事実だけを伝えましょう」

世帯分離で減らせる介護費用以外のお金

 世帯分離をすると、国民健康保険料も安くなることも。

「国民健康保険料の金額は前年の所得で計算されるため、世帯分離によって負担額が減るケースが多いんです。ただし、各世帯主がそれぞれ国民健康保険料を支払うことになるため、合計の負担額が増える場合もあるので、注意してください」

 世帯分離で親が納める介護保険料も安くなる場合も。

「例えば、母親と子夫婦が一緒に住んでいる場合。母親の年収が年金だけで80万円以下ならば、母親を1人世帯にするだけで介護保険料の支払額が年間5万7600円から、ほぼ半額の3万円になります」

 これだけメリットの多い世帯分離だが、誰でも必ず得をするわけではない。

「世帯分離で大きな得をするのは親の年収が80万円以下の人です。アルバイト収入や年金額が多いなどで、親の収入が高い場合は補助を受けることができないので、世帯分離をしても意味がありません」

 メリット、デメリットを親とよく話し合って決めたい。

世帯分離で減らせるかもしれない!
介護費用以外のお金3つ

国民健康保険、後期高齢者医療制度
どちらも前年の所得で計算されるため、世帯分離によって負担額が減る場合がある

介護保険料
子夫婦と世帯分離するだけで、介護保険料の支払額がほぼ半額になることも

住民税
所得が135万円以下の場合、住民税を払わなくていいため、年間17万円ほど抑えられることも多い

教えてくれたのは 太田哲二さん


1948年名古屋市生まれ。中央大学大学院修士課程法学研究科修了。杉並区議会議員。「お金と福祉の勉強会」代表。著書に『「世帯分離」で家計を守る』など。

<取材・文/村瀬航太>

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