「100均のメガネで老眼が改善できる」眼科院長が伝授、1日20秒で水晶体をもみほぐし、目の筋肉をリラックスさせる方法

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2022年10月03日 05:00  週刊女性PRIME

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100均メガネで老眼改善(※画像はイメージです)

 年齢を重ねると避けて通れない老眼。年だから仕方ないとあきらめてしまう人もいるが、進行を遅らせる改善トレーニングがあるという。

そのトレーニング、実は100円ショップで売っている安い老眼鏡を使うのです」と話すのは、東京医科歯科大学医学部の臨床教授の経歴を持つ梶田雅義さんだ。

 老眼を安価な老眼鏡で改善できるというのは意外な話だが、まず老眼が起こる仕組みを簡単に説明したい。

 そもそも老眼とは「加齢にともなって目の調節機能が衰え、近くのものにピントが合いにくくなる状態のことを言います」(梶田さん、以下同)

老眼で頭痛や肩こりがひどくなることも

 私たちはものを見るとき、水晶体の厚さを調節することでピント合わせをしている。水晶体には弾力があり、周囲にある毛様体筋という筋肉が、水晶体を引っ張ったり緩めたりして厚さを調節しているのだ。遠くのものを見るときは、毛様体筋が緩んで水晶体が薄くなり、近くのものを見るときには、毛様体筋が緊張(収縮)して水晶体が分厚くなる。

 ところが、若いころはプリプリして弾力があった水晶体は、年とともに弾力性が失われて硬くなる。そうなると、毛様体筋がいくら緊張しても硬くなってしまった水晶体は厚くはならない。それで近くのものが見えにくくなってしまう。これが老眼だ。

水晶体が硬いのにピントを合わせようと毛様体筋が頑張ってしまうと、目が疲れたり、頭痛や肩こりがひどくなったりします。悪くなると、うつ状態になることもあるので要注意です

老眼を早めるNG行為

1. 裸眼で長時間スマホを見る

 ずっと同じところを見ていると、水晶体が固まってしまい老眼が加速しやすい。これは俗にいうスマホ老眼だが、加齢による老眼と合わさった状態となり回復しにくい

2. 合わないメガネを使用する

「遠くが見えやすいメガネ」は手元が見えにくく、メガネを外してスマホを見ることになってしまう。目の疲労防止のためにも「見たい距離」の度数のメガネの使用を

近視の人は老眼に気づきにくい

 梶田さんによると、「手元が見えづらくなった」と気づくのは、平均して、44歳6か月のころだという。よく「遠視の人は老眼になりやすく、近視の人はなりにくい」と聞くが、それは正しくないそうだ。

「遠視の人の場合は、近視の人よりも近くにピントを合わせづらいため、老眼に気づきやすいだけなのです。一方、近視の人は遠くのものは見えにくいですが、近くのものにはピントが合い、よく見えるため、老眼に気づきにくいのです」

 近視用のメガネやコンタクトをしている場合、それらを外せば、手元にピントが合うので、「自分はまだ老眼ではない」と思ってしまいがちだ。しかし梶田さんによると「外して手元を見るようになったこと自体が老眼の始まり」だそうだ。

 つまり老眼は近視か遠視かにかかわらず、加齢による自然な現象なのである。だが、日常生活に気をつけることで、老眼を遅らせることも可能だという。

「1つは、裸眼で長時間スマートフォンを見ないこと。スマホは手元で見るので、特に近視の人はピントを合わせるために裸眼で見ることが多いと思いますが、それでは手元に焦点を絞ったままになってしまいます。この状態は、ピント合わせをまったくしないことになるので、水晶体が固まってしまいます」

 もう1つは、合わないメガネを使わないこと。特に近視の人は、メガネをつくるときに遠くがよく見えるメガネをつくることが多い。しかし、現代の生活では遠くを見るよりもスマホやパソコンなど手元を見ることのほうが多い。つまり、遠くを見るためのメガネで近くを見ていることが増えるのだ。

「老眼のためだけでなく、“見たい距離”の視力がいいことが目にとっては大事です。しょっちゅう観劇に行く人なら遠くを見る用、パソコン作業が多い人なら近くを見る用と生活スタイルに合わせたメガネを使いましょう。そうすれば、目の疲労も防げます」

簡単20秒!寝る前の老眼対策

 老眼鏡の出番を少しでも遅らせる、あるいはすでに老眼になっている場合に少しでも改善させるためには「水晶体が硬くならないようにもみほぐすこと」が大切だという。

 実は、このもみほぐしのトレーニングが100均で売っている老眼鏡を使って簡単にできるのだ。ふだんメガネをかけなくても遠くがよく見えている人が老眼鏡を使うことで、あえて遠くがぼやける状態をつくり、毛様体筋をリラックスさせるトレーニングだ。手元と遠くを交互に見ることで水晶体の厚さを変えてもみほぐすことにつながる。

 なお、近視の人はすでに手元にピントが合っているので裸眼でやってもいいし、メガネやコンタクトをつけた状態で100均老眼鏡をかけて同様にやってもいい。

 日中に近くを見続けて筋肉が疲れた目は、就寝前に遠くを見ることによって疲れが軽くなり、翌日に疲労を持ち越さないで済む。そのため、このトレーニングは寝る前にやるのがおすすめだ。

「老眼は加齢にともなって起こる自然な現象ですが、トレーニングをして水晶体をもみほぐせば、進行を遅らせることができます。老眼と戦うのではなく、トレーニングをしながら、上手に付き合い、快適な人生を過ごしてください」

教えてくれた人は 梶田雅義先生


梶田眼科院長、東京医科歯科大学医学部臨床教授(2018-2021)。テレビ番組など、メディアでも活躍。

<取材・文/江頭紀子>

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