「気持ち悪い」「白すぎ」心ない言葉からアルビノ女性を救った母の存在 緑内障発症も「見えなくなるまで、家族の顔をしっかり見ておきたい」

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2022年10月03日 07:30  ORICON NEWS

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アルビノである自分を受け止め、メイクやファッションを楽しむりり香さん(本人画像提供)
生まれつき肌や目の色、毛髪の色素が薄い“アルビノ”という遺伝子疾患を持つ“りり香さん”。アルビノについての質問に答えたYouTubeの再生回数は180万回を超え、インスタやTikTokなどのSNSでも自身の生活ぶりやファッション、アルビノあるあるに至るまで幅広く発信。正しい知識を伝えると共に、「アルビノの人ってこんなにキレイなんだ」「天使みたい」と反響を呼んでいる。昨年、緑内障を発症。失明は免れない中で、SNSで自身について発信を始めた背景や、今後について話を聞いた。

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■文字が読みづらく、紫外線に当たれない…小学校で直面した入学拒否の壁

 アルビノは眼皮膚白皮症とも呼ばれ、生まれつき皮膚、髪、眼などの色が薄い病だ。矯正不能な視力障がいを伴う場合も多く、今のところ確立された治療法はない。りり香さんが自分をアルビノだと認識したのは、小学生の頃だという。

「二卵性の双子の妹もアルビノで、姉、私、妹の三姉妹のうち二人がアルビノだったので、小さい頃はあまり自分が人と違うことを意識せずに生きてきました。小学校で自分の生い立ちについて作文を書く時に、お母さんに教えてもらって知ったのが最初です」

 初めて聞いた時は、幼かったこともあり「ふーん」という感じで受け止めた。通っていた幼稚園や小学校には外国人も多かったため、容姿についていろいろ言われることはなかった。

「ただ、前例がなかったので小学校入学にあたって、母は相当苦労したと聞いています。学校とは別に、視覚支援の教育相談にも通うので、なんとか普通の小学校で受け入れて欲しいと、教育委員会など様々な機関を交えて説得したそうです」

 アルビノは視覚障がいを伴うことが多いのに加えて、紫外線に当たることも厳禁とされる。皮膚で紫外線を遮断できないため耐性が低く、当たれば火傷のような症状が表れてしまうからだ。黒板の文字を読むことが難しかったり、日に当たれないと皆と同じ授業が受けられないという理由で、入学拒否される場合も珍しくない。

「私の場合は、視覚障がい者用に作られた拡大教科書や、近くを見るルーペ、遠くを見る単眼鏡を使って授業を受けていました。体育の授業は長袖長ズボンで対策するなど、基本的には同じ授業を受けていましたが、どうしてもできなかったのが星の観察。見えないので、みんなと同じことができないのを実感する瞬間でもありました」

中学校からは視覚支援の学校へ。地元から離れるので友だちと一緒に中学に行けないことはさみしかったが、新たな気づきも生まれた。

「それまでは私が一番見えない環境だったんですけど、視覚支援学校では本当にいろいろな子がいました。触れ合えることで、勉強になることもたくさん経験できたと思います」

■「うちの子、白くてカッコいいでしょ?」心ない言葉から救ってくれた母の存在

 りり香さんがSNSでアルビノについての発信を始めたのは、昨年の5月から。時間に余裕ができたため、「何か自分にしかできないことを始めてみよう」と思ったのがきっかけだった。最初はインスタとTik Tok、数か月後にYouTubeをスタートした。

「アルビノと言うと、アニメのキャラクターや海外のモデルさんをイメージされる方が多くて。見た目だけじゃなくて、アルビノについてのいろいろなことを伝えたいと思いました。ありがたいことにたくさん反響をいただいて。少しでも興味を持ってもらえたことは、すごく嬉しいですね」

 日常生活のことからアルビノに対する質問への回答、メイク法などのファッションまで様々な発信をしているが、時には心ないコメントがくることも。

「元々眉毛やまつ毛は髪の毛と同じ白なのですが、メイクをしていることによって、『アルビノじゃない人が嘘をついている』と言われることもありました。最初はモヤモヤしましたが、そういう人もいるんだなと慣れてきて、ちょっとしたコメントでは傷つかなくなりました(笑)」

 心ない言葉は、実生活でも。「アルビノの私が今でも辛いこと」として投稿した動画で明かされた、街ですれ違う人からの「白すぎ!」「キモチワル」などの言葉だ。

「アルビノで辛いことは、数えきれないぐらいたくさんありますが、直接投げかけられる言葉はやっぱりしんどいです。小さい子どもから大人まで、層を問わずにひどい言葉を言われることがあるのは、今でも辛いですね」

 やがて、大人になるにつれ「そういう風に言う人は知識がないってことだから、逆にかわいそう」と思えるようになったが、それでも幼い頃に負った心の傷はとても深い。

「気持ち悪いと言われて私が傷ついていると、母が『うちの子、白くてカッコいいでしょ?』って言い返してくれました。いつも、私が自信を持てるような言葉をかけてくれた母には、とても感謝しています」

 どんな時も側に寄り添い、いろいろな場所に旅行に連れて行ったりと様々な体験をさせてくれた母親の存在は、りり香さんにとって大きな支えだ。そしてこの1年でSNSを始めたことも、りり香さんが自信を持つきっかけになった。

「投稿を始めて、いろいろな方から温かいコメントをいただけたのは本当に嬉しかったです。今の自分でいいんだなって、受け入れられる気持ちが大きくなるきっかけにもなりました」

■緑内障発症で視力が失われていく日々も「見えなくなっていくことも明るく受け入れて発信していきたい」

 りり香さんを支える大きな力が新たにまた一つ加わった。それは旦那さんの存在だ。人と違う見た目について気にする彼女に、旦那さんはこう返してきたという。「白いのは素敵なことだと思うし、変だとも思わないし、見た目で結婚したわけじゃない。だから、そういうことは気にしなくていいよ」

 最初は理解してもらうのが難しかった義両親へも、旦那さんが毎日のようにりり香さんのいいところを伝えて説得。今では、とても仲の良い関係を築いている。

「義両親に私のことを伝えてくれた時は、この人と結婚しようとさらに強く思えた瞬間でした。私のようにハンデを抱えていても結婚できるんだなって感動しましたし、心に響く瞬間がたくさんありました」

 現在はSNS発信をしながら、専業主婦をしている。小さい時からの積み重ねで、視力が弱い中で家事をしているが、買い物など移動の伴う外出は付き添いがないと難しい。

「視力は0.01ですが、視野が測定できないぐらいの狭さで0度なんです。ほぼまっすぐしか見えないですし、上下も狭いので、横から小さい子が飛び出してきたりすると、気づけなくて危ないことも多いですね」

 昨年、眼科の定期健診で、緑内障が発覚。視野がない状態なので手術ができず、治療法は点眼で進行を遅らせることのみ。「このままいずれ見えなくなります」と医師に伝えられた時、頭が真っ白になり、落ち込んでしまった。

「でも、しゃーないなって。見えなくなってしまうことは変わらないから、今できることをやっておこうと思いました」

 毎年夏になると憧れる海へ行くことは、りり香さんには叶わない。だが、いろいろな場所を旅行して温泉でリラックスしたりと、自分にできる好きなことを楽しんでいる。目が弱い分、嗅覚や聴覚が優れており、別の土地を訪れると様々なことを感じられるそうだ。

「私は大好きな人と結婚できて、家族に花嫁姿も見せられたし、幸せな生活をさせてもらっています。だからこれ以上挑戦したいことはあんまりなくて。それよりも、見えなくなるまでずっと、家族の顔を見ておきたいなって思っています」

 りり香さんの姉は今、大学の薬学部に通っている。医療に関わりたいと選択した進路は、アルビノである双子の妹たちの存在も一つあるのだという。りり香さん自身もまた、自分と同じように悩む人たちの力になりたいと強く願っている。

「自分がこれからどんどん見えなくなっていくことも明るく受け入れて発信して、視覚障がいだけじゃなく、いろいろな病気や障がいを持っている人たちに、少しでも自信を持ってもらえるきっかけを作れる存在になりたいなと思っています」
(取材・文/辻内史佳)

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