幸福度1位の「新しい茨城」を目指し、自治体と企業の若手メンバーが議論

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2022年10月03日 10:01  マイナビニュース

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地方活性のために官民連携が求められる中、茨城県は「いばらき創生プロジェクト」を5〜6月にかけて開催。若手職員・社員18名が新しい茨城づくりを目指す企画を発表した。プロジェクトの事務局を務めたNTT東日本にプロジェクトの経緯、各企業・団体の若手職員・社員に感想を聞いてみたい。


○新しい茨城づくりを目指して官と民が連携



茨城県は、産官連携による県内中核人材の育成を目的とし、「いばらき創生プロジェクト」を開催。5月19〜20日に課題解決研修を行った後、6月24日に最終発表会を行った。


プロジェクトには、地方自治体として水戸市、土浦市、小美玉市、民間事業者として日立製作所 関東支社・茨城支店、JR東日本 水戸支社、NTT東日本 茨城支店の計6団体が参画。各組織に所属する若手職員・社員それぞれ3名が3チームを構成し、「SDGsを意識した、県民幸福度No.1の『新しい茨城』づくり」を目指した企画を披露した。各チームの発表テーマは以下の通り。


Aチーム:いつまでも健康でいられる茨城県

Bチーム:メタバース(仮想空間)を活用してボーダーレスな茨城県へ

Cチーム:シン・農業大国 いばらき


最優秀賞を獲得したのは、「メタバースを活用した災害対策」と「メタバース診療」を軸としたプランを発表したBチームだ。



NTT東日本 茨城支店長の長野公秀氏は、参加した団体・企業に感謝を述べるとともに、「期間が短い中で本当に良いアイデアがたくさん出てきた発表会だったと思います。皆さんが自分の気持ちとして『なにをやりたいのか』を伝えられたというのが一番だと感じていて、それを実現するために『なにが必要なのか』を、今回いろいろ学んでくれたのかなと思っています」と若手職員・社員にメッセージを送った。


茨城県の将来を見据えた、この「いばらき創生プロジェクト」。次にNTT東日本 茨城支店、そして研修に参加し表彰を受けた6名の若手職員・社員からの、同プロジェクトの感想を紹介しよう。

○茨城県内の中核人材を育成するために



「今回のプロジェクトのテーマは『SDGs』です。もちろん、SDGsを実現できることが理想ではありますが、どちらかといえばプロジェクトを通じて県内の中核人材を育成することが最大の目的といえます。そのために異業種間の交流の場が必要だと考えたのです」(NTT東日本 大久保氏)。


大久保氏は、このプロジェクトがスタートしたきっかけをこのように話す。企業や団体で長く働き続けていると、その組織の考え方やものの見方にしか触れることができず、思考に広がりを持てなくなってしまう。立場の異なる他業種と話し、異なる価値観と触れあうことで視野を広げていかねばならないという課題感が各社・各団体にあったという。



こうして2021年秋ごろより、NTT東日本 茨城支店を事務局として、本格的に「いばらき創生プロジェクト」の検討がスタート。2022年初頭には参加する企業・団体も決まり、各組織がプロジェクトに参加する若手職員・社員の選出を進めていった。



「NTT東日本では、立候補を募る形で参加者を募集し、その中から選抜しています。恐らく他の自治体さん、企業さんも同様でしょう。意識が高く、組織内でも将来を期待されるメンバーが集まっています」(NTT東日本 成澤氏)。


課題解決演習では、初めて顔を合わせる相手も多い中で、若手同士すぐに打ち解ける姿も見られたという。



「初日はどのようなメンバーがどんなスタンスで臨んでくれるのかと不安に思うところもありましたが、皆さんしっかりとテーマに対して準備し、エビデンスを持ち合わせて自ら意見を出し合っていました。開始後すぐに不安もなくなり、あとはどれだけゴールに向かって話し合ってくれるのかという期待に変わりました」(NTT東日本 成澤氏)。



そして迎えた最終発表会。同じSDGsというテーマであっても、各チームは医療・防災・農業など異なる視点から企画を発表した。



「一ケ月ほどしか与えられていない中で、皆さんしっかりと議論し、分析して作り上げてきたな、という印象を受けました。もちろん具現化のところはまだまだ足りない部分もありますが、多くの方に茨城県の良さと課題について気付きを与えられていたと思います」(NTT東日本 大久保氏)。


○若手職員・社員が得た貴重な経験



茨城県の中核人材育成を目的に開催された本プロジェクト。若手職員・社員はどのような考えでグループに参加し、発表会を経てどのように感じたのだろうか。NTT東日本 茨城支店の奥田氏、JR東日本の萩谷氏は、民間企業の立場から次のように感想を述べた。



「私は自治体さんをお誘いするという段階から参加しており、開催にはひとしおの思いがあります。普段担当しているなかで知っているつもりだった自治体さんの、現在の考えが伺えて非常に有意義でした。自社ソリューションにこだわらず、お客さまの課題から探っていくというのが今後の営業の在り方だと思っていますので、提案自体も今後の業務に活かせると思います。また私個人としても素晴らしい方々と知り合うことができ、得るものが大きかったです」(NTT東日本 奥田氏)。


「私が所属する観光課では実際に観光施設等とやり取りを行う機会がありますが、やはり打ち合わせは仕事の話で終わることが多かったと思います。今回は、さまざまな組織の代表とともに、それぞれの課題感や考え方を伝え合いながら、一カ月以上の時間をかけてひとつのプロジェクトを作り上げていくことができました。とても有意義な時間になったと思います」(JR東日本 萩谷氏)。


一方、土浦市役所の大森氏、水戸市役所の平野氏は、自治体の立場から次のように語る。



「昨今、官民連携という言葉をよく耳にしますが、私自身あまり民間企業と関わりがありませんでした。今回はそのきっかけ作りになればと思い、手を上げました。皆さんと話していて気付いたのですが、企業さんは世間に出てきていない、実用化されていない商品やサービスをたくさん研究しています。自治体は既存のサービスから使えるものを探しがちですが、実は企業としっかり話してみると解決できる課題は多いのではないかと感じています」(土浦市役所 大森氏)


「グループワークに取り組みながらも、同時並行でおのおのの考え方を共有し合えたことは非常に良い経験になりました。今回の研修だけではなく、その先につながるきっかけをつかめる場にしたいと思っていましたので、意見を交換できて良かったと思います」(水戸市役所 平野氏)。


小美玉市役所の大槻氏は一方で、今回の発表を踏まえた反省点を述べる。



「我々のグループは年齢や国籍といったさまざまな壁を超えていくために、仮想空間『メタバース』を取り入れることを提案しました。最後に"持続可能社会"を実現するために好循環が回っていくサイクルを取り入れたのですが、ロードマップとして最後に一本道で示しただけでした。持続が可能と視覚的にも分かるような形を取り入れたらよかったのかな、といまは思っています。また言い訳になってしまいますが、時間的な制約からコスト面まで言及できませんでしたし、Win-Winの関係構築なども詰め切れませんでした。そこまでやれたら、もっと説得力があったのかなと思います」(小美玉市役所 大槻氏)。


そして日立製作所 茨城支店の百足氏は、最後にグループワークの感想を語った。



「さまざまなバックボーンを持つ方が参加する中で、自分たちの枠組みをいったん取り払って話ができたことは非常に面白かったです。意見がぶつかる時も、データを調べて事例を紹介したり、考え方を変えてアイデアを出したり、他の方の意見にプラスαしたりする人も。一つの物事と同じ数字を見ても、見る人によって全然捉え方が違うんだなというのが面白く、勉強になりました。それでも一ケ月と期間が決まっていたので、参加者全員が意識的にどうまとめていくかも念頭に置いていたでしょうね」(日立製作所 百足氏)。


6名が共通して述べていたのは「一人ひとりの強みを活かしながらグループディスカッションを進められた」という感想だ。今回の経験が、茨城県の将来へとつながっていくことに期待したい。

○開催方法を工夫しつつ定期的な開催を目指す



「いばらき創生プロジェクト」は、単年度で終わるものではなく、長期間にわたる人材育成が目標として掲げられている。次回の開催時期は未定ではあるものの、それほど間を置かず、次の開催が望まれている状況だ。



一方で、参加者から「一ケ月は短い」という意見もあったという。だが、期間を引き延ばしたからといって中身が濃くなるとは限らない。年一回という形で続けていく方向であるものの、次回以降は例えば「中間発表の場を設ける」といったように、開催方法に少し工夫を施すことを検討しているという。



「NTT東日本はあくまで一民間企業です。しかし単に利益を追求するだけでなく、地域への貢献を大きな目標としています。まずは茨城県内での地域活性に邁進し、ひいては茨城県で生まれたものを全国に波及させるといった形で、少しでも皆さまのお役に立てればと願っております」(NTT東日本 大久保氏)。(加賀章喜)

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