コロナで“勝負の夏期講習”を休み「もうダメだ」と落ち込む小6息子 中学受験のプロのアドバイスは?

3

2022年10月03日 16:00  AERA dot.

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

AERA dot.

写真はイメージ (c)GettyImages
「詰め込み」「偏差値」というイメージが強い中学受験。「受験のための勉強は子どもの将来に役に立つの?」「難易度より、子どもを伸ばしてくれる学校を選びたい」といった悩みを抱えている親御さんも増えています。思い切って「偏差値」というものさしから一度離れて、中学受験を考えてみては――。こう提案するのは、探究学習の第一人者である矢萩邦彦さんと、「きょうこ先生」としておなじみのプロ家庭教師・安浪京子さんです。連載27回目の今回は、夏休み後半にコロナに罹ってしまった息子さんをもつお母さんからの相談です。


【ランキング】偏差値50台で入れて国公立大に強い首都圏の中高一貫校
*  *  *


【相談】
小6の息子は夏期講習で頑張る予定だったのですが、8月中旬にコロナ陽性になり、お盆休み明けは1日だけ夏期講習に参加しただけで、後半は全部欠席。息子は「もうダメだ」と落ち込んでしまいました。9月に入り、過去問を解く実践カリキュラムに突入しましたが、未だ本調子ではない様子です。夏に達成感がないまま過ごしてしまったわが子は、これからどう立て直していけばいいでしょうか?(小6男子母)


■「夏が勝負」は、塾が言っているだけ


矢萩:まずはそもそも論からですが、多くの進学塾では、夏期講習がいかに大切で、そこで差がつくのかを「あおる」傾向にあるんです。7月に入ったくらいから「おまえら、この夏が勝負だぞ!」みたいなことを言い続ける。そうすると、年間の全体像が見えてない子は、「夏が勝負なんだ、夏にやらないとヤバいことになるんだ」と思っちゃうんですね。そんな気持ちを持ったまま今回のように何らかの事情で夏期講習を休むことになると、必要以上に遅れた感を持ってしまうんです。本当は巻き返せるのに。「夏が勝負」というのは、夏休みに真面目に勉強してもらうために塾が言っているだけ。まだ全然巻き返せるし、間に合う。ここで絶望して止まってしまったらさらに遅れてしまうし、少しずつでもやればやっただけ前に進むんだから頑張ろうよ、というマインドをまずは周りにいる大人がつけてあげるべきだと思いますね。



安浪:私も夏休み前は「夏は大事です」という発信をせざるを得ないんですよ。実際大事なんですけど、大事だとわかった上で夏を「価値ある時間」として過ごせた子がどれほどいるかと。実際は半分もいないと思いますよ。大体の子が途中でダレる。同じ調子で夏休み全部走り続けることはできないんです。前半頑張ったら後半は崩れることが多いし、その逆もある。もし息子さんが前半頑張っていたのなら、コロナになってなくても後半は崩れていた可能性があります。


矢萩:あと、秋になってから落ち込んでいるきっかけ、確かにコロナで休んだことかもしれないけれど、他に根本理由があるかもしれませんね。そこまで「ダメだ」となるということは、他にも不安要素がたくさんあったり、自信がなかったり、うまくいっていないことがあったりするはずです。そこを見つけて解消してあげることができれば、怪我の功名になるかもしれない。そういう視点も持ってあげるといいかな。


安浪:なかには6年の9月から受験勉強を始める子もいるんですよね。急に受験したい、って思い立って。9月からすごい勢いで勉強して合格していく子もいて。夏に何をしていたか、というのは関係なく、スタートが遅くても頑張って成果を出す子もいるんです。息子さんは今までやってきているんだから、秋から始めた子と比べたらアドバンテージがありますよね。たかだか8月後半の2週間ぐらいでメソメソするな、と(笑)。どのみち、夏休みが終わっても8割以上の子がまだ基礎さえ定着していないんですよ。だから我々プロもまだ過去問を解かせられなくて、11月ぐらいまでは基礎のインプットの授業が多いです。だから全く気にする必要はない。矢萩さんがおっしゃるように、これは何か理由にしたい、言い訳にしたい、という気持ちが強いのかもしれないなって思います。


■親が一緒になってオロオロしてはダメ


矢萩:そうですね。まずは親御さんが「大丈夫」と思わないと。一緒になってオロオロしていてはダメですね。




安浪:そうです。同時に、これは試金石でもあると思います。これから本番まで、模試であれ、過去問であれ、結果が出なくて落ち込んだりすることはたくさん出てきます。どんな時でも常に親は子どもを元気付けてあげなければいけない。今回は我々が回答をしましたけど、今後は回答がないなかで、親御さん自身が息子さんの励まし方を体得していかないといけないですね。


矢萩:注意したいのは、根本的な原因とか気持ちに寄り添ってあげないと励ましが噛み合わないことがあること。ちゃんと子どものことを見て、わかってあげたうえでかけてあげる言葉だったら絶対効果があるけど、表面的なことばかりで励まそうとしているんだったらより溝が深まってしまうこともあるかもしれない。


安浪:ああ、それはありますね。ただ表面的に「大丈夫よ」と言っても「僕のこと、全然わかっていない」と思われてしまう可能性がありますからね。今、息子さんがどういう状況なのか、しっかり見てあげないと。


矢萩:僕が大手塾で教えていた頃の経験ですが、夏休み後って上のほうのクラスと下のほうのクラスで差がさらに広がることが多かったですね。下のほうのクラスの子はもう塾に来ているだけで精一杯。いるだけで体力を消耗してしまう。やり切った=通った、という話です。だからこの質問者さんのお子さんがどのぐらいのクラス帯に在籍しているのかにもよりますが、夏期講習に通っているからといって勉強が進んでいると思わないほうがいいです。


安浪:全くその通り。夏期講習に行っていることと、点数に結びつくような質のいい勉強ができているかどうかは別の問題ですから。それと、休んでいる時にオンラインの授業とかはなかったのかな? 今はweb授業も充実しているから、塾を休んでもいかようにも塾のコンテンツを使って勉強できるけれど…もしそれを活用しなかったとしたら、やっぱり原因はコロナじゃないですね。


矢萩:夏休みの後半にやろうと思ってやり残したことがあるんだったら、今からでも1日30分でも20分でもいいから割り振って、取り返せるようにスケジューリングして、「こうすれば大丈夫だよ」って数字で見せてあげられるといいですよね。もし何をやってよいかわからない状態だったら、2週間を休んだところで、あまり変わらなくない?って思っちゃいますよね(笑)。コロナになったからこそ日々漫然と過ごしていた自分に向き合えた、という見方もできます。「これをきっかけに1日に1日やることの質をあげていこうよ」と励ますのもいいかもしれない。




■みんな「そんなもん」だから気にする必要なし!


安浪:先ほどクラスによって差が開く、という話があって、確かにそうなんですけど、上のほうのクラスの子であっても、受験が終わって振り返った時、「夏の後半は何をやっていたかほとんど覚えていない」と言っている子も多いですよ。みんな、そんなもん、なんだから気にする必要なし!


矢萩:繰り返しますが、まずは2週間夏期講習を休んでしまったことをお母さん自身が絶望的なことだ、と思わないことでしょうね。絶対に取り返せるから大丈夫、と思うこと。そうでないと、いつまでたっても「ほら、あの時コロナなんかになったから」とずっと引きずってしまう。まずは元気になってよかったよね、と喜んであげて、その分頑張っていこうよ、と励ます。何かのせいにしないでほしいんです。


安浪:そもそも8月の2週間程度で差はつきません。まだ夏で良かったですよ。以前、1月の前受けが終わって、本番までの2週間で体調を崩してしまった子がいて。パニックになられたお母様から相談されたのですが、その時も「全然大丈夫です。2週間程度で学力は落ちません」と説得して、本番ではお子さんもいい調子で向かうことができました。大事なのはどんなことがあっても崩れないメンタルです。


矢萩:学力は、上がるも下がるも2週間じゃ無理だよ、という。


安浪:本当にそうです!


(構成/教育エディター・江口祐子)


このニュースに関するつぶやき

  • 社会人になってからも「学生のうちのこれをやっておかないけなかった」とか20代のうちに・・とかがあってそ「もうダメだ」と落ち込む人にするアドバイス↓
    • イイネ!5
    • コメント 1件

つぶやき一覧へ(2件)

ランキングライフスタイル

前日のランキングへ

ニュース設定