35年前に心肺移植手術を受けた女性、命を救ってくれた医師と再会「彼がいなければ私はここにいない」(英)

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2022年10月05日 04:11  Techinsight Japan

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35年前に心肺移植手術を受けた女性と執刀した医師(画像は『The Mirror 2022年9月29日付「Woman returns to hospital after 35 years to thank surgeon who saved her life as a child」(Image: Tim Merry)』のスクリーンショット)
1987年に心肺移植手術を受けたイギリス在住の女性が9月29日、35年ぶりに担当医師と再会した。女性は先天性の心疾患により血流に異常が生じる「アイゼンメンジャー症候群」を患っていたが、当時は治療法が確立されておらず心肺移植手術しか助かる道はなかったという。医師は「この手術を受けた人がどれだけ生き延びることができるのか当時は予測できなかったが、35年というのは本当に素晴らしい」と話している。『BBC News』『The Mirror』などが伝えた。

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英ロンドン南東部シドカップで暮らすケイティ・ミッチェルさん(Katie Mitchell、50)は1983年、11歳の時に「アイゼンメンジャー症候群」と診断された。

それは先天性の心疾患により血流に異常が生じるため肺の血圧が高くなる病気で、症状が進行すると安静にしていても息苦しさを感じることがあるという。

当時は治療法が確立されておらず、ほとんどの患者は30歳を迎えることができなかったが、1984年に「王立パップワース病院(Royal Papworth Hospital)」の外科チームが欧州で初めて心肺移植手術に成功したことで状況は一変した。

それから3年後の1987年、ケイティさんは同病院のジョン・ウォルワーク教授(John Wallwork)が率いるチームのもと心肺移植手術を受けた。当時15歳だった彼女はこの手術を受けた最年少患者の1人だったという。

ケイティさんは当時の状況をこのように振り返っている。

「アイゼンメンジャー症候群と分かるまで、私の症状は喘息によるものだと思われていました。体調不良で学校を休むことがよくあったし、学校に行くことができても階段を上るのが大変で…教室にたどり着けず授業に遅刻することもありましたね。家の中でも息が続かず、ベッドに上がるまで20分以上もかかっていました。今思えば両親にはとても心配をかけたかも知れません。私は自分が臓器移植の待機者リストに載っていることは知っていたし、それはきっと実現すると思っていました。以前は酸素を吸入しないと息苦しくてすぐ真っ青になっていたのですが、手術が終わって目覚めると肌がピンク色になって、とても呼吸がしやすくなったのを覚えています。それは私にとって本当に大きな変化でした。」

また彼女の幼なじみであるサマンサ・ハードウィックさん(Samantha Hardwickm、50)は、当時のケイティさんの様子についてこう語っている。

「ケイティは何かするとすぐ疲れてしまう状態で、外出するのも難しくて。自宅の2階に行く時も階段を一気に上ることができず、途中で座って休憩をしながら上っていたことを覚えています。そんな彼女の姿を見るのはとても辛く、どう表現していいか分からないほどでした。でもドナーとその家族、ウォルワーク教授と彼のチーム、そしてケイティの勇気のおかげで私たちは35年間友情を築くことができたのです。」

そして手術から35年が経った今年の9月29日、ケイティさんはウォルワーク教授と再会した。

現在、王立パップワース病院の理事長を務めているウォルワーク教授は、心肺移植手術を受けた人がどれだけ生き延びることができるのか当時は予測できなかったとして次のように述べている。

「35年というのは並大抵のことではありません。当時のケイティさんは非常に顔色が悪く、15歳という若さにもかかわらず死期が近づいていました。それから何年も経った今、彼女はただ生き延びただけでなく、とても良い人生を歩んでいます。その姿を見て本当に素晴らしいと思いました。」


心肺移植手術を受けた患者の中でも最長生存者の1人だというケイティさんは、さらに1994年と2015年に腎臓移植手術を受けたそうで、これまで臓器提供をしてくれたドナーとその家族、そして医師たちへの感謝をこのように明かした。

「35年前に受けた移植手術のあと、わずか8か月でGCSE(英国の全国統一試験)で好成績を残すことができました。その後もフルタイムで働き、旅行もして、夫のレックス(Lex、57)と結婚もして、2匹の犬も飼っています。私は自分を制限することなく他の健康な人と同じように生活してきたのです。ウォルワーク教授がいなければ私はここにいないでしょうし、私の命が助かったのはこれまで臓器提供してくれたドナーとその家族、そして医師たちのおかげです。人生で3回の移植手術を受けることができた私は信じられないほど幸運だと思っています。」

画像は『The Mirror 2022年9月29日付「Woman returns to hospital after 35 years to thank surgeon who saved her life as a child」(Image: Tim Merry)』『BBC News 2022年10月1日付「Royal Papworth transplant patient meets surgeon 35 years on」(PA MEDIA)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 上川華子)

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