みんなの力で蒸気機関車「C56」を復活させよう! 1億円大井川鐵道クラファンの面白すぎる「返礼品」、実際に見てきました

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2022年10月06日 19:25  ねとらぼ

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ねとらぼ

クラウドファンディングを使い「みんなでSLを修復」する大井川鐵道

 真っ白な仮設テントの扉をくぐると、錆だらけの蒸気機関車がいました。C56形135号機です。大井川鐵道はこの機関車を修理して、再び走らせようとしています。



【画像】修復するSL、面白すぎる「返礼品」の数々



 錆だらけで朽ちた古い機械がピカピカに再整備されて動き出す──。何だか「宇宙戦艦ヤマト」が赤い大地から飛び立つ場面のようじゃありませんか。想像しただけでも胸熱です。え? ヤマトの発進シーンを知らない? おっと。じゃあ、「∀(ターンエー)ガンダム」が岩から出てくるところ。いやアレも、もう22年前か……。



 蒸気機関車の再整備にはとてもお金がかかります。2022年現在の概算見積もりは約3億円。厳しい経営事情の地方鉄道にとって大金です。クルマ好きがお小遣いで部品を買いつつ少しずつ修理するように、大井川鐵道も少しずつ予算を捻出しながらSLを修理する方法もあるでしょう。しかし、それではいつ完成するか分かりません。待てない。少なくともワタシは待てないぞ〜!!



 大井川鐵道にとっても、この車両を譲渡してくれた兵庫県加東市の市民の思いを早く実現したいのです。この機関車は同市の播磨中央公園のシンボルとして長く親しまれてきました。整備できる人がおらず朽ちていたとはいえ、加東市の皆さんは「公園からいなくなったら寂しい。でも、大井川鐵道が“走らせてくれる”ならば」と送り出してくださったのです。



 大井川鐵道は決めました。「鉄道ファンの皆さんに手伝ってもらおう。“みんなの機関車復元プロシェクト”にしよう」と。



 そこで実施するのが、READYFORと組んで行う今回のクラウドファンディング「蒸気機関車に再び命を、昭和の汽笛を次世代へ:大鉄100周年企画〜蒸気機関車C56 135号機 第1期 動態化プロジェクト」です。目標額は1億円。修理想定費総額の3分の1です。



 プロジェクトの支援額は、開始1週間の2022年9月26日時点で1328万6000円(約13%、残り65日間)。1週間で1000万円以上も集まっています。鉄道ファンの熱い思い、すごい(※2022年10月6日時点で1638万9000円)。



 クラウドファンディングは「ファン個人が、応援したい・支援したい気持ち」をお金で届ける仕組みです。ほとんどのプロジェクトはそのお礼の気持ちとして「返礼品」があります。蒸気機関車C56 135号機 動態化プロジェクトは、何と「32種類」の応援メニューを用意しました。すごく種類が多い。内容を見るだけでお祭り状態です。それも、みんなで楽しく盛り上げたいという気持ちが込められています。



 ワタシも応援したい。修復するSLも、返礼品も気になるので、ガマンできず大井川鐵道へ行ってきました。



●「こんなにあるのかよ!」と話題の返礼品、すごいものも、“変”なものも……



 鉄道ファン心理としては、応援とともに「自分の気持ちに響く返礼品」も欲しいところです。「こんなにあるのかよ!」と話題の返礼品、さぁ見ていきましょう。



 支援金のほとんどはSLの修繕に使われます。返礼品は、支援額3000円の「大井川鐵道より愛を込めてお礼状(メール)」からあります。



 同じ支援額3000円に「お礼のメール+大鉄名物 変な缶バッジ『ご支援感謝』」もあります。大井川鐵道新金谷駅名物の「変な缶バッジ」付きです。鉄道の気象告知板をモチーフにした「ご支援感謝」デザイン。クラウドファンディング専用につくられた、たぶん非売品。変な缶バッジコレクターには見逃せません。



 気象告知板はプラットホームの先端など、運転士や駅員から見やすいところに置かれている注意標識です。斜めに「警戒」、タテに「警戒内容」を表示します。例えば、赤い円に「警戒」「大雨」と書かれていたら、「ここから先、雨で視界不良や土砂崩れの可能性があるので気を付けろ!」という意味になります。



 そもそも「変な缶バッジ」って何……? これは大井川鐵道本線の新金谷駅で販売するオリジナル商品。線路で見かける鉄道標識にちょっとおとぼけをかましたデザインの、知る人ぞ知る名物お土産です。新金谷駅に来たおみやげとして買う人多し。ネット通販でも買えます。「変じゃない缶バッジ」もあります。



 最も高額な応援メニューは「561万3500円」です。ごご、ごひゃくまんえん以上!! でも内容がものすごい。「復活したC56 135号機がけん引する列車の1往復丸ごと貸切乗車権」です。客車数は応相談、最大5両まで対応可能とのこと。さらに、自分だけの「オリジナルヘッドマーク」を掲げて走れます(ヘッドマークのデザイン費も込み)。どうします? 「自分専用のSLを走らせる」。結婚式とか同窓会用とかにいかがでしょうか。



 100万円の返礼品も魅力的です。「C56 135号機 復活記念号“初列車”に取り付けるナンバープレート(がもらえる権)」です。もちろん限定1人。……しかし、すごい。「プロジェクト開始2時間後」に支援者が現れ、受け付けが終了しました。やっぱりほしいよね。気持ち、分かります。



 この他、支援額50万円の「初列車に取り付けたヘッドマーク」、同じく50万円の「大井川鐵道本線年間フリー乗車券(年間フリーパス)」もあります。デザインがカッコいい。



 “ナイスアイデア!”な返礼品も見ていきましょう。



 イチオシ! という「黄色いMY安全ヘルメット」ってこれ何だよ……! 大井川鐵道のロゴと「C56形135号機 動態化記念」の文字入りです。



 これは保線係さんや修理工場などで着用するものだと思います。これ、ワタシのツボにはまってしまって思わず支援ボタン、ポチりました。折しも台風シーズンです。実用的じゃありませんか。1人1個は必要、できれば家族分欲しいところですよ。支援額は1万円です。



 ちなみに1万円以上の支援コースを申し込むと、新金谷転車台に設置する記念奉名板に「名前が掲載」されます。皆さんも、ぜひ。



●大井川鐵道は台風15号で被災し、全線で当面の間運休 1日も早い復旧を願います!



 皆さんもご存じと思いますが、クラウドファンディング開始の5日後、大井川鐵道は台風15号で被災し、全線で運休。2022年9月26日から当面の間、大井川本線はバスによる代行輸送、井川線は運転を見合わせています。



 こちらも1日も早い復旧を願います。走らせる場所を先に救わないと!!



●中でも変な返礼品「手形」、それはどなたかというと……?



 もう1つ気になる、妙な返礼品があります。「名物広報 山本豊福が選ぶ秘蔵写真」です。



 山本さんは大井川鐵道の広報担当者。私ら書き手はいつもお世話になっています。秘蔵写真は8枚セット、そして謎の手形付き。は、手形? 誰の手形なのよ? もしかして……。



 「そうです。僕です。最初はサイン色紙にしようかと思ったんですけど、僕は字が得意ではないのでやめとこって」(山本さん)。



 社長さんでもなく今回のクラファンプロジェクトリーダーの石久保光彦さんでもなく、広報の山本さん。いままで大井川鐵道で取材・ロケさせていただいたメディア関係者は、お礼の意味で参加しなくちゃダメでしょう。そういう枠なんですかね(笑)。



 「いえいえ(笑)、返礼品の主体は秘蔵写真の方ですよ。私が入社した当時(1988年)からの写真を整理したら、今では見られない場所や風景の写真がたくさんあったんですよ。例えば、井川線の旧線と新線の入れ替え前ですとか、熊本からやってきた“C11形190号機”を陸揚げするところとか、当社の節目で押さえている写真があるんです」(山本さん)。



 おお、それは見てみたい! ちなみに山本さんは大井川鐵道のSL取材にあたり、全国放送のテレビ番組で自ら出演して解説することもあります。静岡のテレビ・ラジオ出演も多数の有名人。ユニクロの企画「ご当地CM」に出演したこともあります。



 この返礼品は数量無制限に設定されています。支援額は5000円。もしかしてすごい数になってしまうかも。大丈夫ですかー。手のひらの皮膚がすり切れて、掌紋や指紋がなくなってしまうかもデスよ?



 「それでもね、皆さんのお気持ちをいただくわけですから、手形は印刷コピーでなんて手抜きはしません。1枚1枚、丁寧に押していきます。だから全て違う、世の中に1枚だけの手形が届きます。あ、でも、名前のハンコは作りましたけれど(笑)」。



 ……そんなグッとくる返礼品の数々、皆さんもいかがですか?



(杉山淳一/乗り鉄。書き鉄。1967年東京都生まれ。年齢=鉄道趣味歴。日本鉄道全路線の完乗率は100% 2022年8月時点)


このニュースに関するつぶやき

  • 日本全国で静態保存している蒸気機関車の中で、不要の物があったら集めて、動態保存の為に利用する方向で動けないものかな。静態保存でも、粗末な扱いしている場合も。
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