ニンニク“だけ”を食べても無意味! 薬学博士が教えてくれた「スタミナ効果」を発揮する食べ合わせ

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2022年10月06日 19:51  All About

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「ニンニクを食べるとスタミナがつく」と言われますが本当でしょうか? 科学的な根拠を挙げながら、わかりやすく解説します。

「ニンニクといえばスタミナ食」は本当か

「ニンニクを食べるとスタミナがつく」と言われています。夏バテ解消や疲労回復のために、ニンニクたっぷりのスタミナ料理を好んで食べるという人も多いでしょう。しかし、ニンニクにスタミナをつける効果は本当にあるのでしょうか?

ちなみに「スタミナ」とは、「長時間疲れず動くことのできる全身持久力」のことです。ニンニクが本当にスタミナ食なら、どんな成分がどうやって全身持久力を高めるのでしょうか。

先に結論を言ってしまうと、「ニンニク=スタミナ」はどちらかと言うとイメージが先行しているだけで、しっかりと科学的に検証されているわけではありません。でも、がっかりしないでください。持久力を高めてくれると期待できそうな特性が、ニンニクにはあります。わかりやすく解説します。

ニンニクの食欲増進成分「アリイン」

スタミナ、つまり全身持久力を保つためには、しっかり食事をとることが必要ですね。ニンニクは、「アリイン」という独特な物質を含んでおり、これがグルタミン酸ナトリウムやイノシン酸などのうま味成分の効果を高めるため、食欲増進につながると期待されます。

夏バテで食欲が落ちたときに、ニンニクが助けになることは十分あり得るでしょう。

スタミナと関係する栄養素「ビタミンB1(チアミン)」のはたらき

スタミナと関係する栄養素としては、ビタミンB1(チアミン)が有名です。体内でグルコース(ブドウ糖)をエネルギーに変換するために重要な役割を果たします。

私たちが食べるお米やパン、じゃがいもなどに含まれるデンプンは、消化管内で最終的にグルコース(ブドウ糖)まで分解されて体内に吸収されます。

グルコースに含まれるエネルギーを取り出して使いやすくするために、まずは「解糖系」という仕組みによって、グルコース(C6H12O6)は段階的に分解(異化)され、ピルビン酸(CH3COCOOH)にまで変換されます。

そして、ピルビン酸は、酸素が十分にある状態で、「ピルビン酸脱水素酵素」の作用で、アセチルCoAという物質に変換されて「TCAサイクル(クエン酸回路)」という反応系に入り、最終的には二酸化炭素と水になり、たくさんのエネルギーを生み出します。

ビタミンB1は、この過程に含まれる「ピルビン酸脱水素酵素」を助ける「補酵素」として作用し、グルコースからエネルギーを取り出すのに欠かせない役割を果たしているのです。

ビタミンB1は、私たちの体内で作り出すことができませんから、常に食べ物によって補う必要があります。しかし、水に溶けた形で熱すると壊れてしまう性質があるので、摂取しにくいです。また、体内に吸収されたとしても、生きて通常の活動をしているだけでもどんどん消費されますし、水溶性なのですぐに尿中に排泄されてしまいます。

ビタミンB1が不足すると、せっかく糖質をとってもエネルギーに変えられなくなるので、体がエネルギー不足になってだるさや疲労を感じるようになります。明治時代には、ビタミンB1欠乏によって「脚気(かっけ)」という病気が日本国内で問題となったことは、多くの方がご存知でしょう。

ニンニクはビタミンB1も豊富? 実は多くない含有量

ニンニクがスタミナをつけるのにいいと言われる理由として、「エネルギー産生に使われるビタミンB1を豊富に含むから」と説明されることもありますが、厳密にはこれは正しくありません。

ニンニクに含まれているビタミンB1の量は、可食部100gあたり0.19mgです。ビタミンB1が豊富な食べ物の第一位は、ブタ肉(ヒレ)で、100gあたり1.32mgのビタミンB1を含んでいます。夏のスタミナ源と言われるウナギの蒲焼は100g(1串)あたり0.75mgのビタミンB1を含んでいます。

それらに比べると、ニンニクのビタミンB1含量は、決して多くないのです。

実は、ニンニクは、ビタミンB1の供給源として役立つというよりは、吸収されにくく排泄されやすいビタミンB1を、効果的に取り込んで体内に留まりやすくする効果があるのです。

ニンニクだけを食べても無意味? スタミナ効果を発揮する食べ合わせ

ニンニクを切り刻んだりすりおろすと、ニンニクの細胞内に含まれていたアリインが外に漏れ出し、アリイナーゼという酵素の作用を受けて、「アリシン」という別の物質に変わります。アリシンは、刺激臭の元になりますが、健康効果も生み出す重要な成分です。

そんなアリシンの機能の一つが、ビタミンB1と結合して安定化させるということです。具体的には、アリシンとビタミンB1が合体すると「アリチアミン」になります。アリチアミンは、脂溶性で、水や熱に強いので調理過程で失われにくいですし、腸から体内に吸収されやすいです。

体内に入ったアリチアミンは、排泄されにくく、より長く血液中にとどまることができます。そして、体内にとどまったアリチアミンが徐々に分解されてビタミンB1として機能することで、より効果的にエネルギーを作り出すことができるのです。

みなさんの中に、スタミナをつけようとして、ニンニクだけを食べている方はいませんか。実はそれではダメなのです。

いま説明したように、ニンニクは、ビタミンB1を助けますが、それ自体にビタミンB1はそれほど多く含まれていないからです。つまり、ニンニクは、ビタミンB1をたくさん含む他の食材と一緒に食べ合わせたときに、その効果が最大限に引き出されるのです。

たとえば、豚肉とニンニクを組み合わせた炒め物などは、まさに「スタミナ料理」と呼ぶのにふさわしいでしょう。

阿部 和穂プロフィール

薬学博士・大学薬学部教授。東京大学薬学部卒業後、同大学院薬学系研究科修士課程修了。東京大学薬学部助手、米国ソーク研究所博士研究員等を経て、現在は武蔵野大学薬学部教授として教鞭をとる。専門である脳科学・医薬分野に関し、新聞・雑誌への寄稿、生涯学習講座や市民大学での講演などを通じ、幅広く情報発信を行っている。
(文:阿部 和穂(脳科学者・医薬研究者))

このニュースに関するつぶやき

  • 豚マシニンニクマシマシは意外と理にかなってるのか。
    • イイネ!6
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