映画『母性』バンクーバー国際映画祭でワールドプレミア 廣木隆一監督と湊かなえ氏が参加

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2022年10月06日 20:07  ORICON NEWS

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映画『母性』 バンクーバー国際映画祭ワールドプレミアに登場した(左から)湊かなえ、廣木隆一監督
俳優の戸田恵梨香が主演する映画『母性』が、カナダの西の玄関ブリティッシュコロンビア州バンクーバーで開催中の「第41回バンクーバー国際映画祭」(9月29日〜10月9日)でワールドプレミアを飾った。現地時間5日の上映には、監督の廣木隆一と原作者の湊かなえ氏が駆けつけ、観客との“Q&A”に応じた。

【写真】戸田恵梨香が永野芽郁の“母親”に…原作・湊かなえ『母性』メインビジュアル

 ハリウッド映画の撮影地としても知られ、米ロサンゼルスの北に位置する事から通称“ハリウッド・ノース”と呼ばれているバンクーバーで、1982年に始まった同映画祭は、「映画芸術を通じて各国の相互理解を深め、映画産業の活性化を図る」をテーマに掲げ、毎年約300作品を上映。コロナ禍の影響で、昨年は一部だった映画館上映が、今年は本格的に復活。リアルなイベント開催は3年ぶりだ。

 今回、『母性』が招待されたのは、バンクーバーの観客の心に強く響くような優れた作品に焦点を当てることを目的に、今年から新設された「ショーケース」部門で、世界各国から集められた 18本の長編映画によって構成され、観客賞の対象にもなっている。観客賞は、日本時間10日の映画祭終了後に発表予定。

 『母性』が上映された会場「Vancouver Playhouse」は、「第94回アカデミー賞」国際長編映画賞を受賞、作品賞へのノミネートなど、歴史的快挙で話題をさらった『ドライブ・マイ・カー』が昨年上映された場所。650人収容の歴史ある会場は満席の盛況ぶりで、これまでに『ここは退屈迎えに来て』などで招待されてきた廣木監督、映像化作品が世界中で熱烈な支持を集める湊氏への関心の高さがうかがえた。

 本編の上映前には、現地入りがかなわなかった主演の戸田のビデオメッセージが紹介された。「その場所で皆さん、そして原作者の湊さん、廣木監督にお会いしたかったのですが、伺うことができず本当に残念です。この映画は母性に運命を狂わされた、母と娘の物語を描きます。ルミ子は、母親を深く愛していながら、なぜか自分の娘には同じ気持ちを抱くことができない、稀有なキャラクターです。 母性とは何か、そしてその資質はいつ得られるのでしょうか。バンクーバーの皆様、ご来場のみなさまがこの映画をどんなふうにご覧になって、どんな感想をお持ちになるのか、とても楽しみにしています。どうぞお楽しみください」。

 上映後、廣木監督、湊氏が登壇し、観客の質問に答える“Q&A”も盛り上がった。「海外のことを頭に入れて映画を作るのか?」と質問に、廣木監督は「海外の人たちというより、日本の人たちがどう考えて、どう行動するかを念頭において作っています。それを海外の方たちがどう思うかだと思います。それが映画の個性になると思います」ときっぱり。

 湊氏は執筆活動において「本を書くときにどこの国に向けてとか、この国の人に受けたいとは考えていなくて、人間の心の奥底にあるものは共通なのだと思います。きちんと人間の内面を描いていれば、どこの人にも通じると思います」と話すと、監督も思わず「Me, too!」と同調した。

 男性から「女性は2種類あると本編に出てきたが、種類を見分ける方法はあるか」という質問が出て、会場がどっと沸く場面も。湊氏は「男性は常にいいところだけを見て不都合なことから目をそらそうとします(笑)。つらい時、大変な時に、逃げずに目をそらさずに見ていたら、どちらか見分けがつくと思います」と答え、観客を感心させた。

 「本作は日本でどう受け止められると思うか」の問いには、廣木監督が「母娘の在り方はたくさんあり、正解はないもの。そこに疑問を持ってもらえるとうれしいです。自分だったら母と娘どちらを助ける? 私ならどっち?と考えられる。日常の母娘の中で考えるのはいいことだと思います」と答えた。

 続けて、湊氏が「廣木監督はひとつの物語の中に複数の視点が存在する物語を撮るのがとてもお上手なんです。私の小説は同じ物事も視点が変わると違って見えることを書くことが多い。『母性』でも同じ出来事をルミ子・清佳の視点で見るとこんなに表情とか違うんだと見てわかるのが、廣木さんじゃないとできなかったと思います」と監督の手腕を称えると、廣木監督は「良かった〜!」と喜び、会場はあたたかい空気に包まれた。

 “Q&A”の後、ロビーでは興奮冷めやらぬ観客が、2人と一緒に写真を撮るために、列を作って待ち構えていた。廣木監督と湊氏は最後まで一人ひとりと言葉を交わし、写真撮影にも応じたという。

 なお、同映画は今月24日から始まる「第35回東京国際映画祭」特別招待作品(ガラ・セレクション部門)としてジャパンプレミアが決定しており、11月23日より全国で公開される。
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