夫が55歳でリタイアを希望。住宅ローンを支払いながら子どもを大学院まで進学させて大丈夫?

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2022年10月06日 20:11  All About

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相談者は、夫があと数年で定年退職となるが、子どもは大学院進学を希望しているという50歳のパート主婦の方からのご相談です。ファイナンシャルプランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

住宅ローンの借入残高は1700万円で完済予定は主人が72歳です

みなさんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。

今回のご相談者は、夫があと数年で定年退職となるが、子どもは大学院進学を希望しているという50歳のパート主婦の方からのご相談です。ファイナンシャルプランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

相談者

あんパンさん
女性/パート・アルバイト/50歳
中国地方/持ち家(マンション)

家族構成

夫(47歳)、子ども(大学3年・別居)

相談内容

いつも拝見しています。特に深野先生の親身で思いやりのある回答には心を打たれます。現在、毎月のマンションのローンと管理費・駐車場代を支払っています。住宅ローンの借入残高は1700万円で完済予定は主人が72歳です。可能であれば、途中で一部繰り上げ返済も考えています。

私の定年は65歳。定年後も仕事があれば細く長く働きたいと思っています。主人は現在47歳、定年は55歳。仕事でストレスが多く、定年後は自宅でゆっくりしたいとの希望あり。退職金2000万円前後。私は退職金はなし。

子は現在、大学3年生で遠方の国立大学で一人暮らしをしています。先生や友人と思うようにコミュニケーションが取れず、スムーズに就活もできない状況で、最近は大学院に行きたいと言い始めました。

現在、学費(年間53万円)と家賃(年間45万円)は預金を取り崩し支払っています。そのため毎月の教育費は0円にしました。生活費は奨学金から5万円借り入れています。相談は、主人が55歳でリタイアをして、住宅ローンを支払いながら子の大学院までの費用を支払っていけるのでしょうか? その後の私たちの老後の生活は大丈夫でしょうか?

家計収支データ

あんパンさんの家計収支データは図表のとおりです。
相談者「あんパン」さんの家計収支データ


家計収支データ補足

(1)ボーナスの使い道
直近の例……60万円=住宅ローン10万円、家族旅行・外食費10万円(半年分を予備費口座へ入金)、親戚へのお年玉・年末年始代5万円、定期預金30万円。このほか、給与天引きで財形貯蓄10万円、会社のライフプラン年金積立5万円、勤務先の持株積立3万円。

(2)家計収支について
毎月、夫の口座から住宅ローン、光熱費、生活費が引き落され、それ以外に現金で食費として5万円をもらっている。黒字分が夫の口座に貯まり、夫本人が不定期にネットバンキングで10万円単位の定期預金にしている。相談者の給料からは、マンション管理費2万円と予備費に1万円、積立8万円。残りは子どもの学費口座に入金している。

相談者コメント「私の美容院代、趣味娯楽費は予備費口座から支払っているので、毎月の支出は0円にしました。なお、化粧品などもメルカリなどを利用し安く購入しています。生活口座とは別に郵便局で予備費口座を作っており、ATMの土日の出金手数料が無料なのでよく利用しています。犬を飼っており、毎月のドッグフード1000円程度は食費から、ワクチン代や病院代は予備費口座から出しています。現在は夫婦で年に2回程度愛犬を連れて車で旅行に行っています」

(3)住居費について
・購入価格:2000万円+リフォーム200万円(築15年中古マンション)
・ローン借入額:2000万円
・借入金利:1.0%
・返済期間:30年
・ローン残債:1700万円

返済は毎月5万円、ボーナス10万円(2回)。ローン以外に、マンション管理費、修繕積立金、駐車場合わせて2万円かかっている。

(4)車両費について
保有台数1台、ローンはなし。3年前に新車を購入。夫婦とも通勤は電車で、車を利用するのは休日のみ。買い物に行ったり、夫の趣味が車の運転であることからドライブに行く程度。車両費の3000円は1カ月のガソリン代(HV車両なので燃費がよい)。早急に車の買い替えの予定はなし。

(5)趣味娯楽費について
相談者コメント「私の趣味は料理で、常備菜を作り置きし、夫婦とも毎日お弁当を持参しています。ゆっくり料理を作り、オシャレな盛り付けを考えるのも好きです。それ以外では家計簿をつけるのも趣味?です。贅沢をしたり、お金を使うのが嫌いで、節約も大好きなのでまったく苦痛もありません。一方、夫は車、趣味に適度にお金を使いそこで職場のストレスを発散しているようです」

(6)保険について
●夫
・生命保険(終身タイプ、65歳払い済み、死亡保障250万円)=毎月の保険料3000円
・がん保険(入院1日1万円、がん診断100万円、がん死亡108万円)=毎月の保険料2500円
・医療保険(入院1日7000円、病気けが手術特約付)=毎月の保険料6800円

●相談者
・県民共済(病気死亡200万円、入院5000円、がん保険付き、その他入院、手術)=毎月の保険料4200円

相談者コメント「住宅ローンに団信が付いているので、多額の死亡保険の加入はしていません」

(7)個人年金保険について
夫/会社のライフプラン年金(60歳から10年確定、年金額60万円)=毎月1万円+ボーナス5万円
相談者/個人年金保険(65歳から10年確定、年金額30万円)=毎月の保険料1万2000円

(8)大学院費用について
国立大学の大学院で入学金30万円、学費54万円×2年かかる予定。コロナ禍で時間に余裕ができ自分のやりたいことが見つかり、大学院に行こうと決め、今のうちからバイト代を貯金しているようで、学費は自分で出すと言っている(現在の貯金60万円)。

親が負担するお金は、入学金、不足分の学費40万円と毎月の家賃と生活費。毎月の資金はできれば合わせて月9万円以内に抑えたい。

(9)働き方と公的年金について
相談者は定年の65歳まで今の仕事を続けたいと思っている。パートといえども厚生年金や健康保険にも加入でき、人間関係がよく有給休暇もきちんと取得できているので、今の職場が気に入っている。可能であれば65歳以降も少額でもよいので家の近くでパートをしたいと思っている。

夫の年金は平均的なサラリーマンの年金だと思うが(現時点での厚生年金の見込み額65万円)、給与から毎月企業年金が3000円くらい引き落としになっているので、少し上乗せになるかもしれない。55歳でリタイアした場合、厚生年金部分が減るのではないかと思っている。私の年金は、ねんきん定期便で現時点の見込み額は年間104万円。

それとは別に夫の確定拠出年金が200万円程度と相談者のiDeCoが60万円程度受け取り予定。

FP深野康彦の3つのアドバイス

アドバイス1:現在の貯蓄ペースが続く限り、何の問題もない
アドバイス2:住宅ローンは定年時に完済。大きな出費もまかなえる
アドバイス3:夫定年の55歳以降も年金のみでOK。家計を俯瞰してみる習慣を

アドバイス1:現在の貯蓄ペースが続く限り、何の問題もない

結論から申し上げると、現在の貯蓄のペースを継続していけば、金銭的に困ることは生涯ありません。

現在、毎月の貯蓄が20万円ですが、家計収支を見ると、4万〜5万円の余裕があります。仮に、毎月23万円貯蓄できるとすると、年間で276万円です。これにボーナスから定期預金60万円、給与天引きの財形貯蓄20万円、会社の持株積立6万円で年間86万円。合計362万円の貯蓄ができています。ご主人が定年退職する8年後までに、2896万円貯めることができます。現在の貯蓄約2100万円を加えると、約5000万円です。

さらに、ご主人の退職金が2000万円、個人年金保険(ライフプラン年金)600万円、あんパンさんの個人年金保険が300万円ありますから、生涯にわたって得られる金融資産は7900万円となります。

これだけの金融資産があれば、老後の生活を心配する必要はまったくないと言っていいでしょう。

アドバイス2:住宅ローンは定年時に完済。大きな出費もまかなえる

この先、大きな出費は、住宅ローンの返済、車の買い替え、お子さんの学費です。

まず、住宅ローンに関しては、ご主人が定年退職するタイミングで一括繰り上げ返済をしてもいいでしょう。おそらく、住宅ローンの残りは1400万円程度ではないでしょうか。

車の買い換えは、年齢からするとあと2回程度。1回200万円として400万円です。

学費は残り大学1年分と大学院の2年分。ご相談文に書かれているように、毎月9万円として年間108万円。3年で324万円。これに入学金と学費の不足分が40万円とのことですから、約400万円とすると、今後の大きな出費の合計は2200万円です。

先に説明した金融資産7900万円から差し引くと、残りは5700万円となり、これが夫婦の老後資金となるわけですが、いかがでしょうか?

アドバイス3:夫定年の55歳以降も年金のみでOK。家計を俯瞰してみる習慣を

ご主人が55歳以降の世帯収入は、あんパンさんの収入のみとなりますが、その時点では、住宅ローンの返済はなくなり、お子さんの教育費もなくなっています。毎月の支出は多く見積もっても15万円程度に抑えられているでしょう。

この時点で、あんパンさんはまだ定年前ですから、収支トントンの生活ができれば、貯蓄から取り崩すことなく生活できます。

あんパンさんが定年退職になり、公的年金の受給が始まると、毎月7万円ほどの不足となり、年間で約100万円は貯蓄から取り崩さないといけませんが、それも、ご主人が65歳になるまでの間です。ご主人が公的年金、企業年金の受け取りが始まれば、年金のみでまかなうことができるでしょう。

なので、貯蓄からの取り崩しがあったとしても金融資産は5000万円以上は残り、ご主人が65歳以降は、生活費として取り崩す必要はなく、まるまるゆとり資金として使えることになります。

こうして見てくると、今現在の問題は、奨学金を借りていることと、家計の見直しとなります。

奨学金については、返済義務のない給付型であれば問題ありませんが、貸付型であればお子さんが返済していかなければなりません。大学院進学にあたっても、学費を自分で出すとお子さんが言っているようですが、金銭的に無理はないので、全額出してあげてもいいのではないでしょうか。

教育に関しては口出しはできませんが、大学院費用を親が負担してもまったく問題ないことは、説明してきたとおりです。

家計の見直しについては、保険は夫婦ともに医療保険のみで十分なので、ご主人の生命保険は払い済み、または解約でも問題ありません。がん保険はどうしても気になるようでしたらこのままでもいいですが、十分な金融資産がありますから、割り切れるようなら解約でOKです。

最後に、家計管理はしっかりされていると思われ、無駄な出費は少なく、堅実な家計だと思います。

しかしながら、お金の出どころが、ご主人とあんパンさんで分担されているため、細かいところには目が届くけれど、抜け落ちてしまうところがあります。今回のように全体を俯瞰してみることで、生涯で得られる金融資産、大きな出費、老後資金といったことが見えてくるように思います。

これを機に、ご夫婦で一度話し合ってみてください。金銭的な問題はありませんから、少し肩の力を抜いて、お子さんの応援をしてあげてください。

相談者「あんパン」さんから寄せられた感想

かねてから、よく拝見している深野先生にまさか直接ご診断いただけるなんて、本当にありがたく、夢のようです。感謝しかありません。細かい診断をありがとうございます。まだまだ働き盛りの夫がリタイアをするなんて大丈夫だろうか?と不安ばかりが先行しておりましたが、今回の回答で安心いたしました。

また子どもにも夫が退職する可能性があると伝えたため、無理してバイト代を貯金しているようですが、深野先生のアドバイス通り、こちらが負担しようと思います。

住宅ローンは一部のみ繰り上げ返済か、または団信がついているので、夫が退職後も返済を続けていく方がよいのかと悩んでいました。深野先生から退職時に完済するというアドバイスをいただき目から鱗でしたが、改めて夫婦で話し合ってみようと思いました。

保険についても、医療保険だけで大丈夫とのことで驚きましたが、見直しをするいいきっかけになりました。また家計についても、夫婦の出どころが違うことが私も以前から気になっていて、私が管理したいと何度か提案しましたが、夫曰く私が益々お金を使わせてくれなくなり、さらなる厳しい家計管理になるのが嫌みたいなので、現在の状態になっています。

今回のように生涯での収入、大きな出費を計算していただき、全体像が見えました。また生涯、お金で困ることはないとのことなので、これからは少しだけ気楽にやっていこうと思います。深野先生、本当にありがとうございました。これからも一ファンとして先生の掲載を楽しみに拝見します。どうぞお身体を気をつけて、さらなるご活躍を心からお祈り申し上げます。

教えてくれたのは……深野 康彦さん

マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。

取材・文:伊藤加奈子
(文:あるじゃん 編集部)

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