「期待してもらって結構です」阪神・次期監督岡田彰布氏の“どんでん語録”がチャーミングすぎる! 優勝のカギは“通訳者”の有無か

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2022年10月07日 07:00  週刊女性PRIME

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岡田彰布氏。1985年11月、日本シリーズ優勝のビールかけで

 来期監督就任決定! 「どんコメ」復活にネットが湧く岡田彰布監督率いる阪神優勝の展望は?

 矢野燿大監督が異例のシーズン前からの今期での退陣を示唆したことで紛糾していた阪神タイガースの次期監督がようやく岡田彰布氏に決定した。

 岡田氏が第1期の監督を務めていたのは2004年から2008年で実に14年前。「オリックス・バファローズ」で2010年から3年間指揮をとったのも、10年前とその采配ぶりは記憶に薄れている。

 しかし、岡田氏の残した難解で独特の言葉は「どん語」または「どんコメ」として野球ファンの脳裏に焼き付いている。

 過去に注目を集めた「どん語」を振り返りながら、監督としての評価、来シーズンのタイガースの展望までをみてみたい。

そもそも「どん語」って何?

 なぜ岡田氏の発言が「どん語」「どんコメ」と言われるようになったのか?

 ネット界隈では岡田氏は「どんでん」と呼ばれている。「どんでん」とは、かつて味の素が販売していたうどんだし(現在は販売終了)の商品名で、岡田氏は1998年から1999年に関西地区だけに放送されるCMに坂田利夫と出演していた。そこでいつの間にか岡田氏本人のあだ名が「どんでん」に。

 そして、ひろゆき氏が創設したことで知られる「2ちゃんねる」の掲示版の一つである「なんでも実況J(ジュピター)」通称「なんJ」に、2009年頃から参加した野球ファンから、岡田氏の言葉全般を「どん語」、コメントを「どんコメ」と言われるようになったようだ。

 岡田氏の発言は口癖で本のタイトルにもなった「そら、そうよ」が「そら(ああいう物事があったので)そう(いう結果になるのも当然)よ」に代表されるように、1回聞いただけでは難解なものが多々。

 また、「それ、あれ」といういわゆる「こそあど言葉」と言われる指示語がいっぱいで、「それ」が一体何を示しているのか分からない。さらに主語述語が抜けており、肉親でも理解できないというウワサも。

 岡田氏の「どん語」を完全に理解できるのは、現役時代からのつきあいがある「デイリーちゃん」と呼ばれる「デイリースポーツ」の記者だけだそうで、常人に理解できない言語を理解できた人は「どん語鑑定士」と呼ばれて尊敬されるとかされないとか。

球史に残るどんコメ5選

 例を挙げればキリがないので、ここではもっとも有名などんコメを5つ紹介しよう。

1.「早稲田大学から入団します。三塁の岡田彰布です」

 阪神入団会見のときの第一声で、この頃から既にどん語の徴候がみえる。その頃、阪神には不動の三塁手掛布雅之氏がいた。本人は早稲田で三塁だったので言ったつもりだったが、この言葉が掛布氏に対するポジション奪取の宣戦布告だと捉えられ、今で言う“炎上”をしたとのこと。

2.「期待してもらって結構です」

 阪神監督就任時の挨拶。「優勝しますよ」と言う意味で、翌年には有言実行。リーグ優勝を果たした。

3.「おかしなことやっとる」

 判断ミスをしている選手に対しても使われ、すごい活躍をした選手にも言われ、怒られているのか、誉められているのか判断しかねる言葉。

4.「これやったら大したもんだ」

 誉めているのかと思いきや、無理な攻め方や守り方をしている場合に使われる皮肉で、意図を汲み取りにくい。

5.「打たれろ! めちゃめちゃやったれ!」

 2005年9月7日リーグ優勝を決めた年の重要な中日戦で1アウト満塁のピンチだった守護神・久保田智之投手にかけた言葉で、「打たれてもいいから、思いっきり投げろ」の意味。

後で真意が分かる本当は深い「どん語」

 阪神監督時代でも岡田氏の言葉は選手会長・赤星憲広氏や、ヘッドコーチ・平田勝男氏や投手コーチ・中西清起などの一部の人しか理解できず、他の選手やコーチに翻訳していたのだという。

 岡田氏にかけられた言葉の真意を後になって気がつく選手たちも多く、それは阪神監督就任前の二軍監督時代に見られる。

 今岡真訪(誠)氏は二軍時代に「守備練習やめろ」と言われたが、守備練習は必要ないという意味ではない。今岡氏はたびたび、バントや守備で失敗して二軍に落とされたが、岡田氏はそこで守備やバントの練習をさせず、バッティングの練習をさせた。

 今岡氏の持ち味がバッティングにあり、持ち味を活かすことこそが本質であることを伝えたかったのだ。その後、一軍監督になっても岡田氏は今岡氏に対して一度も守備のミスをしても叱ることはなかった。

 関本賢太郎氏は二軍時代の一時期、立て続けにホームランを打った。しかし、岡田氏は「勘違いするな」と一言。これは「ちょっとホームランを打ち続けて調子に乗るな」という意味にもとれた。

 でも、これは関本氏が長距離打者ではなくアベレージヒッターで、「自分の持ち味を忘れるな」という意味だと後々に納得したと語った。関本氏がバットを短く持つきっかけになった一言だった。

 今岡氏や関本氏は野球に対する考え方は二軍監督時代の岡田氏からたたき込まれたと語っている。

名将?愚将?極端に別れる岡田監督の評価

 岡田氏の監督としての評価は賛否両論で極端に分かれている。

 それも阪神時代は1年目の4位をのぞき2年目の優勝を含め全てAクラスだったのに対し、オリックス時代は3年間で2011年の4位が最高位で最後の年は最下位。

 若い野球ファンにとっては2005年の阪神優勝は遠い過去の話で、最下位に終わったオリックス時代の方が記憶に残っており、さらに阪神時代でも「投手を連投させて使い潰した」「ドラフトのくじ運が悪すぎた」などの成果よりもネガティブな部分が取り沙汰されているせいかもしれない。

「岡田が監督になったら阪神ファンやめる」「矢野監督時代のようなコミュニケーションなさそう」など、阪神ファンも真二つに割れている。

 岡田氏自身は著書「なぜ阪神はV字回復したのか?」(角川書店)でオリックスの3年間の教訓はと聞かれれば、「別に、なんもないわ」とまた例の「どんコメ」で返すと言いしながら、「その中でも一番思い知ったことは、フロントとコーチ、選手というチームの組織 に関わる人間全員が、 ひとつの方向を向いていなければ勝てないということ。 チームモチベーションが、勝利のためには、 いかに重要かという“ 勝つ組織の論理” を学ばせてもらった。」と述べている。

 阪神監督時代にレギュラーで活躍した選手の多くが、2軍監督時代に自身が育成した選手だった。阪神では二軍との連携がとれていたが、オリックスでは二軍とのコミュニケーションがうまくいかず改善されることはなかったという。

 チーム全体の組織のあり方の改善をフロントに提言しても、受け入れられることはなかったようだ。

 不審の原因はもう一つ、彼の「どん語」の理解者が少なかったからではないか。山田勝彦氏や福間納氏という阪神出身者もいたが、岡田氏のオリックス監督時代の1軍コーチ陣はパ・リーグ出身者がほとんどだった。

 前述の中西氏は岡田氏を「本音と建前があったら、本音しかない人。絶対に軸をぶらさない」と称し、絶大な信頼を置いている。

 しかし、入団時の発言と同じように、言葉足らずで誤解を招いて、ムダに敵を作ったり真意が伝わらなかったりしたことも多かっただろう。岡田氏には、岡田氏の言葉をくみ取って他の人に翻訳してくれる人物が不可欠のようにみえる。

 岡田氏就任に当たって、二軍監督だった平田氏がヘッドコーチに就任、今岡氏、関本氏の入閣も検討されているとの報道があった。

 岡田氏の使命は優勝もさることながら、選手の育成と同時に指導者の育成にもある。球団も長期的な視野を持って岡田新監督の采配を見守る必要がありそうだ。

 

 

 

 

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