爪切男VSベッド・イン 風俗とバブルに狂い咲く男と女、“人間賛歌”の延長戦!

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2022年10月07日 23:12  日刊サイゾー

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日刊サイゾー


 数多の風俗嬢とのプレイをはじめ、女性たちとの体と心の交歓を私小説で綴る作家・爪切男と、バブル期をリスペクトする激マブ地下アイドルユニットのベッド・イン。

 爪切男の新刊『きょうも延長ナリ』(扶桑社)は、彼が今日も今日とて風俗に通い、珍奇なプレイを繰り広げた日々を綴ったエッセイ。ベッド・インの益子寺かおり&中尊寺まいが本書に帯文を寄せたことがきっかけで、今回、鼎談が実現した。


 爪切男の、平均よりちょっと低めの体温を感じさせる作風と、ベッド・インの益子寺かおり&中尊寺まいのバブリーなテンションは、一見すると正反対のものに思えるかもしれない。が、意外やどうして両者の相性はバッチシ。「おチンパシー」(byベッド・イン)を感じ合うという3人の話は、どこか“戦友”の雰囲気さえ感じさせるものだった。

 風俗とバブル、延長戦のゴングが鳴り響く――!

 

爪切男と風俗嬢たちの一本勝負とプロレス魂

爪切男(以下、爪):実はベッド・インのお2人とは前からお付き合いがあるんです。でも、お仕事で絡むのは初めてです。僕は今日、異種格闘技戦だと思って臨みます(笑)。ベット・インのバブリーなお下劣さは、もはや伝統芸能の域に達してますから。海老一染之助、染太郎みたいな。そんな人たちと戦うのはものすごく緊張しますよ。

益子寺かおり(以下、益子寺):まいっちんぐぅ〜! ウチらは単純に“ねるとんパーティ”だと思って来てますよ? だって、爪さんをイイ男として見てますから♡

中尊寺まい(以下、中尊寺):そうそう、こう言っちゃなんですけど、完全に性の対象として見させていただいてますから……♡

益子寺:お互いのGスポットを探り合うみたいな感じでね♡ わたしは爪さんとは共通の友達に女子プロレスラーの松本都ちゃんがいるんですけど、ある夜「BARで一緒に飲んでいるから来ない?」と誘ってもらって、プライベートで一緒にゴックンさせていただきました!

中尊寺:実は私も以前、自分がチーママとして勤めているスナックに遊びに来ていただいたことがありました。会ってすぐ意気投合からの即ハメな感じで……もはや一心同体、性感帯〜♡

:僕の新刊『きょうも延長ナリ』は風俗エッセイなので、編集者と「帯文を誰に書いてもらうか難しいね」と話していたんですよ。風俗を題材にしているけど、この本には僕なりの人間賛歌を目一杯詰め込んだつもりです。だからこそ、風俗を敬遠しそうな人たちにも読んでもらいたいと思っていたこともあって、ベッド・インさんのことが頭に浮かんで。お2人のように、全てを超越しているような存在、最高の「イロモノ」に帯文を書いてもらったほうが、この本のニュアンスに合うなと思ったんですよね。

 

中尊寺:そんな風に言っていただけるなんて、マンモスうれPです!

益子寺:ポケベル鳴らしてもらって光栄です!

:お2人の文章を読んで、間違いじゃなかったと思いましたよ。一見、ふざけているようで、本質を突いたことを書けるのは真の知性ですから。

中尊寺:いや〜ん、痴女の「痴」ですか〜!? セキメーーーーーーン///

:どっちでもいいです(笑)。

益子寺:『きょうも延長ナリ』には、風俗嬢の方々との情緒あふれる名試合がたくさんありますよね!風俗ルポっていろいろな本が出ていると思うんですけど、爪さんの場合は“性”に特化しているのではなく“対人間”としての試合を感じられて、感情を揺さぶられました! プロレスって、技の一つひとつにプロレスラーの生き様が見えるじゃないですか。それと同じように、お互いの人生や生き様が垣間見えるような描写やエピソードばかりでシビれましたね。風俗嬢の方とのマッチメイクもやまだかつてないクリエイティブさで、ぶっとびぃ〜! の連続!!

:お店側からするとただの迷惑客ですけどね(笑)。『きょうも延長ナリ』にも書きましたけど、風俗嬢におにぎりを作ってもらうために、家で炊いたホカホカごはんをタッパーに入れてお店に行ったりするし。予約の電話を入れたときは笑っていた店長も、いざ準備万端の僕が現れると「あーあ、本当に来ちゃったね」っていう感じでしたよ。

益子寺:これって同性ならではの目線かなとも思うんですけど、私は爪さんの無茶ぶりなプレイに全力で応えようとする風俗嬢の方たちのプロフェッショナルな姿が、すごくカッコいいと思いました! 惚れちゃう…!

『きょうも延長ナリ』にもありましたけど、例えば「雪女になってほしい」という爪さんのオーダーを受けたイメクラ嬢が、ただコスプレするだけじゃなくて、自ら冷水に浸かって身体を冷たくしたエピソードには、プロレス魂を感じて感動しちゃいました……!

:読者からは「爪さん、いい経験されてますね」って言われるんですけど、野球で言ったら打率は2割7分くらいなんですよ。「雪女」とかエッセイの題材にしているのはヒットのほうで、7割以上の凡打があることもわかった上で読んでもらえると、より楽しめると思います。かけがえのない凡打があるからこそ、次は「こういった感じで攻めよう」と前向きに思えるんです。

 例えば、目の前にいる彼女の裸の向こう側には、僕の知らない過去の男たちが数多に存在するわけですよ。『北斗の拳』の夜空に浮かぶ強敵たちの顔じゃないですけど。そういう彼女の歴史を感じた上で、限られた45分間を楽しみたいんです。

中尊寺:相手の過去は知りたくないって男性も多いじゃないですか。でも、爪さんはそういう女性の機微もわかってくれている気がして、珍プレー喉プレーありきの風俗レポートというよりは、ラブストーリーを読んでいるような錯覚を覚えるんですよね。

:僕の読者は男性だけじゃなくて、意外と人妻さんなんかもいるんです。「夫にはナイショで読んでます」って声をかけられることも多いですね。

益子寺:あ〜ん! 人妻…♡ タマランチ会長〜!

中尊寺:ヤダぁ! 私も人妻だから、爪さんのストーリーが奥までキマくりやがるのかもしれません……。

益子寺:でも、私たちのおギグにも、家族や周りにはナイショで遊びに来て下さる性徒諸クン(ベッド・インのファンの呼称)もいるんですよ。OLさんとか学校の先生とか、普段はおカタイお仕事をしてる皆さんも“5時から女”よろしく、ボディコンを着てこっそりきてくれたり……♡

中尊寺:私たちのおギグが秘め事になっているみたいで嬉しいですよね。秘め事って、美しいじゃないですか。

:僕はベッド・インさんの曲や活動に、バブルのきらびやかな面だけじゃなくて、どこか物悲しさも感じているんです。僕にとっても、風俗ってどんなにいいプレイができても帰り道はすごく切ないというか、気持ち良いと楽しいは常にイコールじゃないんですよね。そこは共通しているのかも。

中尊寺:バブルも刹那的な時代ですからね。

益子寺:私たちは、気付けば実際のバブル時代よりもウォンビーロングに続いちゃいました!(笑)

:僕の場合「爪切男はへビーなエピソードをユーモアで乗り越えようとする。そこが泣ける」とか、読者が勝手に裏を感じてくれるんですよね。どう受け止めてもらってもいいし、好きに読んでもらえればいいんです。

中尊寺:私たちも、イェ〜イ! って感じでアーパーにバブルをやってますけど、私たちのおギグを見て、なぜかバナナの涙を流してくれる性徒諸クンもいるんです。その涙の理由はそれぞれにしかわからないことだけど、自分たちのことをどう受け止めてもらってもいいっていうのは同感です。大きなことを言うようですが、ナニかを感じてもらえたら最高! って感じなんです。

益子寺:でもたしかに、爪さんの本ってホロっと泣けてくるところもあるけど、絶対に笑えちゃうんですよ。読み終わった後にネガティブな感情にはならなくて。『死にたい夜にかぎって』(扶桑社)の、爪さんが子ども時代の借金取りとのエピソードとか、君は1000%重くてつらい出来事のはずなのに、なぜかクスっと笑ってしまう!

 読んだ後、前向きで元気びんびん物語になれる……栄養ドリンクを飲んだみたいな感覚になれるんですよね。だから爪さんの作品がDAISUKI!

:生まれてすぐに母親に捨てられて、借金のある家でとんでもないスパルタな親父に育てられてきたし、スポーツができなくて、顔もカッコよくない。小学4年のとき、親父に「お前は不細工だから将来苦労するだろう」って身もふたもない事を言われましたよ。でも、「大人になったら人を顔だけで見ないイイ女が出てくるから、そのときがお前の狩りの季節だ。それまでは、狩る技術を磨いとけ」と救いの言葉も言われていて(笑)。
 
 親父にそう言われたとき、僕がつらい人生を生き抜いていくのに必要なのは発想の転換だと思ったんです。小さい頃、「スーパーマリオ」のゲームが流行ってて、同級生はみんなマリオに憧れていたけど、僕はクリボーだったんです。マリオに踏み潰されるクリボーの気持ちを考えずにはいられなかった(笑)。クリボーである自分はどうすれば楽しく生きていけるのか。そういう考え方は、小さい頃から癖になってましたね。

中尊寺:弱い立場の気持ちに寄り添える方なんですね。素敵だと思います。

:その後、親父の言った通り、暗黒の青春時代があったんですけど(笑)。高校のとき、好きな女子から「君の笑顔って虫の裏みたいな顔してる」って罵倒されても、センスがある悪口だなと思って笑えましたし。

:学生時代から、クラスで目立たない女子がいても、頭の中で勝手に髪型を変えてみたり、ずっと観察してちょっとしたチャームポイントを探して、あれっ、この子意外と可愛いじゃん、とか妄想していました。こういう発想に、天性の女好きが合わさったもんだから、今こうなっちゃってるわけですけど(笑)。

中尊寺:でも、自分の学生時代を振り返ると、そういう考え方をしてくれている男子生徒もいたんだってことに感動しちゃいます。実はわたしも、いわゆるいじめられっ子だったので。

益子寺:わっかるぅ〜! 私も今やこうしてタカビーにボディコン着てますけど、ガラスの十代の頃はコンプレックスと劣等感だらけな少女時代を過ごしていたから、当時の自分に聞かせてあげたいわ! 爪さんみたいな男子もいるからダイジョーブイだよ、安心パパしてって!

:僕は昔から周囲に“悪人”を作ってこなかったんですよね。思春期の憎悪とか嫌悪が、全て親父に向かっていたから。今思うと、親父が全部引き受けてくれたってことなのかもしれない。そういうマイナスの感情が外の世界や他人に向かなくて良かったって思いますね。

中尊寺:私たちもだし、爪さんもそうだけど、学生時代にそういう生きづらさを抱えて抑圧されてた人って、遅咲きというか、大人になって狂い咲くようなイメージがありますよね。

益子寺:欲望が解放されるというかね。学生時代に「自分は本当はこう生きたい」って妄想も繰り返してきたから、いざ大人になったら狂い咲きサンダーロードをひた走っちゃうのかもネ!それでヤリ過ぎたのが今のベッド・インです(笑)。

:でも、僕は今、日々負け戦のような感覚で生きてますよ。本がもっと売れて欲しいけど、僕の本がベストセラーになったりしたら、それは日本がおかしくなっているってことですから。

 ただ、コロナみたいな非常事態になってから気づいたんですけど、真面目な人って、少しでも道から外れるとだいぶしんどいみたいなんです。僕の友人で、コロナの影響で電気代を払えなくなったヤツがいるんですけど、それに相当ダメージを受けてて。もちろん滞りなく払っている人は偉いですけど、あんなの督促状が3通くらい来てから払ったって全然セーフという考え方もあるじゃないですか。でも、それを知らないし我慢できない人もいるわけですよね。

『きょうも延長ナリ』は、僕にとって風俗が逃げ道のひとつになっていた時代の話なんです。その逃げ道が正しいのか間違ってるのかはわからないけど、そんなふうに生きてもなんとかなるよってニュアンスが伝わったらいいですね。

益子寺:コロナ禍で変わったことは、私たちも実感がありますね。世の中が暗いからか、明るくてバブリーな世界観が以前よりも求められるようになっている気がして。

中尊寺:ベッド・インの大事MANな「結成10周年サラダ記念イヤーアルバム」を作るために、クラウドファンディングをしたんです。そしたら支援して下さるマル金パパが1000人以上も現れて、目標金額の2倍も集まっちゃって。そこで、あっ、私たちもこれまでとはちょっと違う求められ方をしているぞと思って。

益子寺:すったもんだがある時代だからこそ、世の中がバブルを求めている……! いい意味でバカバカしくて景気のイイ世界を欲しているんだなって。みんな疲れてるのかな……チン配〜!

:あんまりいいニュースないですもんねぇ……。

益子寺:だったらウチらのパンチラ見てもらったほうがいいよね〜!♡

中尊寺:うちらを見て、バカバカしい〜! って一瞬でも忘れてもらえたらいいなって思います。風俗も我々のような商売も、確かに刹那的かもしれませんが、その瞬間に嘘はないと思うんですよね。

:僕の理想としてる作風って、沢口靖子さんのご長寿ドラマ『科捜研の女』(テレビ朝日系)なんですよ。人が死ぬサスペンスなのに、なぜか笑える、みたいな。あと、1話が45分で終わるのもいいですね。風俗のプレイ時間と同じです。
 誰に頼まれたわけじゃないけど、そういう『科捜研の女』的な救いを求めている方のために、勝手に使命感を背負って書き続けていきます(笑)。

中尊寺:最高です! 私たちも勝手にバブルを背負ってるので、やっぱりおチンパシー感じちゃう〜! これからも沢山、カイてコイてくださいね♡

 

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