どうしても合わない人と会話するときに「負の感情」に支配されない方法をラジオDJが伝授

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2022年11月24日 11:30  AERA dot.

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秀島史香さん(写真:著者提供)
 ラジオDJとして25年、第一線で活躍し続ける秀島史香さんの新刊『なぜか聴きたくなる人の話し方』からの連載。今回は、どうしても相容れない人を相手にしたとき、負の感情に支配されないための「心の持ちよう」をご紹介します。


*  *  *
■「誰からも好かれたい」から解放された出来事


 人とのコミュニケーションはままならないことが多々あります。


 会話の際は、相手の人柄、状況や気持ちを想像しながら、話題や言葉、表現、表情に気を配っていますが、どうしたって合わないという人もいます。


 人にはそれぞれ、その人の視点があり、事情があり、人生があります。長い時間をともに過ごした家族同士ですら、わからないことだってあります。ですから、自分が関わるすべての人たちと理解し合い、好感を持ってもらいたい、という願いはそもそも現実的ではありません。


 頭ではわかっているのですけどね。なかなか悩ましいものです。


 もちろん人間ですから、「できるなら好かれたい」というのは自然な気持ちです。でも、自分だってやっぱり苦手な人がいて、理解できない相手がいます。それを棚に上げておいて、自分だけは好かれたいし理解されたいって、考えてみれば都合のいい話ですよね。


 若い頃は「こっちがわかろうとしているのに、相手はわかってくれない!」というやるせなさに苦しくなりましたが、歳を重ねるほどに「ま、人それぞれだよね」に考え方がシフトしていくようになりました。


「そっか、そういうものか」と手放したらストレスはぐっと減りましたし、人間関係がとてもラクになったのです。


 きっかけは、仕事でご一緒した、とあるスタッフとの関係性。その方は普段、温厚ですが、自分が考えていた形で物事が進まないと、感情的になるところがありました。


 怒りが沸点に達すると、「緊張感が足りない!」「気合いが足りない」と、いわゆる精神論や根性論のような言葉が止まらなくなってしまう。初めてその怒りを受けたときはショックで、自分のどこが悪いんだろうと落ち込みました。一方で、その言葉に耳を傾けても、何について注意を受けているのかなかなか理解できず、困ってしまったのも事実です。



 その後も何度となく同じようなことがありましたが、具体的に何について注意を受けているのか、何を改善すべきなのか説明がありません。直すべきことがあれば直したいと思っても、こちらが質問をはさむことすらできない状況なのです。


 そうした状態が続くうちに、このままでは自分の気持ちが参ってしまうと思い、こう考えることにしました。


 どうしたって相手の「価値観」や「感情」は自分と合わないのだから、合わない相手によって否定された気持ちになったり、落ち込んだりするのは損だ、と。


 私がそう感じているということは、その人も私に対して、「なんで、わかってくれないのか!」と歯がゆさや憤りを感じていたことでしょう。


 言葉を尽くそうとしてもわかり合えないならば、私の場合は、その場を離れるという意味でひとまず謝ってしまいます。


 それで自分らしさが失われるわけでもないですし、負けるわけでもない。


 そもそも、コミュニケーションは勝負ではありません。


■戦いは避ける、無理な理解もしない


 そのことがあってから、誰かから一方的な意見や感情を浴びせられたら、ひとまず言いたいことをすべて言わせてしまい、その時点では反論はしない、というのが私の基本姿勢です。


 人それぞれの対処法があると思いますが、前著でも書いた通り、「心の防水加工」をして、とりあえずやり過ごすという方法が私には向いているようです。


 人は自分が言いたいことをすべて言い終えたら、それなりにスッキリします。延々と続くことはない、と思って、相手の言葉は自分の内側に入れず、頭の外につけた見えない雨どいに静かに流していく感覚です。


 途中で口をはさんだりすると、「その態度はなんだ! そういえばあのときも……」とかえってカミナリ源を供給してしまいますから。


 もちろん、こちらにも怒りが湧いてきます。でも、反論したところで、相手がそもそもこちらの言い分に耳を貸す気がない、最後は絶対自分が言い負かしてやるというタイプは、ますます頑なになるだけ。



 相手が怒りにまかせて攻撃してくるのには、その人なりの理由や価値観があるはずです。それを想像しようとしても、わからないことはやっぱりわかりません。


 そんなときは、


「そうですか。○○さんは、そう思われているのですね」


 といったん受け止めるように見せて、さらりと自分の外側に流しておきます。まともに聞いていたら、理解できないダメージをこうむるだけですしね。


■会話に「勝ち負け」なんてない


 こういった相手の言い分は“心で”受け止めることは必要ありません。「私にはない考え方だな〜」「これは新しい価値観!」と心の中でスルーするつもりで。たくさんの人と関われば関わるほど、ニュータイプの爆発物、導火線との出会いも増えます。


 不毛な摩擦や衝突は自分を無駄に疲れさせるだけ。不条理な怒りをぶつけられている瞬間も、“心”にまで踏み込まれないよう「どうしたって自分には無理な価値観だし、染まる必要もない」と流しておきましょう。


「論破」という言葉もよく聞くようになりましたが、会話に「勝ち負け」を持ち込んでくる人がいたら、いったん深呼吸。


「はいはい、ここは負けるが勝ち」


 と、心の中で唱えてみれば、無駄な戦いから気持ちよく降りられます。相手と自分の感情に振り回されて一喜一憂しない。


 ゴールのない不毛なやりとりであれば、「これは私とは違う文化の人だから仕方がない」と割り切ります。あなたの心を守るためにも、自分から物理的、心理的距離をとりましょう。


 あなたにはあなたの大切な時間がありますし、大切にすべき人たちがいます。


 限りある人生で、どうやったって合わない人を理解する努力は不要。そのエネルギーと時間は、自分自身を大切にするために、そして大切な誰かを愛するために使いましょうね。


【ここまで聴いてくれたあなたへ】
あなたの限りある大切なエネルギーを、使わなくていい相手に使っていませんか?


(構成/小川由希子)



【おすすめ記事】高田純次が賞賛したラジオDJ・秀島史香の“いい空気”のつくり方


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  • そういうとき記事の人とはベクトル逆で、こっちがその人が聞かれたくないこと質問しまくって面食らわせると途端に小さく静かになります。
    • イイネ!10
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