多忙なはずなのに…医学生が「ボードゲーム店」を“起業”した深いワケ 学生にも地域住民にも「新たな発見がある場」に

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2022年11月26日 07:10  まいどなニュース

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「7th DICE」を運営する、島根大医学部医学科の(左から)稲垣海里さんと上西凜太郎さん

 島根大医学部(島根県出雲市塩冶町)の学生が、ボードゲーム200種類以上を楽しめる店を出雲市内にオープンした。運営は学業と並行して学生数人で行うという。興味を引かれて、店を訪ねた。

【写真】店内の棚にはボードゲームが所狭しと並び…壮観です

 店は島根大医学部がある出雲キャンパスのすぐ北側、出雲市塩冶神前3丁目の住宅街にある。学生と地域住民の交流拠点として整備された「出雲ベース」2階の一室をボードゲームスペースとして改装し、8月にオープンした。

 店名は「7th DICE(セブンス ダイス)」。店内は広さ約60平方メートルで、入店して右手の棚にはボードゲームがぎっしり。無人島を舞台にサイコロの出目に応じて素材を集めて開拓していく「カタン」や、道や建物が描かれたカードをめくって陣地を取り合う「カルカソンヌ」といった人気のものが並ぶ。机4台と座卓があり、席は最大28席。漫画約1200冊もそろえる。

 店内はとてもきれいで、ボードゲームだけでなく漫画も楽しめ、居心地が良さそう。学業があるため週1、2回の不定期開店だが、客層は20〜30代の男女が多く、学生以外にも人気の店になっているという。

金融業勤務の経験がある学生が経営

 個人事業主として店を経営するのは、島根大医学部医学科4年生の稲垣海里さん(30)。日によっては同じ学科の2年生3人に業務委託という形で運営を任すが、店のキーマンだ。稲垣さんは開店理由について「自分の反省を生かし、学生のうちにいろいろな経験、勉強をしておくべきだ、という思いがあった」と明かした。

 稲垣さんは埼玉県出身。東京都の大学を卒業し、金融業に勤務した経験がある。ただ「正直、大学は友人に合わせてなんとなく入り、4年間はほとんど遊んで過ごした。就職先も深く考えずに決めた」と振り返った。仕事になじめず退職し、自分がやりたいことを改めて考えた時、専門的な技術や知識が必要な仕事に興味を持った。その結果、医学で人を助ける医師を志し、現在の島根大医学部に入学したという。

 2度目の学生として貴重な6年間で幅広いことを勉強しようと多様なセミナーに参加した。6月に参加した起業セミナーで、事業計画書を書く試みがあった。前の大学で先輩に勧められて以来、趣味でボードゲームの収集をしていたため、ボードゲーム店の計画書を書いてみると、面白いように筆が進んだ。

 「経験として実際にやってみたい」。そう思い立ち、出雲商工会議所に助言をもらいつつ、親しい教授が管理する建物を借りてボードゲーム店の開店にこぎ着けた。思い立ってからわずか2カ月の出来事だった。

親しい教授が管理する建物を借りて開店

 稲垣さんには、自身が学生時代を漫然と過ごした経験から、多くの学生に多様な経験をしてもらいたいという思いがある。建物を貸してくれた島根大医学部救急医学講座の岩下義明教授(42)からは「医者になると必ず地域や住民と関わりを持つことになる。学生のうちからこうした形で地域と関わっていくことは大事」と助言をもらった。

 このため、店長を経験したいという学生を常に募集中。集客、仕入れ、会計といった業務を一定期間、一通り体験してもらう。業務委託という形式のため賃金は出ないが、売り上げの一部を成果報酬として支払うという。こうすることで、学生が自身の収入のためにどうやって集客するかを考える機会になる。

 運営に加わる医学科2年生の上西凜太郎さん(25)は「ゲームのルール確認やお客さんにとって分かりやすい説明の仕方など勉強になる点が多い。大学ではあまり機会のない、地域の人との交流があるのもうれしい」とやりがいを話す。

 店名の「7th DICE」は「7番目のサイコロの面(7th dice face)」の略で、新たな可能性を見つけ出すという思いがこもっている。遊びに来る客にとっても、運営する学生にとっても新たな発見がある場にしたい考えだ。

 稲垣さんは「地域の人を相手に、どうすれば人が来てお金を稼げるかをリアルに考えられる。学生にはなかなかない機会なのでぜひ体験してみてほしい。学生以外のお客さんも、知らないボードゲームで新たな楽しさを見つけてもらえればうれしい」と笑った。

 医学部生が切り盛りするボードゲーム店は、学生にとっても地域住民にとっても発見がある「新しい場」だった。ボードゲームに詳しくない人でも楽しめるので、興味のある人は気軽に立ち寄ってみてはどうだろうか。

 「7th dice」は毎週木曜を中心に不定期でオープン。オープン予定日はホームページや店のツイッターで確認できる。利用料金は一般は1時間まで500円、2時間半まで1000円、2時間半以上は1500円。学生は1時間まで400円、2時間半まで800円、2時間半以上は1200円。2人以上の利用にはグループ割引があるほか、回数券や団体貸し切り制もある。駐車場は店舗前に3台分、徒歩1分の場所に3台分ある。

(まいどなニュース/山陰中央新報)

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  • 最近、ボードゲームのニュースよく見るな!そう考えるとサイコロ倶楽部(アニメ)は時代に乗ってたんやな!
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