
眠りにつく時は「横向き寝」の人が多い? 寝方・眠り姿勢の傾向
寝つく時は、自分が一番好きな姿勢をとると眠りやすくなります。ですから、「仰向けで眠るのが正しい眠り方だ」など誤った思い込みがあると、なかなか眠りにくくなるかもしれません。睡眠時の姿勢に関する調査はたくさんありますが、多くのもので「横向き寝」が半数近くを占め、次に、仰向け、うつ伏せが続くようです。
眠ってしまえば、姿勢をコントロールすることは不可能です。寝つく時の姿勢と最初の深い睡眠が終わった時の寝相は、多くの場合異なっています。熟睡すれば寝相が悪くなるのは仕方がないことで、寝返りが少ない子どもは、脳神経の発達が遅れている可能性があるほどです。
とはいえ、成長するにしたがって寝相もよくなってきます。子どもは眠っている間によくベッドから落ちますが、大人で落ちる人はあまりいません。それは、眠っている時でも脳の「見張り番」が働いていて、ベッドの縁を感知しているからです。
寝相から見る性格診断……アメリカの精神科医による報告
1970年代にアメリカの精神科医ダンケル博士が、寝つく時の姿勢を次の4つのタイプに分けています。それぞれの姿勢に特有な性格も分かってきました。
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仰向け寝の性格の傾向
王様型とも呼ばれます。自分に注目を集めるのが好きなタイプで、子どもやタレントに多く見られます。性格としては、自己中心的で積極的、開放的、行動的な傾向があります。「大の字で眠る」というイメージですね。うつ伏せ寝の性格の傾向
金貸し型とも呼ばれます。保守的で支配的な人に多く見られます。大切なものを体で守っているのでしょう。消極的で神経質、時間に正確な面もあります。横向き寝の性格の傾向
この寝相が最も一般的です。利き腕と向く方向に関連があり、右利きの人は右を下に、左利きの人は左を下にしがちです。これは、無意識のうちに利き手を守るため、と考えられています。この寝相は、常識的な人で社会との適応がうまくいっている人に多く見られます。「心臓への負担を減らすため、右を下にして眠る人が多い」という説もありますが、まだ実証はされていません。
丸まって眠る人の性格の傾向
横向きの中でも、体を丸めて顔や腹を隠すようにして眠るタイプです。防御的で抑制が強い人に多く、眠っても自分を解放できない現れです。強い心理的ストレスにさらされている時にも、この寝相になりやすいです。
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他にも何か症状があれば、早めに内科や消化器科、心療内科などを受診するとよいでしょう。
寝返りの平均回数は一晩に30回!?
私たちは、一晩中同じ姿勢で眠っているわけではありません。子どもを見れば分かりますが、彼らは寝返りをたくさんうって、行儀よく寝てはいません。また大人でも、一晩に10〜30回も寝返りをしています。寝返りには、いくつかの目的があります。ひとつは、体の下になった部分の圧力を減らして、血液の流れを回復させることです。寝たきりになると床ずれ(褥瘡)ができやすくなるのは、寝返りが不足するためです。
また、寝返りは寝違えを避けるためにも必要です。もともと筋肉や関節は、動くためにあるもの。睡眠中にこれらが動かないでいると、不自然な状態で固まってしまい寝違えにつながります。
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坪田 聡プロフィール
日本を睡眠先進国にするため、正しい快眠習慣の普及に努める専門医。日本医師会、日本睡眠学会、日本コーチ協会所属。医師とビジネス・コーチという2つの仕事を活かし、医学・生理学と行動計画の両面から睡眠の質の向上に役立つ情報を発信している。(文:坪田 聡(医師))