NPBで苦戦目立つ台湾人選手、野手で成功は“日本育ち”だけ 今後の逆襲はあるのか

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2022年11月28日 18:00  AERA dot.

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巨人などでプレーした台湾出身の陽岱鋼
 ここ数年、NPBで苦戦することが多い外国人選手。中でも特に大きな期待を受けて来日しながら、その期待に応えられなかった代表例と言えば王柏融(日本ハム)ではないだろうか。台湾リーグでは2年連続打率4割をマークし、2017年には三冠王にも輝くなど大活躍し、複数球団の争奪戦のすえ2018年に来日して日本ハムに入団。しかし4年間の在籍で一度も規定打席に到達することができず、通算159安打、14本塁打、打率.235という寂しい数字で今オフに自由契約となった。


【年俸ランキング】2022年セ・リーグ個人年俸上位20傑はこちら 今年で29歳とまだ若く、来季については育成契約を結ぶ方針であると報じられているが、4年続けて結果を残せなかったことを考えると、ここから這い上がって一軍で活躍することは難しいと言わざるを得ないだろう。


 王は期待に応えることができなかったが、2000年以降に台湾から来日して成功した例と言えば許銘傑(西武→オリックス)と張誌家(西武)の2人である。許は来日2年目の2001年に先発として11勝をマーク。その後はなかなか成績を残せないシーズンも長かったがリリーフとして復活すると、2011年オフにはFAでオリックスに移籍した。通算301試合に登板して49勝2セーブ39ホールドは立派な数字と言えるだろう。


 入団直後のインパクトが強かったのが張だ。2002年のシーズン途中に来日すると、約4カ月の出場ながら10勝をマーク。チームのリーグ優勝にも大きく貢献した。翌年以降は少し成績を落とし、実働は3年に終わったものの通算26勝を挙げた。ちなみに2002年は許が9勝、張が10勝をマークしており、この2人の活躍がなければ西武のリーグ優勝の可能性は低かったとも言える。


 この2人以上に安定感があったのがチェン・ウェイン(中日など)だ。2004年に19歳という若さで来日して中日に入団すると、来日6年目の2009年には先発の柱となり防御率1.54という驚異的な数字で最優秀防御率のタイトルを獲得。味方の援護が少なく二桁勝利は2010年の13勝だけだったが、2008年からは4年連続で防御率3点以下を記録している。その後はメジャーでも3度の二桁勝利をマークするなど活躍。2020年にロッテでNPB復帰した後は故障の影響もあり結果を残すことはできなかったが、日米通算96勝は見事という他ない。


 許、張、チェンはいずれも若い時に来日しており、彼らのような成長を期待してNPB入りする選手が増えたが、その中で一軍の戦力になっている選手は非常に少ない。2010年以降の成功例と言えるのは2016年に入団した宋家豪(楽天)くらいで、大半の選手は一軍でほとんどプレーすることなく日本を去っている。


 またここまで挙げた成功例から見ても分かるように、活躍しているのは投手ばかりで、野手は苦しんでいるのが現状である。林威助(阪神)、陽岱鋼(日本ハム、巨人)、呉念庭(西武)は一軍の戦力となっているが、3選手は日本の高校、大学を経てプロ入りした選手であり、純粋な外国人選手扱いの台湾出身の野手で最後に強いインパクトを残したのは1988年に来日した呂明賜(巨人)ということになりそうだ。


 しかしだからと言って今後も台湾出身の選手が苦戦し続けるかというと、そうとは限らない。2019年にはU18W杯で優勝を果たし、今年の大会でも準優勝するなど、育成年代のチームは国際大会で結果を残し続けている。長年、打高投低が続いていた国内リーグも昨年から低反発のボールに変更し、ホームランが激減したことが話題となった。長打が出づらい状況でホームランを量産できるような選手が出てくれば、NPBでも結果を残す可能性は高くなるだろう。


 また、2019年には楽天がLa Newから球団を買収し、翌年からは楽天モンキーズとして参入。今年のドラフトでは楽天が育成4位で台湾の大学でプレーしていた永田颯太郎を指名するなど、台湾との繋がりを強くしている印象を受ける。他球団からも台湾の有望な若手選手を再び狙う動きが出てくることも十分に考えられるだろう。


 1980年代から90年代にかけては郭源治(中日)、郭泰源(西武)の2人が大活躍したが、今後は投手だけでなく、野手でも日本球界を席巻するような台湾球界出身の選手が出てくることを期待したい。(文・西尾典文)


●プロフィール
西尾典文 1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。


このニュースに関するつぶやき

  • 王は中日の左のアベレージヒッターだった李と被りますよね。イ・スンヨプとか趙成Δ箸は韓国だけど,中国,台湾,韓国から来る助っ人は2年目以降に活躍してる選手もいる
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