日本も大金星を挙げたカタールW杯、“波乱”起こす「アジア勢の実力」は本物なのか

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2022年11月28日 18:00  AERA dot.

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日本代表はグループリーグ最終戦のスペイン戦で再び“アジアの強さ”を証明できるか
 熱戦が続くサッカーW杯カタール大会。森保ジャパンの戦いに“一喜一憂”させられることになっているが、その日本代表の戦いも含め、今大会のグループステージ全48試合中28試合を終えた時点での今大会一つのキーワードに「番狂わせ」がある。そして、その多くに「アジアの国」が関与している。


【写真】W杯をアツくする! 世界各国のサポーターたち 最初に世界を驚かせたのが、グループCのサウジアラビアだった。大会3日目、優勝候補の一角であるアルゼンチンと対戦すると、前半10分にメッシにPKを決められながら、後半の立ち上がりに鋭い出足から反撃に転じ、後半3分にサレハ・アルシェハリのゴールで同点、さらに後半7分にサレム・アルダウサリの豪快な右足弾で逆転し、2対1でW杯史に残る「大金星」を挙げた。


 続く第2戦はポーランドに0対2で敗れたが、ボール支配率61%を記録しながら試合を優位に進めてシュート数は相手(8本)の倍近い15本。この日は最後のところの精度を欠いたことが大きな課題となったが、中東勢の“ドン引きカウンターサッカー”はすっかり過去の話で、しっかりとDFラインを押し上げ、高いテクニックを披露しながら中盤で細かくパスを繋ぐモダンサッカーを披露。代表選手全員が自国クラブに所属して未知数な部分が多かった中で、背番号10のサレム・アルダウサリ、身長192センチのMFモハメド・カンノなどは欧州トップリーグでも活躍できるであろう高い個人能力を披露している。


 そのサウジアラビアがアルゼンチンに勝利した翌日、グループEの日本が2対1でドイツを下す「番狂わせ」を演じたのは周知の通り。そしてそれ以外にも、グループBのイランが、初戦でイングランドに2対6の大敗を喫しながら、第2戦ではウェールズを相手に何度もチャンスを作り出し、後半アディショナルタイムの2得点で2対0の勝利。同じくグループDのオーストラリアも初戦でフランスに1対4で敗れたが、第2戦でチュニジア相手に1対0の勝利を収めている。


 また、グループHの韓国は、初戦で南米の強豪ウルグアイ相手に見応え十分の互角の戦いを演じて0対0の引き分け。残念ながらグループAの開催国カタールは2連敗(0対2エクアドル、1対3セネガル)でグループステージ敗退が決まったが、まだ1試合しか消化していない韓国も含めて、日本、サウジアラビア、イラン、オーストラリアのアジア勢6チーム中5チームが決勝トーナメント進出への可能性を残している。


 過去、W杯でアジア勢は常に厳しい戦いを強いられてきた。出場32カ国制となった1998年フランス大会以降の6大会を振り返ると、アジア勢で決勝トーナメントに進出したのは延べ25チーム中5チーム(日本3回、韓国2回)のみ。


 悲惨だったのが前々回の2014年のブラジル大会で、アジアの4カ国(日本、韓国、オーストラリア、イラン)がグループステージで1勝も挙げられず敗退(通算3分9敗)。前回2018年ロシア大会では唯一、日本がベスト16入りを果たしたが、その他の4カ国(韓国、オーストラリア、イラン、サウジアラビア)はグループステージで姿を消した。過去6大会のアジア勢の通算成績は83試合15勝18分50敗で、引き分けを省いた計算式で勝率.231だった。それが今大会のアジア勢は現時点で11試合4勝1分6敗の勝率.400と跳ね上がっている。


 だが、この「アジアの躍進」が本物かどうかは、今後の戦い次第である。グループステージの残り1試合で、日本はスペイン、サウジアラビアはメキシコ、イランはアメリカ、オーストラリアはデンマークとそれぞれ対戦し、いずれも敗れた場合はグループステージ敗退が決まる。グループHの韓国も、残り2試合は身体能力の高い選手が揃うアフリカの難敵ガーナ、クリスティアーノ・ロナウド以外にも攻撃的なタレントを多く擁するポルトガルが相手。現時点で5カ国に決勝トーナメント進出の可能性があるが、その反面、カタールも含めてアジア6カ国全チームがグループステージ敗退となる可能性も低くない。前回ロシア大会でも、サウジアラビア(1勝2敗)、イラン(1勝1分1敗)、オーストラリア(0勝1分2敗)、韓国(1勝2敗)と、日本以外の4カ国は、いずれも“一矢報いる”戦いを演じながら、結果的にはグループステージ敗退となった。今大会は果たして、どうなるか。


 アジア勢が今大会で「結果」に拘りたいのは、次回2026年の北中米大会から参加国が現行の32から48に拡大されることに伴い、アジアの出場枠が「4.5枠」から「8.5枠」に増加されることも大きな理由にある。カタール開催となった今大会でも開催スケジュールや人権問題など様々な問題が噴出し、改めてFIFAの「金儲け主義」が批判に晒されているが、次回大会での「アジア4枠増」も中国代表および中国企業の資金力を多分に意識してのこととして世界中のサポーターから冷ややかな視線を送られている。その評価を覆すためには、今大会でのアジア勢の戦いぶりが非常に大事になる。


 すでにサウジアラビアがアルゼンチン、日本がドイツを下して「番狂わせ」を起こせる力があることは証明した。あとは、ここからどこまで勝ち上がれるか。今大会も含めて今後、アジアの複数チームが常にベスト16、ベスト8に進出できるようになれるか。アジア全体のレベルアップは日本サッカーの強化に絶対に必要なこと。アジア勢が勝利しても「大金星」や「番狂わせ」と騒がれない時代を目指し、まずはカタールの地で、より多くのゴールと勝利を奪い取ってもらいたい。(文・三和直樹)


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