パトリック・ハーランさん「FIRE卒業」が話題になっています。早々に経済的自立をして早期退職した人たちが、なぜ社会復帰するか? 理由は様々ですが、中には「生きがい」を求めて仕事を始める人もいるといいます。少年時代は貧乏生活で、借金と奨学金を返済しハーバート大を卒業したパトリック・ハーラン(パックン)は、投資をスタートしてから早25年以上ですが、「FIRE」は考えていないといいます。その理由とは? 堅実にお金を増やすための方法を、最新刊『パックン式 お金の育て方』から一部を抜粋・再編して公開します。
【画像】『パックン式 お金の育て方』より* * *
■FIREについては、これだけ知っておけばOK! たくさん僕のお金の記事を読んでくれた人からしたら、「お金の育て方」のイメージが少しずつ分かってきていただいているかもしれません。
では、このあたりで、最近何かと話題の「FIRE」についての僕の考えを伝えておきます。
「FIRE」と言っても、火のことじゃないですよ。ちなみに缶コーヒーのことでも、大仁田厚さんの掛け声(知らないかな?)のことでもない。
次の4つの英単語の略語です。
F:Financial
I:Independence
R:Retire
E:Early これが何を指しているかというと、「
経済的自立をして、早期退職する!」ということ。
つまり、
投資などの不労所得を増やして、自分の身体を使って稼がなくても食べていける状態です。
FIREを達成するポイントとして
「年間支出の25倍の資産を蓄える」「生活費を投資元本の4%以内に抑える(4%ルール)」という2点がよく挙げられています。
たとえば、年間支出が400万円なら、25倍の資産は1億円ですね。
あとは、この1億円を、(税金、インフレ、手数料を加味した後)利率4%で運用すれば、毎年400万円のパッシブインカムが手に入る。
ということは、パッシブインカムだけで生活できる!
しかも、資産の1億円は一切減らない。それも永遠に!
これがFIREのおおまかな説明です。
■FIREをあえて目指さない理由 素敵な考えですが、
僕自身はFIREを目指してはいません。
僕はビバリーヒルズの金持ち父さんから教えてもらってから、アクティブインカム以上のパッシブインカムを得ることを目指しています。
これはそのとおりだと思っているのですが、なぜFIREに心惹かれないかというと、「仕事を早く辞めたい」とはまったく思わないからです。
仕事は人の役に立つものだし、僕は大好きです。
逆に、FIREを達成した人に「仕事を辞めた後はどうするの?」とちょっと聞いてみたいくらいです。
だから僕は個人的にFIREのFとI(経済的に自立をする)、E(早いうちに)には賛成。
だけど、R(退職する)はいらない。もしくは、Rの意味を変えよう。
僕が投資をしているのは仕事を辞めるためではなく、暮らしや気持ちにゆとりを持つためだからです。 だから、FIREが「Financial Independence Relax Early」(経済的自立をして、早めにリラックスしよう)ならいいと思います。
■経済的自由を手に入れた後に、したいこととは? そして、暮らしにゆとりができたら、僕がどうしたいかというと……。
やっぱり、仕事かな!
ただ、今よりも、さらに僕がやりたい仕事に集中したいです。
芸能の仕事も好きでずっと続けるつもりですが、ダイナーのコックさんとか、バスガイドさんとか、スキューバダイビングのインストラクターさんとか。いろいろやってみたいことがあります。
今、頭に思い描いているのは、僕が世界各国を旅して旅番組を作る構想です。
パッシブインカムで僕の生活費や旅費を負担する代わりに、僕が行きたい場所に行かせてもらいます!
番組名は『世界バックパックンの旅』でどうでしょう。
興味のあるテレビ局の偉い人、いつでも連絡くださいね!
(構成/増田侑真)
パックン
本名:パトリック・ハーラン。芸人・東京工業大学非常勤講師。
1970年11月14日生まれ。アメリカ・コロラド州出身。93年ハーバード大学比較宗教学部卒業。同年来日。97年、吉田眞とお笑いコンビ「パックンマックン」を結成。NHK「英語でしゃべらナイト」「爆笑オンエアバトル」をはじめ、多くのテレビ番組に出演し、注目を集める。「AbemaPrime」「報道1930」でコメンテーターを務めるなど、報道番組にも多数出演。2012年10月より池上彰氏の推薦で東京工業大学の非常勤講師に就任。コミュニケーションと国際関係についての講義も行っている。二児のパパ。
25年以上の投資歴があり、金融教育の講師として全国各地で講演会も行っている。
最新刊の『お金の育て方』では、「生活保護」状態から「お金持ち」になるまでに身につけた、誰にでもマネできる、お金との付き合い方を詰め込んだ。