「異議あり」岡口判事の弾劾裁判、弁護団が裁判所に噛み付いた理由【詳報】

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2022年11月30日 22:21  弁護士ドットコム

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SNSの不適切な投稿などをめぐり訴追されていた仙台高裁の岡口基一裁判官(職務停止中)の弾劾裁判の第2回公判が11月30日、参議院第二別館内の弾劾裁判所(裁判長:松山政司議員=参・自民=)であり、冒頭陳述と証拠調べが実施された。


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次回期日は2023年2月8日に開かれ、証拠の採否を決定する予定。また、証人尋問がおこなわれる可能性もあるという。



岡口判事は、ツイッターなどに殺人事件の遺族の感情を傷つけたり、飼い犬の所有権をめぐる訴訟の当事者の社会的評価を不当におとしめたりする投稿をしたなどとして、2021年6月16日に罷免訴追された。





裁判官訴追委員会(委員長:新藤義孝議員=衆・自民=)は、岡口判事のツイートなど13個の行為を問題視しているが、このうち4つについては訴追期間の3年(裁判官弾劾法12条)を過ぎている。



この点について訴追委は、13個すべてを一体のものと主張。岡口判事が裁判所から厳重注意されてからも、抗議する遺族に「洗脳されている」などと関連投稿を繰り返していたとも指摘した。そのうえで、「国民の裁判の公正に対する信頼を損なう懸念がある」などと述べた。



これに対し、岡口判事の弁護団は公判後の記者会見で、「訴追期間の意味がなくなる。行為ではなく、人格を裁判の対象にしており問題が大きい」などと批判した。



また、「投稿自体が不適切だったことはすでに認めている。ただ、業務外の行為であり、法曹資格を失わせるまでの事例なのか。過去に弾劾されたのは刑事事件や職務に関する不正などで、質的にあまりに違う」とも述べた。





●訴訟指揮めぐり弁護人から異議も

今回の公判では、弁護人から弾劾裁判所の訴訟指揮について、異議などが述べられるシーンが複数みられた。



たとえば、岡口判事の座る席。岡口判事は当初、弁護人とのコミュニケーションなどの観点から、弁護人席の後列に座っていた。しかし、開廷から1時間ほどが経過して、裁判長から指定の席につくよう指示された。弁護人が異議を唱えたが却下された。



また、証拠調べの際には、衆参の国会議員からなる裁判員の正面にスクリーンが立てられ、証拠が投影された。岡口判事側は、傍聴席から見えないなどとして、証拠の一部朗読(要旨の告知)ではなく、全文朗読を要求(刑事訴訟法305条)。裁判員が合議するため、急遽20分ほど休廷となるシーンがあった(要求は通らなかった)。





裁判官はときに国などと対立することもあり、独立・公正な裁判のため、憲法で身分が保障されている。弾劾裁判所はその例外として、裁判官をやめさせることができる機関だ。罷免になれば、裁判官の身分を失うだけでなく、弁護士や検察官になる資格もなくなるが、不服申立てはできない「一回勝負」。審理には慎重さが求められる。



「裁判の細かな手続きにこだわりすぎと思われるかもしれないが、『国民の公正な裁判に対する信頼を損なう懸念がある』と訴追委が言っていたように、『裁判官への信頼』がテーマになっている弾劾裁判で手続きの適正さを保てないなら、本末転倒だ」



弁護団は記者会見でこのように趣旨を説明していた。


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