W杯スペイン戦を前に振り返る日本のまさかの敗戦「どこかでアグレッシブにいき切れないところが」

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2022年12月01日 21:40  AERA dot.

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後半36分、GK権田修一はフジェル(4)のシュートに手を伸ばしたもののはじかれ、決勝点を許す(photo 森田直樹/アフロスポーツ)
 日本はドイツ戦で歴史的金星を挙げ、コスタリカ戦でまさかの黒星を喫した。日本時間12月2日のスペイン戦を前に、この敗戦の原因を振り返る。


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 ドイツ戦での歴史的な金星から中3日、歓喜の雄たけびは失望のため息へと変わった。


 11月27日に行われたサッカーのワールドカップ(W杯)カタール大会1次リーグE組の第2戦で、日本はコスタリカに0−1と敗れた。勝てば決勝トーナメント進出(上位2チーム)に向けて大きく前進する一戦だったが、引いて守りを固めてきた相手にまさかの黒星を喫して勝ち点を3から伸ばせず。一方、初戦でスペインに0−7と大敗していたコスタリカは同3で日本と並んだ。E組は本稿締め切り後の日本時間12月2日の第3戦で、1次リーグ突破チームが決まることになった。


 一瞬、目を疑った。後半36分、日本は自陣中央で不用意な形でボールを失うと、味方からのパスを受けたDFケイセル・フジェル(28)にペナルティーエリアの中からこの試合唯一の枠内シュートを許した。フワッと緩く浮いたボールに勢いはなく、GK権田修一(33)の守備範囲かに思われた。だが、飛んだコースがよかったのか、ボールは懸命に伸ばしたその手をかすめながらゴールネットに吸い込まれていった。


 森保一監督(54)は、攻撃陣を中心にドイツ戦からスタメン5人を入れ替えた。だが、フレッシュな選手がもたらしたのは勢いではなく、ぎこちなさだった。CF(センターフォワード)で起用されたW杯初出場の上田綺世(24)は前線で存在感を示せず、ドイツ戦で同点ゴールを挙げた右MFの堂安律(24)も沈黙。そして、トップ下のMF鎌田大地(26)のボールタッチはことごとくずれた。


 ハーフタイムに上田に代えてFW浅野拓磨(28)、DF長友佑都(36)に代えてDF伊藤洋輝(23)を投入したほか、後半17分にはDF山根視来(28)に代えてMF三笘薫(25)、同22分には堂安に代えてMF伊東純也(29)、同37分にMF相馬勇紀(25)に代えてMF南野拓実(27)と5人の交代枠を使い切ったものの、最後まで攻めるのか守るのか、チームの狙いがぼやけた戦いに終始した印象だ。


 後半開始直後、途中出場の浅野とのパス交換からMF守田英正(27)がエリア内に侵入し、左足でシュートを放った際には攻撃のギアが上がったかに思われた。だが、あとが続かず。終盤には伊東や三笘が絡み、チャンスになりかけた場面はあったが得点までには至らなかった。


 試合後には、複数の海外メディアで、今大会ワーストのゲームと失笑された。それでも、最低でも勝ち点1さえ取れればよかったが、それさえも逃す最悪の結果となった。


 自滅という表現がこれほどぴったりな試合はない。主将の吉田麻也(34)はこう振り返った。


「守りを固めてカウンターねらいで来た相手にワンチャンスをモノにされてしまった。大きい勝利のあとは気持ちが緩みがち。そこはわかっていたつもりだったが……。いちばん起きてはいけない展開になってしまった」



 ドイツ戦の勝利から一転、コスタリカに敗れたことで、一気に森保ジャパンに対する見方は厳しくなった。ただ、それは敗戦という結果ではなく、その消極的な姿勢が生んだといえる。


 初のW杯ベスト8以上という目標を掲げるなか、1次リーグで優勝経験のある強豪ドイツ、スペインと同居。突破のシナリオは、まずは第2戦でコスタリカに勝利することだったはずだ。それが運よく初戦のドイツ戦で勝ち点3を取れたことで、“マスト”ではなくなったことは理解できる。無理をして勝ち点3を狙って星を落とすくらいなら確実に勝ち点1を手にしたいと考えても不思議ではない。ただ、それにしても最もくみしやすいと思われたコスタリカにいかにも中途半端な戦いに終始した結果が、0−1の敗戦では自らチャンスを放棄したようなものだ。


 後半頭から左SB(サイドバック)に入り、その後3バックに布陣を変更した際には左CB(センターバック)を務めた伊藤に、消極的に見えた戦いについて聞くと、リスクを冒す必要はなかったとした。


「無失点を続けながらどこかで先制点を取れたら、というのがプランだった。それが、逆に相手に先制点を取られてしまい苦しくなってしまった」


 ドイツ戦同様、後半途中に交代でピッチに入ると、左ウィングバックに入った三笘は「なかなかボールが来ず、自分を出し切れない展開で後悔もある」と話したうえで、こう続けた。


「前半0−0でも、後半勝負という話はあった。慎重になり過ぎた? 自分たちにアドバンテージがあったぶん、どこかでアグレッシブにいき切れないところがチームとしてあったと思う」


 大会前は挑戦者として臨むつもりが、ドイツ戦で望外の結果を得たことで立ち位置を見誤ってしまったなら、これほどもったいないことはない。


 サッカーにおいて「勝っているときにはチームをいじるな」という鉄則があるなか、森保監督が初戦から先発5人を入れ替えたターンオーバーについては批判的な意見も少なくない。コスタリカ戦だけを考えれば、そのままのメンバーで戦っていれば勝利した可能性が高かったのではないか、と考えられる。それでも、代えたというのはその先の目標を考えてのことだろう。


 ただ、結果的にその人選には疑問符がつく。たとえば連戦のなか、負担の大きい選手を休ませるなら日本がボールを保持できる展開が予想できたコスタリカ戦でMF遠藤航(29)をベンチに下げてもよかったのでは?(結果的に遠藤は同戦で右ひざを痛めた)。また、コスタリカ戦で勝利できれば、第3戦のスペイン戦で無理のないターンオーバーは可能になっただろう。


 ドイツ戦では終盤、左右のウィングバックに三笘と伊東を置いた攻撃的な布陣が結果的に吉と出たが、5−4−1の布陣のコスタリカ戦ではそれがハマらなかった。相手が1トップなら中央にDF2枚が構える4−2−3−1のほうが理にかなっているし、三笘と伊東も2列目の「3」の両サイドに置いたほうが、より高い位置から攻撃に参加でき良さが出たに違いない。


 ただ、主将の吉田も言ったように、


「何も失ったわけではないし、すべてを投げ出すには早すぎる」


 スペイン戦がどんな戦いになろうとも出し惜しみのない真っ向勝負で白黒がつけば、批判の声はまた称賛に変わるはずだ。


(ライター・栗原正夫)


※AERA2022年12月12日号より抜粋


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