W杯「ベスト8」の壁 日本代表が優勢?前回準優勝「クロアチアの実力」とは

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2022年12月02日 13:35  AERA dot.

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史上4回目の決勝トーナメント進出を果たしたサッカー日本代表
 土俵際から再び逆転での“大金星”を挙げ、グループE1位で2大会連続4度目の決勝トーナメント進出を果たした日本代表。「まだ見ぬ景色」である日本史上初のベスト8進出へ向けての“次なる壁”は、グループFを2位で突破したクロアチアになった。果たして、森保ジャパンは勝利することができるのか。


【写真】妻も半端ないって!サッカー大迫選手の妻でモデルの三輪麻未さん バルカン半島に位置する旧ユーゴスラビアの構成国で1991年に独立したクロアチア。W杯には3大会連続6回目の出場で、前回大会準優勝の実績を持つ。今大会前のFIFAランクは12位で、優勝オッズは32カ国中11位タイの51倍。日本(FIFAランク24位、優勝オッズ251倍)よりは格上だが、戦力的に世界のトップ8には入っておらず、日本がグループステージで対戦したドイツ、スペインよりも選手個々のタレント力、チームの総合力は間違いなく落ちる。これまでよりも対等な形で試合を進め、ボール支配率、チャンスクリエイト数、シュート数も含めて、内容的にも接戦に持ち込めるはずだ。


 だが、クロアチアが“強い”ことは間違いない。チームの中心は、前回2018年W杯の大会MVPで同年にバロンドールも受賞した「魔術師」モドリッチ(レアル・マドリード)。身長172センチ、体重66キロと小柄ながら、ピッチ上で放つ存在感は誰よりも大きく、柔らかいボールタッチと高精度のパスに加えて、豊富な運動量で常にボールに関与して試合のリズムを作る。37歳となっても衰えを感じさせず、依然として世界最高峰のゲームメーカーだ。今大会でもグループステージ全3試合にスタメン出場し、相手DFラインを突破するラインブレイク成功数61回、クロス数18本はともにチームトップを記録している。意表を突くアウトサイドキックと、ミドルレンジからでもゴールネットを揺らせる能力に、日本のDF陣は警戒したい。


 システムは不動の4−3−3で、特に中盤3人のクオリティが非常に高い。モドリッチとともにインサイドハーフに入るコバチッチ(チェルシー)にはドリブルでの推進力があり、アンカーのブロゾビッチ(インテル)はパスでの展開力が武器。このワールドクラスの3人が織りなすトライアングルには、技術、戦術眼、そして力強さがあり、バランス、コンビネーションも抜群。いずれも3大会連続のW杯(モドリッチは3大会連続4度目)出場と経験も豊富だ。基本的にはポゼッション志向だが、試合の中でどのようなゲーム展開になっても対応できる柔軟性もある。


 強力な中盤を誇る一方で、守備陣のタレント力はやや落ちる。GKリバコビッチ(ディナモ・ザグレブ)に、DFは右からユラノビッチ(セルティック)、ロブレン(ゼニト)、グヴァルディオル(ライプツィヒ)、ソサ(シュツットガルト)の4枚がグループステージ3試合で不動だったが、いずれの所属クラブを見ても中盤3人に比べるとワンランク落ちる。ただ、高い集中力と組織力があり、今大会ではグループステージ3試合で1失点のみの“堅守”を誇っている。特に20歳のグヴァルディオルは強さと速さ、足元の技術を併せ持った将来が嘱望される左利きの現代型CB。大会開幕前に鼻骨を骨折するアクシデントに見舞われたが、フェイスガードを付けた“バットマン姿”で奮闘。球際の強さを見せながら好プレーを連発している。


 そして3トップのFW陣では、左ウイングのペリシッチ(トッテナム)に要注意だ。強さと巧さを生かしてチャンスメイクし、左右両足から放たれるクロス、シュートは非常に精度が高い。さらに警戒すべきが、クラマリッチ(ホッフェンハイム)。準優勝した前回大会決勝のピッチにも立った31歳は今大会、第1戦ではCF、第2戦、第3戦では右ウイングで出場し、第2戦では巧みなポジション取りと、鋭い切り返しからの左足で計2得点をマークした。前線を自在に動き回りながらフィニッシャーとして機能しており、日本DF陣はペナルティーエリア内でこの男のマークを決して外してはならない。


 今大会のチームとしての戦いを振り返ると、グループステージ第1戦はモロッコ相手に0対0。ボール支配率57%を記録したが、シュート数は6対8。相手の激しい守備の前に攻めあぐね、枠内シュートは2本のみだった。だが、続く第2戦ではカナダ相手に4対1の快勝。クラマリッチの2得点に加え、CFで出場したリヴァヤ(ハイデュクスプリト)が強烈なミドルを決め、終了間際にはカウンターから途中出場のマイェル(レンヌ)がダメ押しゴール。ボール支配率は41%で、シュート数は13対9だった。そして第3戦は、強豪ベルギーを相手に0対0。ボール支配率は43%で、シュート数は11対15。結果的には無得点に終わったが、攻撃陣は相手が世界最高峰のGKクルトワでなければ、1、2点は入っていてもおかしくなかった内容で、守備陣も負ければグループリーグ敗退という中で最後まで体を張った。前回ロシア大会で見せた団結力は今大会も間違いなく高く、ムードも高まっている。


 さらにチームを率いるズラトコ・ダリッチ監督は、2017年10月に就任して前回大会でチームを準優勝に導いた手腕の持ち主。日本の森保一監督よりも2歳上の56歳。選手としては国内リーグのみのプレーで世界的な実績は乏しく、監督としても欧州トップリーグでの采配経験はないが、その代わりに2010年からカタールの隣国であるサウジアラビアで4年間、UAE で4年間指揮を執り、国内でリーグ&カップ戦のタイトル獲得にACL準優勝などの結果を残した。この中東での経験と成功は、母国代表を率いて2度目のW杯に臨んでいる今大会でもメリットになっているはず。もちろん前回大会準優勝の自信もあり、W杯での戦い方、トーナメントの勝ち上がり方も知っている。


 それでもクロアチアが前回大会よりも力が落ちていることは間違いなく日本が勝てる確率は、ドイツ、スペイン相手よりも高いだろう。マンジュキッチが代表引退して以降、最前線のCFにも適任者を欠いており、今大会も絶対的な強さはない。そして日本が優位に立てるポイントとして、過密日程の中でのコンディションにある。日本が第2戦でスタメン5人を入れ替えるターンオーバーを採用したのに対し、クロアチアは3戦を通じてスタメン変更は1人のみで、第2戦と第3戦は全く同じ。


 コバチッチこそ28歳だが、モドリッチが37歳、ブロゾビッチが30歳、ペリシッチが33歳、クラマリッチが31歳と中心選手が30歳オーバーとなっている。第3戦のベルギー戦は攻守にインテンシティの高いゲームとなり、肉体的なダメージは必ずある。伝統的に血の気の多い点も、付け入る隙になる。準優勝した前回大会を振り返っても、決勝トーナメントでは1回戦のデンマーク戦(1対1、PK4対3)、準々決勝のロシア戦(2対2、PK4対3)と2試合連続のPK勝ちだった。勝敗を分ける上で、時に最も重要となる「勢い」と「運」は、日本の方が持っているはずだ。


 その上で森保ジャパンがもう一度確認し、警戒すべきなのがセットプレーになるだろう。GKを除いてスタメン10人中、身長185センチ以上の選手が4人(ロブレン、グヴァルディオル、ソサ、ペリシッチ)おり、それ未満の選手たちにも体の強さもある。なにしろ、キッカーがモドリッチなのだ。左右のCK、両サイドからの間接FKだけでなく、ゴール前からの直接FKも要警戒。さらにクロアチアはキック力のある選手が多く、グループステージでの3試合でもミドルレンジからのシュートが多かった。その点は最後までパスを繋いできたスペインとは異なる。今大会、セットプレーからは失点していない日本だが、改めて守り方を確認すべき。そして一次攻撃を防いだ後のこぼれ球への反応、素早い寄せについても再徹底すべきだ。


 日本対クロアチア。過去3度の対戦は1勝1分1敗。W杯舞台での対戦は、日本が3度目の出場となった2006年ドイツ大会のグループリーグ第2戦(△0対0)以来となる。「ここで勝つか負けるかで、ここからの日本のサッカーも変わってくる」と三笘薫。「あと1勝で、また日本の歴史を塗り替えられるところまで来ている。いい準備をして臨みたい。落ち着いて、冷静に、日本の力を出すのが一番だと思います」と久保建英。そして自身3度目となるベスト16の戦い臨むことになる長友佑都は「2回、本当に悔しい思いをしているので、みんなで、この最高のチームで、新しい景色を見るために頑張りたい」と叫ぶ。ドーハで2度のジャイアントキリングを成し遂げた日本。興奮は続き、期待は高まる。日本代表が新たな歴史に臨む“世紀の一戦”は、日本時間12月6日午前0時にキックオフされる。(文・三和直樹)


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  • みんなモドリッチに気を付けろと言うけど、セリエA視聴者はほとんどブロゾビッチを怖がる。ミラノダービーでもブロゾビッチのマンマークは義務
    • イイネ!3
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