インスタで人気の「日本一美しい廃線跡」ってどこ? 幻想的な光景が映える…線路をまたぐ木々、青々とした竹林

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2022年12月03日 11:30  まいどなニュース

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「日本一美しい廃線跡」として人気の旧国鉄倉吉線=倉吉市関金町泰久寺

 鳥取県倉吉市にある旧国鉄倉吉線の廃線跡が「日本一美しい廃線跡」として人気のスポットになっている。テレビで紹介されたことを機に、幅広い地域から人が訪れるようになった。市も試験的に駐車場や観光案内所を設置して、全国区の観光地にしようと取り組む。現地を訪ねた。

【写真】線路の両脇に竹が立ち並ぶ幻想的な景色

 倉吉線は一部区間で駅のホームや線路が残り、線路の上を歩くことができる。線路の両脇に背の高い竹林が立ち並ぶという幻想的な光景が、インスタグラムといった会員制交流サイトで「写真映えする」とたびたび話題になる。倉吉市商工観光課によると、倉吉観光MICE協会が4〜11月(7、8月を除く)に月1回程度開催する、廃線跡を歩くウオーキングオープンデーでは、毎回すぐに40人の定員が埋まる人気ぶりだという。

かつては通勤や通学、観光に利用

 市商工観光課によると倉吉線は1912年、現在のJR倉吉駅に当たる上井駅と、市街地の旧倉吉駅(のちの打吹駅)を結ぶ4・2キロの「倉吉軽便線」として開通した。路線の延長を重ね、最終的には山あいにある山守駅までの計9駅、約20キロになった。通勤、通学や関金温泉(倉吉市関金町)への観光に利用されたという。

 一時は岡山県まで延伸する計画があり、起工式も行われたが、バスや自家用車の普及により建設は進まなかった。残った本線も車社会の進展に伴って利用者が減り、81年には国鉄再建法に基づく「第一次特定地方交通線」となった。1日あたりの旅客、貨物の輸送密度が一定以下の路線を「バスによる輸送が適当」とするもので、これにより倉吉線の廃止が確定し、85年3月末をもって全区間の運行が廃止された。

 廃止後の跡地は鳥取県が買い取り、自動車道や自転車道、遊歩道として整備した。現在は道路以外に公園や倉吉線鉄道記念館(打吹駅跡地)といった施設になった。線路が現存する旧関金駅から旧山守駅間の一部区間には活用予定がなかったため、ほぼ当時のまま残っているという。

テレビ放送でツアー客倍増

 市商工観光課で、廃線跡がある関金地区を担当する新井表咾気鵝複械魁砲砲茲襪硲横娃娃掲、廃線跡を観光資源として活用する案が浮上した。県や市、地域住民が現地の倒木や除草作業をし、10月にウオーキングツアーを初めて開催した。初年度は計8回で301人が参加と、まずまずの人気で、その後も定期的に開いた。当時、一般客はほぼおらず、観光で訪れるのはツアー客がほとんどだったという。

 市や観光協会による定期的なイベント開催や広報の結果、徐々にツアー参加者が増えていったが、全国的に注目を浴びたのは19年11月。テレビ番組「世界の何だコレ!?ミステリー」で、初めて「日本一美しい廃線跡」として、倉吉線が紹介された。写真映えを求めて若者を中心に旧泰久寺駅跡や竹林に大勢の一般客が訪れるようになった。市はスマートフォンの位置情報を利用した「おでかけウォッチャー」による調査で観光客を推計しており、新井さんは「調査によると今年4月〜11月の来訪者数は約1万1千人。メディアの力はとても大きい」と喜んだ。

 一方で課題もあった。同様の調査で、廃線跡を訪れた人の約7割が、どこにも立ち寄らずに県外に出ていることが分かった。人は多く訪れるが、市内の振興にはあまりつながっていない状況だ。

 廃線跡から約10キロ離れた市中心部の観光エリアへの周遊を促すため、市は9月、廃線跡の線路近くに観光案内所を11月末までの週末限定で設置した。スタッフが常駐し、観光パンフレットや特産品を置くことで地元のPRを図った。

 案内所を設置した効果は早くも出ている。市の調査で、廃線跡を訪れた総数に対しての周辺の飲食店や観光地を巡った人の割合は、案内所開設前(4〜8月末)が28%だったのに対し、開設後(9月〜11月6日)は41%に上がった。新井さんは「観光協会や住民の皆さんと協力し、さらに多くの人が市内を周遊したくなるような仕掛けづくりをしていきたい」と意気込んだ。

廃線跡を実際に歩いてみると

 せっかくなので、廃線跡で線路が残る部分を散策してみた。

 線路の起点となる松河原集落から歩き始めると、枕木のない2本のレールがまっすぐ伸びている。枕木がないとはいえ、よく知る線路そのままの景色で、その中央を歩いていると思うと不思議な気持ちになった。

 その先にある旧泰久寺駅にはホームが現存し、駅銘板の複製品も残る。かすれた「たいきゅうじ」の文字に哀愁が漂い、鉄道愛好家から人気の地点だという。この辺りは線路に枕木も残り、より往時の姿を感じられるかもしれない。

 一番の人気スポットは旧泰久寺駅から約100メートル歩いた地点にある、竹林。高さ10メートル以上の孟宗竹が無数に生え、日差しを遮ることで、昼間でも薄暗い。レールの真ん中には2本の竹が根を張る。非現実的な情景に、まるで本や映画の世界に迷い込んだかのようだ。この光景がネット上で話題になり、多くの人が訪れるのも納得できる。

 さらに進むと、銅板で入り口が塞がれた大きな山守トンネル(全長107メートル)が姿を見せた。通常はツアー参加者だけが中に入れるが、新井さんの同行で特別に入らせてもらった。中は当然、真っ暗。明かりがなければ何も見えない。新井さんによると、トンネル内の気温は常に14〜16度で、夏は涼しく冬は生暖かい場所だという。快適ではあるが、真っ暗闇の中にいると、早く抜け出したいと思った。不思議な体験ができる場所だ。

 トンネルを抜けた地点で道は途切れ、ツアーコースは終了。かつては鉄道橋があったそうだが、現存しておらず、眼下には道路が伸びる。ただ、遠くには岡山県と鳥取県にまたがる蒜山を望む絶景が広がり、約1キロ歩いてきた疲れも吹っ飛んだ。

 旧国鉄倉吉線廃線跡は「日本一美しい」の名にたがわぬ、幻想的で心が休まる場所だった。ただ、倉吉市内には他にも国選定の重要伝統的建造物群保存地区の白壁土蔵群をはじめ、名物料理の餅しゃぶ、廃線跡沿いの関金温泉といったさまざまな見どころがある。廃線跡をきっかけに、市内の魅力に気付く人が一人でも多くなればうれしい。 

 廃線跡近くの駐車場は観光案内所に15台分、案内所から西に200メートル進んだ所に9台分がある。車で訪れる人は、案内所が11月末で閉鎖するため、9台分の駐車場の方に止める必要がある。

(まいどなニュース/山陰中央新報)

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