がんの要因は食事が3割!鍋の季節、アノ食材もあぶない? 赤身肉・加工肉にアルコール、専門医が口に「するもの/しないもの」

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2022年12月03日 21:00  週刊女性PRIME

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※写真はイメージです

 食品が原因で「がん体質」になってしまうことがある。予防のためにもがん細胞が好む食品を知り、食べる量を減らすことが大事だ。有効率6割強の、がんの食事療法を長年提唱している専門医が解説。

がんの要因の3割は食事だった

 現在、日本人の2人に1人がなる「がん」。その発生に、毎日の食事習慣が深く関わっていることをご存じだろうか。

「“がん細胞の好む魔の食品”をとり続けていれば、がんになるリスクが高まります」と話すのは、がん患者の診察と食事療法に定評のある消化器外科が専門の済陽高穂(わたようたかほ)先生。

 がんになりやすい体質の人やがんを再発しやすい人は、遺伝的な要素もあるが、毎日の食事習慣が、がんの発症原因の3割を占めるという研究(※1)が1996年に発表された。

 欧米では医科栄養学に基づき、ここ20年ほど食事を重視するがん対策がとられるようになった。その結果、1971年以降アメリカ人のがん死亡率は低下している。(※2)

「家庭での食事習慣は親から子へ伝わることが多いため、がん家系の人はがんになりやすい食事をしている可能性があります。家族や自分がよく食べる食品の中には“がん細胞の好む魔の食品”があるかもしれません。その食品を知り、食べる量を減らすだけで、がん予防になります」(済陽先生、以下同)

赤身肉や加工肉、アルコールに注意する

 済陽先生が患者に指導し、自身も避ける「がんが好む食品」として代表的なものを14点ご紹介する。

まずは豚や牛、羊などの赤身肉。これらの動物性食品の摂取が多いと大腸がんや乳がん、前立腺がんのリスクが高くなります。さらに赤身肉は鉄分が多くて酸化しやすい。活性酸素も発がんの要因になるので、がん患者はとらないほうがいいです」

 赤身肉を避ける理由は大きく2つ。人間は食品からタンパク質を摂取すると、肝臓でアミノ酸に分解し、必要なタンパク質に作り替える。しかし、赤身肉の動物性タンパク質は分解しにくいため、多食すると代謝に負担がかかり、がんのリスクが増大する。

「牛の赤身肉を毎日食べる人は月1回程度しか食べない人と比べ、がんになる危険度が約2・5倍高まるという報告もあります。鶏肉に替えたり、食べる頻度を減らしてみてはいかがでしょうか」

 また、四足歩行動物の動物性脂肪(飽和脂肪酸)のとりすぎも、血液中にLDLコレステロールを増やし、がんのリスクを高める要因になる。

「このLDLコレステロールが酸化すると、毒性をもって動脈硬化を進める『酸化LDL』に変わるのですが、免疫細胞の『マクロファージ』にはこの酸化LDLを処理しようとする性質があります。飽和脂肪酸をとりすぎると、身体を守る免疫細胞が酸化LDLの処理に過度に使われ、がん細胞が発生しやすくなるのです」

 ほかにアルコールも魔の食品。飲酒量が多い人ほど食道がん、肝臓がん、咽頭がん、大腸がん、乳がんなどのリスクが高くなる。ビール1杯で顔が赤くなる人は要注意。

「少量のお酒で顔が赤くなる体質の人は、酒量を多く飲めても、肝臓の代謝が悪く解毒力が弱まっています。解毒ができないと、毒素が代謝されないので、がんになるリスクは高くなります」

塩分の多い食事ががんの引き金に

 済陽先生が特に日本人に気をつけてほしいと語るのが、塩分のとりすぎだ。

高塩分の食事は、胃がんを引き起こします。塩分を過剰に摂取すると、胃の粘膜が荒れます。そこに胃がんの原因となるピロリ菌が増殖して、胃がんのリスクが高まるのです。日本人の塩分摂取量は1日平均9〜10gと、海外と比べても多い。できれば1日の摂取量が6g前後になるよう、減塩を心がけてほしいですね」

 また、過剰な塩分摂取は細胞のミネラルバランスを崩してしまう。塩の主要な成分であるナトリウムの濃度が高まり、バランスが崩れると細胞の代謝の異常が起きやすくなり、すべてのがんのリスクが高まることがわかっている。

 ハムやソーセージ、ベーコンなどの加工肉は豚などの赤身肉が原料。さらにがんのリスクを高める塩分や食品添加物を多く含むので、ダブルで避けるべきと済陽先生は話す。

 食事の塩分は、気をつけないでいると、知らず知らずのうちに摂取量が増えてしまう。例えば外食や惣菜、弁当は塩分が多いので、できるだけ減らす。

「市販のカレールーやドレッシング、冬場の鍋物によく使われるポン酢も実は塩分が多いので、食品表示を確認し、とる量を配慮するようにしてください」

がんになりやすい食生活が蔓延

 日本で近年、欧米型のがんである大腸がんや乳がん、前立腺がんなどが増えている背景には、肉類や油脂を多く含む欧米型の食事があると、済陽先生は警告する。

血糖値を急上昇させる白砂糖は、がんのリスクを高めます。白米や精製された小麦で作られたパンなどは栄養的には問題ないのですが、酵素が除かれていて代謝しにくい。それぞれ黒砂糖やきび糖、玄米、全粒粉のパンに置きかえるのが望ましいです」

 油脂は酸化しにくいものを選ぼう。マーガリンに含まれるトランス脂肪酸は前出のLDLコレステロールを増やし、免疫力を低下させる。

「私の食事指導では、限りなく無塩に近づけること、動物性タンパク質を避ける、新鮮な野菜と果物をたっぷりとることを原則にしています。加工食品は塩分が多いので避けてほしいですね

 がんを発症すると、病院での治療の要(かなめ)は「手術、薬物療法、放射線療法」の3大療法になる。これらの治療に加えて、健康食品やサプリメントを利用する人もいるようだが、効果があると科学的に実証されたものはまだない。

「普段の食事内容を変えることで、がんを抑制したり予防したりすることが可能です」

 済陽先生は長年、がんの治療と並行して、患者に食事対策を指導してきた。

「がんの治療と同時に食事対策を行うことで、ステージ3〜4の進行がんや再発がんを消失させることができると考えています。治療実績をまとめたところ、有効率は68%。この食事対策は、がんの予防にも役に立ちます」

 代謝を整え、体内の免疫力の底上げをすることが食事療法の目的だと話す。

「闘病中の方は半年から1年、食事療法を徹底して実践すると体質改善がかなり進み、体調も好転します」

がん体質を改善する5つの抗がん食とは

「今日の食生活を振り返ってみてください。肉食が多く、野菜が少ない人は、身体が“がん体質”になっている可能性があります」

 野菜の摂取量が減ったことも、日本人の食事の大きな変化。かつてはアメリカ人と比べ、日本人は野菜を多く食べてきたが、1980年代から摂取量が減り、'90年代には逆転。1人あたりの摂取量はアメリカ人のほうが多くなっている。(※3)

「日米のがんの死亡率の推移を見ると、最初はアメリカ人より死亡率が低かったものの、'90年代に逆転し、今では日本人の死亡率のほうが高い。(※4)がん予防のためには野菜の摂取が大切であることを示しています。抗酸化物質やカリウムなどを補給するためにも新鮮な野菜と果物はたっぷりとりましょう」

 大量に食べるのは大変なので、野菜ジュースを毎日作って飲むことを推奨している。

 そのほかに済陽先生が食べている「抗がん食」を教えてもらった。

「白米を食べている人はまず週1〜2回、玄米か胚芽米などにかえてみましょう。ビタミンや食物繊維、身体の代謝を整える成分が豊富な豆類や豆腐や納豆などの大豆加工食品、いも類を積極的にとること。大豆に含まれるイソフラボンにはがんを抑制する作用もあります」

 免疫力をアップさせる海藻やきのこも毎日とりたい食材。

「ヨーグルトはがん予防のためなら1日300gを目安に。砂糖が入っていないプレーンヨーグルトを選んで」

 細胞のエネルギー産生に必要なクエン酸や抗酸化物質が豊富なレモンは、1日2個を目安に。はちみつはビタミンやミネラル、免疫増強に役立つ花粉を含むので大さじ2杯を取り入れたい。

「調理には酸化しにくいオリーブ油、ごま油、なたね油などを少量使うようにしましょう。揚げものが好きな人は月1〜2回など、食べる回数に制限をかけて」

 肉を食べすぎたり、お酒を飲んだ翌日は食事をリセット。

「『あきらめずに長く続ける』とがんが予防でき、再発も防げます」

※1 NCI(米国国立がん研究所)報告 ※2 ACS(米国がん協会)2021報告

※3 FAOSTAT資料より ※4 前出ACS報告と厚生労働省「人口動態統計」を比較

がんが好む食品

 四足歩行動物の肉はがんのリスクを高める
 ●赤身肉&加工肉

 発がんを促す動物性タンパク質を含む、牛や豚、羊などの赤身肉や、それらの肉を使用したハムやソーセージなどの加工肉は控える。また、飽和脂肪酸の多い動物性脂肪をとりすぎれば、がんに対する免疫力が低下する。主菜は基本魚か鶏肉に。とる場合は少なめを心がける。

・再発予防には週2〜3回程度に
 
・がん治療中は半年から1年間禁止

 適量以上の摂取でがんの発症率が上昇
 ●アルコール


 アルコールは少量なら血流を良くするが、飲みすぎればがんを増殖させる。特に、ウイスキーや焼酎を水で割らずに高い度数のまま飲むことで、消化器の粘膜が荒れる。そこから発がん物質が吸収されやすくなり、食道がんや口腔がんのリスクが高まるため、飲み方や飲む量に注意する。

・再発予防には禁酒が望ましい。飲む場合も1日にビール2缶まで

・がん治療中は半年から1年間は禁酒

 細胞の代謝が乱れ老化やがん化を起こす
 ●塩分を含むもの


 塩分を含む食品を過剰に摂取すると、塩分によって胃の粘膜が荒らされる。そこにピロリ菌が付着して増殖することで胃がんの原因になる。過剰な塩分は、身体の細胞のミネラルバランスを崩して代謝異常を引き起こし、さまざまながんの原因となる。塩分の摂取は極力減らす。

・再発予防にはできる限り摂取しない

・がん治療中は塩分の摂取は1日5g以内に

がんを引き寄せる避けたい食材

白砂糖

 ミネラルが取り除かれた白砂糖は、がん細胞の代謝を活発化させる。血糖値も上がり、糖尿病からがんになるおそれも。

白米、パン

 穀物の胚芽は、がんの抑制に効果的な栄養素を含むが、白米やパンはその胚芽が除かれ、抗がん作用が期待できない。

マーガリン、サラダ油

 マーガリンは、がんとの関係が疑われるトランス脂肪酸を含む。サラダ油などに含まれるリノール酸はがんを促進させる。

加工食品

 かまぼこやはんぺんなどの加工食品は塩分が多く、発がんリスクを高めたり、がんを進行させる可能性がある。

がんを予防&改善する5つの抗がん食

●胚芽が含まれている玄米全粒粉のパン、豆類、いも類

●腸内環境を整えて免疫力をアップさせるヨーグルト、海藻、きのこ類

●エネルギー源のクエン酸が豊富なレモンや滋養に富むはちみつ

●酸化しにくいオレイン酸が含まれるオリーブ油、ごま油、なたね油

自然水(ナチュラルミネラルウォーター)

 教えてくれたのは……済陽高穂先生 ●西台クリニック理事長。医学博士。東京女子医科大学消化器病センター、米国テキサス大学外科教室、都立大塚病院副院長などを経て現職。済陽式食事療法を確立。著書は『最新版ガンが消えていく希望の食事術』(青春文庫)など多数。

〈取材・文/松澤ゆかり〉

このニュースに関するつぶやき

  • 先生、オリーブ油は太るよ。ホンマ、気ぃつけんと�ŵ� 日本の食卓を汚したの誰だろう�ŵ�
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