実質1話3分⁉『僕とロボコ』TVアニメ放送直前記念! 大地丙太郎監督×宮崎周平先生対談「完全に騙されました(笑)」(宮崎)「申し訳ないです.....(笑)」(大地)【後編】

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2022年12月04日 17:21  週プレNEWS

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『僕とロボコ』のアニメ放送が決定! 各回放送時間はなんと3分⁉

12月4日(日)より、いよいよ放送開始となる期待のテレビアニメ『僕とロボコ』(テレビ東京系にて毎週日曜日・深夜0時30〜35分放送予定/原作:宮崎周平「週刊少年ジャンプ」連載)!

監督を務めるは、ギャグ作品といえばこの人として知られるアニメ業界の鬼才・大地丙太郎(あきたろう)氏。しかも、ロボコ役の声優はチョコレートプラネットの松尾駿氏!!

盤石と思われた本作のキャストスタッフ陣に立ちはだかるは、1話あたりの放送時間が実質3分問題! ウ●トラマンとかカップ●ードルなら、怪獣倒したりラーメンすすれる頃のお時間なのだが......。
(前編:「ロボコ役はチョコプラ松尾に! 『僕とロボコ』アニメ放送直前記念! ギャグアニメの鬼才・大地丙太郎監督×宮崎周平先生対談【前編】」も併せてお読みください)

***

●「3分ではロボコのよさが伝わらない説⁉」を検証

――実質1話3分ということに関して宮崎先生は実のところどうお思いでしょう?

宮崎 完全に騙されました(笑)。

大地 申し訳ないです......(笑)。

宮崎 漫画だと初回の第1話って34ページあるんですよ。これを3分でやるっていうのがそもそもどうやるのか全く想像がつかなくて。主題歌もないんですけど、それにしても本編だけでせめて5分以上は持つボリュームはあると思ってたんですが......(笑)。

大地 実際3分で収めるというのは風のようといいますか、勢いが大事になりますよね。以前やらせてもらった『ギャグマンガ日和』でも、実質本編は1話4分ちょっとくらいなので、僕の中でも今までで一番短いんですよ。そうなると"間"がどれくらい表現できるか、というのが僕の中では最初は一番心配してたところでした。その時間内だと原作のシーンをそのまま全部入れるのは難しいので、まず半分くらい落とすことになるんです。

『ギャグマンガ日和』の時は、まず声優さんに多めにセリフを録ってもらって、そこから切り落とすというやり方をしてたものですから、あとから声優さんに「あの演技すっごい頑張ったのに使ってませんでしたよね?」ってよく言われて、こっちも気まずい思いしてたんですよ(笑)。だから今回はその反省を活かして、まず自分で仮のセリフを入れながら3分で収まるVコンテ(※仮映像に仮の声をあてて製作する作業確認用サンプル動画)を作るっていう方式に変えたんです。そうしたら、使わないセリフを声優さんに録ってもらう必要もなくなるので。

――大地さんが自ら声を?

大地 はい、Vコンテでは入れてますね。間もしっかり考えて。もちろん仮ですけど。

宮崎 いや、でも私が最初にチェックさせていただくのはその大地さんの声が入ったVコンテなんですけど、それがめちゃくちゃ面白いんですよ。上手くて(笑)。

大地 やってるとなんか楽しくなっちゃうんですよね(笑)。ロボコのセリフも楽しいんですけど、そこにボンドでツッコミ入れるのが個人的には本当に楽しくて仕方ないですね。それで気合い入っちゃって。あれ家でやってるんですけど、隣からそのうち苦情が来るんじゃないかってほどについ大声で、終わったらグッタリするくらい。

宮崎 その出来が本当に素晴らしくて、それを見て納得したんですよ。このテンポ感なら3分でいいなって。

大地 最初はみんなが安心できるように作ってたんですけど、だんだん自分で演じるのが楽しくなってきて、今となってはVコンテを作る目的が僕の中ではちょっと変わってきてるところはありますね(笑)。

宮崎 めっちゃノリノリで。私としては1話くらい、あの全キャラ監督の声のままで視聴者に見てもらいたいと思うくらいには面白い。

大地 いやいやいや。あんなに一生懸命やる必要もないんですけど、でもあれを自分でやるようになってからは、作品がもっと深いところまでわかるようになった気はしてますね。ネームのひとつひとつにこういう意味があったんだって、気づくことが多い。だからこそ、3分という尺に合わせて原作を切り落としていく際には、まさに断腸の思いで切っていくことになるんですけどね。あれが入ってたらもっと面白いのにな〜、と思いながら切ったところがたくさんあります。

宮崎 でも、あれは声優さんもわかりやすくていいと思います。大地監督がどういうことをやってほしいかが丸見えなので(笑)。

大地 確かに方向性は理解してもらいやすくなりましたね。僕はアフレコ現場ではほぼ何も言わずに、音響監督の指示だけで今は全部作業は済んじゃう感じです。それを持ち帰って、監督として後で僕が編集するわけですけど、毎回いただいたセリフはほぼ完璧に一発であげてもらえてますから、声優さんも本当に素晴らしい仕事をしてくれてます。

宮崎 漫画として描く時のギャグシーンでも、ちょっとしたボケとツッコミのコマのズレで、笑えるはずのシーンが全く笑えなくなることってよくあるんです。でも、この3分に凝縮されたアニメかつ大地さんが監督だと、そこを徹底的に突き詰めて作ってくれてるのがよくわかるので、今じゃ、むしろ3分でよかったんじゃないかと。これが適正なんじゃないかと思ってるくらい、間に関しては完璧にやっていただけていると思ってます。

大地 だって、そこがギャグやってる醍醐味だし、守らなくちゃいけないところじゃないですか。僕自身、お笑い番組が好きでよく見るんですけど、それぞれの芸人さんごとの"間"っていうのは、どうしても研究する感じで見ちゃいます。ケンコバさんなんてものすごく上手いので、もしかしたら『僕とロボコ』やってたら直接お話できる機会もあるんじゃないかって、ちょっとだけそんな期待もしてますね(笑)。

●完全にIKKOさんじゃなくて、ロボコのキャラをしっかり意識したIKKOさんになってたんですよ(大地)

――お笑い芸人という話でいうと、ロボコ役がチョコレートプラネットの松尾さんというのも驚きました。

大地 最初、ロボコの声は女性かなと思ってたんですけど、あの配役は宮崎先生からのご推薦もあったんでしたっけ?

宮崎 微妙にあったかもですね(笑)。私は男女両方のパターンありかなと思ってて、候補にも男女両方の声優さんがいらっしゃったので聞き比べさせてもらったんですが、最終的にはやっぱり男性のほうがロボコっぽいかなという印象に落ち着きました。チョコプラの松尾さん関しては、とある企画でお会いさせてもらった時に「ロボコがアニメになったら声やります!」って言ってくださったことがあって。それを私と担当編集が真に受けて「じゃあ本当に候補に入ってもらおうか?」ってところから始まったんです。そしたら本当に決まっちゃって......(笑)。

大地 でも、それは結果的に最高の形でうまくハマってくれたなと、今となっては私も感謝してますね。もちろん他の候補の方もそれぞれ良さがあったんですけど、話題性とかそういうことじゃなく、純粋に声質として松尾さんがいいということになったので。ただ、めちゃくちゃスケジュール的にもお忙しい方なので、そこが合うかなぁという懸念があったんですが、なんとかそこもクリアできました。

宮崎 私としてもお願いした手前、ホッとしたところもありました(笑)。

大地 でも正直、松尾さんの名前見た時からこれ決まりじゃないかっていう予感は、僕の中で多少はあったんですよ。だって松尾さんの声、かわいいじゃないですか(笑)。

宮崎 松尾さんがモノマネでキャラを演じてる時の高い声のイメージはあったんですけど、それがうまくハマってくれましたよね。

大地 実際オーディションでスタジオに来てもらった時に、「かわいい〜!」ってセリフを何パターンか言ってもらうというのがあって、その中でただのファンとしてのお願いで「試しにIKKOさんっぽい感じでやってみてもらえませんか?」ってお願いしたんです。でもそうしたら、完全にIKKOさんじゃなくて、ロボコのキャラをしっかり意識したIKKOさんになってたんですよ。それがものすごく良くて。

例のVコンテを録る際も、妙に松尾さん意識して自分でも声入れるようになりましたし(笑)。それを松尾さんに見てもらって実際のアフレコでやってもらうと、僕の想像をさらに超えた感じでやってくれるから、あの人は本当にスゴいですよ。今も収録のたびに思わされますね。

――ちなみにロボコ以外のキャラクターで、アニメにして楽しいキャラクターをあえてひとり挙げていただくとすれば?

大地 芹澤......かな。

宮崎 芹澤ですか!?(笑)

大地 あのキャラクター、先生思い入れありますよね?

宮崎 そうですね。『僕とロボコ』の連載が始まる前は、漫画を描いてはボツになってた時代がありまして、その頃にたくさんキャラクターだけはできましたんで、芹澤もそうだし、2年目編集者の人とか、そもそもロボコ自体がそういうキャラでしたから。

大地 元は、珍子ちゃんですね。

宮崎 思い入れはそれぞれありますね。アニメでも芹澤の出てくる回、めちゃくちゃ面白かったです。

大地 ああ、それはよかったです。あれは結構上手い感じに3分に収まったなという感じが僕の中でもあったので、安心しました。

宮崎 脇のキャラを大地さんがどう処理してくれるかも、毎回チェックの時に楽しみにしてるんです。

大地 Dr.モッコスの回もいいですよ!

宮崎 いいですか!?

大地 敵のいろんなロボがどんどん出てくるじゃないですか。あれを作画のスタッフがものすごく楽しんで描いてるので......。

宮崎 それはまだ見てないので楽しみにしてます!

大地 あとキャラクターの話で大事なのが、弱体化したロボコ。

――ロボコが本当にちゃんとかわいいビジュアルの女の子になっちゃう話ですね。

大地 まずこの声優さんをどうしようかというところから始まったんですよ。最終的には別の女性の声優さんになったんですけど、僕としては松尾さんが良すぎたので、これも松尾さんにやってみてもらうのはどうかなぁとも半分思ってたんです。あんまり普通のことやりたくなかったので。でもスタッフが上げてきた作画見たら、めちゃくちゃかわいかったんですよね。それで僕もすぐに心を入れ替えまして「すみませんでした。すぐ女性の声優さんにオファー出してきてください」って周りに謝りました(笑)。

宮崎 まあ、そうなりますよね(笑)。

大地 でも、その女性の声優さんも僕の中ではかなりこだわって選ばせてもらったので、これもアニメでどうなってるか楽しみにしてもらいたいですね。

●むしろ、原作ガン無視してオリジナル脚本の回を作っていただけるくらいの方が嬉しいかなって(宮崎)

――ちなみに、今のところ何話までというのは決まってらっしゃるんですか?

大地 今のところは28話ということで聞いてますね。その後は、目指せ劇場版ということで。

宮崎 いうことで!(笑)

――しかしそうなると『僕とロボコ』は一話完結のエピソードが多いですから、どの話がアニメになってるかというのも気になりますね。

大地 僕としてはそこの選定には口を出さず、シリーズ構成のスタッフにお任せしました。彼らが面白いと思った話をまとめるのが僕の仕事だと思って。

宮崎 キャラごとの大事な話はしっかりポイントを押さえて選んでもらってますし、偏らずにまんべんなく『僕とロボコ』という作品がわかる形に配慮いただけていると思います。そこも楽しみにしながら見てもらえれれば、私も嬉しいです!

――では、最後のテーマになりますが、大地監督、宮崎先生が、それぞれに今後期待されることがあるとすれば、どんなことでしょう?

大地 そうですね。TVアニメを任された身としてはこの先、「こんなのアニメにできねえだろ!」みたいな僕らへの挑発的な原作を描いていただけると燃えますね。

宮崎 いや、でもあんまり私そういうのないですよ。どちらかといえば大地監督の感性で自由にやっていただいて、平和にイチ視聴者として楽しくアニメ見たいなぁくらいの感じですので。ですから、あえて要望があるとしたら、むしろ、原作ガン無視してオリジナル脚本の回を作っていただけるくらいの方が嬉しいかなって。

大地 それが最大の無茶ぶりでしょ。一番困ります!(笑)

宮崎 でも本当にそういう回も見てみたくなるくらい、今チェックさせていただいてる分だけでも私自身、仕事を忘れて楽しく見られるアニメを自由に作っていただけてると思います。普段『僕とロボコ』をよく読んで話を知ってくれてるという人でも、新鮮な気持ちで見られる驚きを大地監督は必ず毎回入れてくれてますので、楽しみにしてもらえると嬉しいです!

大地丙太郎(AKITAROH DAICHI)
1956年、群馬県生まれ。数々のアニメ作品で撮影、演出等の担当として活躍後、95年にテレビアニメ『ナースエンジェルりりかSOS』で監督デビュー。以降『こどものおもちゃ』(96年)、『セクシーコマンドー外伝 すごいよ!!マサルさん』(98年)、『おじゃる丸』(98年)、『増田こうすけ劇場 ギャグマンガ日和』(2005年)、『とんかつDJアゲ太郎』(16年)など、日本におけるギャグアニメ作品監督としての第一人者に。最新監督作はもちろん『僕とロボコ』。公式Twitter(@akitaroh_le)

●宮崎周平(SHUHEI MIYAZAKI)
2012年下期の第77回赤塚賞にて『むこうみず君』で佳作受賞。同作を翌13年『週刊少年ジャンプ』11号にて掲載、漫画家としてデビューを果たす。その後、本誌および増刊『ジャンプGIGA』にて多数の読切作品掲載を経て、19年には人気作『約束のネバーランド』のギャグスピンオフ『お約束のネバーランド』を連載開始。そして翌20年『週刊少年ジャンプ」念願の連載作『僕とロボコ』をスタートさせ、現在も好評連載中。公式Twitter(@roboco_hizanapa)

取材・文/山下貴弘 撮影/鈴木大喜 ©宮崎周平/集英社・僕とロボコ製作委員会

『僕とロボコ』TVアニメ放送記念で監督・大地丙太郎と作者・宮崎周平が対談

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