骨の変形や痛みが生じるくる病・骨軟化症患者の悩みに医師が回答

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2022年12月07日 15:00  QLife(キューライフ)

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骨の変形や痛みなどがあらわれるくる病・骨軟化症

 骨は毎日少しずつ生まれ変わっています。新しい骨がつくられるとき、骨を丈夫にするために、カルシウムとリンによる石灰化が行われます。しかし、この石灰化が妨げられ(石灰化障害)、骨の形成がうまくいかず変型や痛みなどが生じる病気が「くる病」「骨軟化症」です。発症時期が子どものときはくる病、大人になってからの場合は骨軟化症と呼びます。

 くる病・骨軟化症の病因は多岐にわたりますが、中でも遺伝性疾患であるX染色体連鎖性低リン血症性くる病・骨軟化症(XLH)について、2022年10月23にSTEPコミュニティと製薬会社の協和キリン株式会社の共催でオンラインの市民公開講座が開かれました。

くる病・骨軟化症の症状と治療目標

 市民公開講座では、くる病の専門家として大阪大学小児科医の大薗恵一先生、骨軟化症の専門家として大阪公立大学代謝内分泌病態内科学の今西康雄先生が登壇。くる病・骨軟化症が発症するメカニズムや治療法などについて解説しました。

 小児期の低リン血症性くる病の主な症状はO脚やX脚などの骨変型、低身長(成長障害)、骨痛・関節痛などです。成人期の低リン血症性骨軟化症では、骨折がなかなか治らない、難聴なども生じます。

 小児では骨変型の改善・成人身長の改善が治療目標となり、主に経口リン酸製剤による薬物治療が行われています。成人期では疼痛緩和や骨軟化症の改善・骨折の治癒や手術後の回復が治療目標となり、活性化型ビタミンD製剤による薬物治療が行われています。

患者さんの悩みに専門医が回答

 市民公開講座では大薗先生と今西先生が患者さんからの質問に直接答える対話コーナーも実施されました。

 小児期にXLHと診断されたものの通院をやめてしまっていた患者さんからは「成人期の治療を再開する際の適切な診療科」について質問がありました。これに対し今西先生は「小児期に診断を受けた病院で紹介状を書いてもらうことが非常に重要」と回答。というのも、日本では小児医療から成人医療へのスムーズな移行に課題があり、地域によってどの診療科で診断できるのかがまちまちであるだけでなく、紹介状がないと情報共有がうまくいかないこともあると指摘しました。

 通院を嫌がる子どもへのアドバイスを求められた大薗先生は、思春期は特に急に身長が伸びたりして投薬量の調整が必要になるため慎重に治療を進めたいとしつつも、「持続性を考えて100%を求めすぎないことも重要」と、子どもの感情に合わせて柔軟に対応してほしいと話しました。

 将来家庭を持ちたいと考えているが子どもに遺伝するのではないかと不安という相談について、大薗先生は「遺伝カウンセリングを受けるのがベストだが、簡単にアクセスできない場合はまずは主治医に相談してほしい」と回答。加えて、正確な知識を学ぶ必要性を強調しました。今西先生は治療法が日進月歩で進化していることを踏まえ、「将来的には、XLHの患者さんも、普通の方よりは定期的に病院に通わなければいけないが日常生活は同じようにできる状態にするのが医療者としての目標。患者さんも前向きに自分の生活を組み立ててほしい」と話しました。

 くる病・骨軟化症についてもっと知りたい、悩みごと解決のヒントを得たいという方には協和キリンが運営するサイト「くるこつ広場」が参考になります。サイトでは疾患の解説や、患者さんの体験談、相談できる病院などがまとめられていますので、ご覧になってみてはいかがでしょうか。(QLife編集部)

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