平川亮、2023年は“欧州移住”で2カテゴリー参戦を継続「しっかり覚悟を決め」競争激化の年へ挑む

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2022年12月07日 16:21  AUTOSPORT web

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2022年のWEC王者となった平川亮
 2022年シーズンはWEC世界耐久選手権と全日本スーパーフォーミュラ選手権の2カテゴリーに参戦、WECではTOYOTA GAZOO Racingの8号車GR010ハイブリッドを駆り、最高峰カテゴリーへのデビューイヤーながら世界選手権王者となった平川亮。すでにトヨタから発表があったとおり、2023シーズンも同様の体制でふたつのカテゴリーへと参戦を継続する。

 2022年は日本をベースにWECのイベントへと赴いてきた平川だが、2023年からは欧州にベースを置くことになるという。飛躍の年となった2022年の振り返り、そして2023年シーズンへの展望を含め、スーパーフォーミュラの合同/ルーキーテストが行われている鈴鹿サーキットで、平川に話を聞いた。

 なお、12月7日から2日間の日程で始まったスーパーフォーミュラのテストでは、平川は初日のみのドライブが予定されている。7日の夜には、FIAの表彰式が行われるイタリアへ向けて日本を発つからだ(WECのチーム代表兼ドライバーを務める小林可夢偉(KCMG)もSFのテストは初日のみ参加)。

 既報のとおり、今回のテストでTEAM IMPULは19号車にスーパーフォーミュラのeスポーツアンバサダーに就任したイゴール・フラガをエントリーさせており、テスト2日目は関口雄飛が20号車のステアリングを握ることとなっている。

 平川はランキング3位に終わった2022年のスーパーフォーミュラについて「予選が悪かったというのは明らか。そこが敗因であることは間違いないです」と振り返る。今回のテストでも、パフォーマンス向上に向けた“ネタ”をいくつか試してるようだ(取材は初日セッション1後に実施)。

「来年、クルマ(エアロパッケージ)とタイヤが変わることを考慮しなければいけませんが、基本的に足回りなどクルマの中味が変わるわけではないので、そこに関してはスキャニングというか『モノを変えてみてどうなるか』というのをいろいろと組み合わせてやっています」

「今日も悪くなかったですし、なんとなく分かってきた雰囲気もあるので、そのあたりをしっかりと来年に反映させないといけませんね」

 また自身についても、2022年はWECとスーパーフォーミュラの両立、とりわけ一方から他方への“乗り換え”において、若干リズムが崩れる部分はあったようで、この部分も今後への課題として認識しているという。

「いまのハイパーカーはLMP1時代とは違い、クルマも(規定で)重いし、コーナリング速度もそんなに高くありません。機構的にも複雑で、(フォーミュラとは)かけ離れてしまっている部分もあるので、結構そこは苦労しました」と平川は明かした。

「どちらへの乗り換えにも、乗る前にいろいろと頭のなかを整理しないと、対応に時間がかかってしまうという感じはありましたね」

 シーズン途中からはWECのマシンにも慣れたことで「自信もついてきて、余裕もできたので、ちょっと合わせやすくなったかなというのもあると思います」と平川は言うが、やはりまったく性格の異なるふたつのカテゴリー間の“行き来”は、トップドライバーをもってしても簡単ではないようだ。

「今年のWECでは自分自身余裕がなく、どちらかというと不安しかなくて、すごいプレッシャーもありました。ただ、そのなかでも結果を出したので、(2023年は)向こうでも自信を持ってやれればいいと思います」

「やっぱりWECばかり乗っていると、僕の場合は『レース走り』(決勝を重視した走り)になるので、切り替えないといけません。今日は、スーパーフォーミュラでもそこの“殻”を破ろうと頑張り、いい感じにできたと思います。(セッション1では)ニュータイヤは履けませんでしたが、中古(タイヤ)のなかでは常に上位にいられたのですごく良かったし、そこを極めていきたいと思います」

■ベースはモナコへ移すも「あまり変わらない」と平川
 いま平川が見据えるのは、WECのハイパーカークラスにフェラーリ、ポルシェ、キャデラックらが新たに参戦を開始してくる2023シーズンだ。この競争の激化に向け、平川も環境を変える。自身のベースをモナコへと移し、WECで世界を転戦する合間に「日本に出向いて」スーパーフォーミュラに参戦する形をとることになる。

 これについて本人は、「でも、あまり変わらないと思います。どちらをベースにするか、というだけなので」と平然と語る。WECのスケジュールがヨーロッパで1戦増えるという変化はあるが、平川の参戦する両シリーズに日程の重複はないため、移動の回数や距離などは、たしかに2022年とそれほど変わらないのかもしれない。

 だが、ヨーロッパをベースに“生活”することで、よりWECや欧州のレース・環境に馴染むことができ、それによってさらなる“余裕”が生まれる可能性については、平川も否定はしない。

「そうですね、やっぱりいろいろとまだヨーロッパに慣れていない部分があるのは間違いないないので、そこに溶け込むという意味でも、(欧州に)いなければいけないと思います」

「来年からは戦いも厳しくなりますし、しっかりと覚悟を決めるという意味でも、そうすることにしました」

 FIAの表彰式のあとは、1カ月ほど充電期間を置く予定だという。「ゆっくりしている方が、そわそわしてしまいそうですが(笑)」と多忙な一年を過ごしてきた平川は言うが、そのオフの終わりとともに、ヨーロッパでの新生活がスタートすることになりそうだ。

 参戦カテゴリーは不変ながら、環境を変えることがどう結果となって表れるのか。2023年の“新生・平川亮”に注目したい。

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