どれだけ知ってる? 教習所で教わらないバイクTips 第1回 必ず左足をつく方法や、右手操作が大事な理由

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2022年12月08日 15:02  マイナビニュース

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何年もバイクに乗っている人は身体に染みついていますが、免許を取ったばかりのビギナーや、中高年のリターンライダーにしてみると、バイクの操作に疑問が生ずることもあるはずです。



教習所で教わったけれど理屈がわからない、忘れてしまった……、そもそも教わってもいないかも? 今回はそんなちょっとしたテクニックなどを紹介します。

■停止直前に左足がつけない……その理由は?



教習所では左足をついて停止するように指導されますが、その理由は最後までしっかりリアブレーキを使うためです。



しかし、公道で自分のバイクになれてくると、ついつい右足をついてしまうこともありますね。その原因は、路面の凹みや微妙なカーブでのふらつき、ギアダウンの手間取りのほか、ブレーキペダルを踏む動作が右のステップに荷重してしまうなどが考えられます。



停止直前に右に傾いてしまうと、ブレーキペダルを踏んでいた右足をあわてて出すため、リアブレーキが抜けてしまいます。制動力を補うためにフロントブレーキを強く握ると、車体が前のめりになってバランスが崩れ、最悪の場合は転倒してしまうでしょう。


■停止時に必ず左足をつく方法



左足をつくには、まずはバランスを崩さないよう、ニーグリップ、つまり下半身でバイクとの一体感を強めます。ギアも丁寧に落としてエンジンブレーキを併用しますが、適切なギアが選べずにノッキングやエンストをするくらいなら、クラッチを切ったほうが安全です。



ブレーキペダルはステップごと踏むのではなく、支点にしたステップから離れないようにして、かかともほんの少し上がる動作を意識しながらジワリと踏み込みます。



停止する少し前から左足を出しておけば、左側に重心が移動します。真下に出すとステップやペダル、スタンドフックなどと路面の間に挟んでしまうので、それよりも少し斜め前に出し、停止時に支えやすい位置に足がくるようにします。



ブレーキは停止直前にフロントを緩め、リアを主体にして止まるように意識します。それでも右に傾きそうなら、停止直前に左のハンドルをスッと押してみてください。こうすると車体は左に倒れようとするはずです。


■立ちゴケの原因と対策



バイク乗りなら一度はやってしまう「立ちゴケ」。その理由は、足腰で支えられる限界以上に車体が倒れ込んでしまうからです。倒れ始めたら、浅い角度のうちに足で踏ん張ることが大事です。



初心者にありがちなのは、発進直後のエンストで車体がつんのめってしまったり、停止時のエンストやフロントブレーキによるサスペンションの伸縮でバランスを崩すことです。慣れるまで発進・停止の半クラッチやブレーキ操作を慎重に行えば、立ちゴケのリスクも減るはずです。



ほかにも立ちゴケをする原因は、足をついた場所がワダチで凹んでいたり、滑りやすい砂や落ち葉、サイドスタンドがきちんと出ていなかったなど、想定外のことがおきてしまうためです。足をついた時に太いジーンズやレインウエアの裾、靴紐などがステップやシフトペダルなどの突起物に引っかかることもあります。



現在のスポーツバイクはシートも高めで、一般的な体格の人でもつま先立ちになるモデルもありますが、膝が曲がるほど足つきが良くても油断は禁物です。ハーレーなどの大型アメリカンはシートも低いですが、250〜300kgオーバーの重量があるため、浅い角度でもかなりの重さで倒れ始めるからです。


■立ちゴケをしてしまったら



とっさの判断になりますが『もうダメだ! 』と思ったら、足を挟まないように抜きながら倒してしまった方がよいでしょう。縁石とバイクの間に挟んでしまうと骨折することもありますし、下敷きになって動けなくなると、後続車に轢かれるリスクもあるからです。バイクは修理すれば直りますが、身体はそうもいきません。



車体を引き起こす際は、まずは周囲の安全を確認します。エンジンがかかっているとスロットルを捻って暴走する恐れもあるので、メインスイッチやキルスイッチで切っておきましょう。



次に、倒れた側に切ったハンドルやシート下の周辺をつかみ、膝をつくようにしゃがんで、腰で車体を押し上げるように下半身で引き上げます。その際、ギアを入れたりブレーキレバーを握ればタイヤが動かずにすみます。右側に倒した時は反動で反対側に倒さないよう、あらかじめサイドスタンドを出しておくとよいでしょう。



車体が起こせても、すぐにエンジンはかけてはいけません。スロットルやブレーキが壊れていたり、漏れたガソリンに引火する恐れがあるからです。クランクケースなどが割れていると、破片でエンジン内部を壊してしまうこともあります。まずは安全な場所まで押して移動させ、損傷のチェックをします。

■アクセル、ブレーキ、ウィンカーなど、どこだっけ?



バイク免許を取る前に自転車に乗っていた方の場合、同じ二輪車でも操作系の違いに戸惑ったのではないでしょうか。



自転車は両手でブレーキ、アクセルは両足のペダル、ギアはハンドル横のグリップでしたが、バイクは全然違います。そのほかにも、クラッチやウィンカーなどの操作も行わなければなりません。



バイクの操作で重要なのはスロットル(アクセル)と、制動で大きな役割をするフロントブレーキ。つまり、一番繊細なコントロールができる右手で行います。リアブレーキは右足なので、加減速の操作は右半身で行うというわけです。



対して、左側は手のクラッチと足のシフトペダルという変速操作ですが、重要な右手の操作を邪魔しないよう、多くのバイクは走行中に使用頻度の高いスイッチ類は左に集中させています。ウィンカーやライトのHIGH/LOW切替、ホーン、パッシング、最近流行りのモードセレクターも左ですね。右は始動時のみ使うセルやキルスイッチです。


■速度調整だけじゃない、アクセルとブレーキの役割



バイクにとってスロットルとフロントブレーキという加減速の操作は重要で、そのために一番繊細な右手で行うわけですが、このふたつはそれ以外にも大きな役割をもっています。



ご存じのように、バイクはクルマのようにハンドルを切れば曲がるものではなく、ライダーが下半身から荷重をして車体を傾かせることで曲がっていきますが、この時の車体の状態で旋回性に違いが出てきます。



これが大きく影響するのが、前後タイヤにかかる荷重やサスペンションの状態です。スロットルやフロントブレーキは加減速以外にもこれらをコントロールでき、ライダーが下半身から入力した荷重をより曲がるために効果的に使えるというわけです。


これを知っているライダーは、大きくて重いバイクでもタイトコーナーをヒラヒラと走らせ、疲れることもありません。無駄な力を入れず、下半身と右手だけで操っているからです。



それだけバイクは右手の操作が重要ということですが、もしも人類が左利きの方が多かった場合、これが逆転していたかもしれませんね。



津原リョウ 二輪・四輪、IT、家電などの商品企画や広告・デザイン全般に従事するクリエイター。エンジンOHからON/OFFサーキット走行、長距離キャンプツーリングまでバイク遊びは一通り経験し、1950年代のBMWから最新スポーツまで数多く試乗。印象的だったバイクは「MVアグスタ F4」と「Kawasaki KX500」。 この著者の記事一覧はこちら(津原リョウ)
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