会議当日。里見くんがカレンダーに書き込んでくれたnooz(オンライン会議システム)のURLをクリックすると、そこにいるのは里見くんと私だけ。里見くんは私の前に座っているのです。とんだ茶番です。里見くんが自分のミスに気づいたのは30分前だったようなのですが、会議がはじまってから私に報告してきました。
この会議はこれまでもよくやっていたアイデア出しのミーティング。「参加できる人だけお願いします」というものでした。連絡をしなければ「会議は中止になったのかな」と思われるだけで、メンバーからわざわざ「次の会議はいつ?」と言われる類のものではありません。とはいえ会議は会議。もっと重要な会議だったら大変なことになっていたことでしょう。
里見くんはとにかく「忘れん坊さん」だったのです。スケジュールの入力、会議室の予約、社内外への連絡。一度伝えたことを何度も聞いてきます。「え、これ前にも伝えたよね?」というたびに、「申し訳ございません」と丁重に真摯に謝ってくるのですが、なんら改善はされず。もはや私の顔を見るたびに反応する「申し訳ございません人形」のように思えてしまうのです。それに、私の確認ナシにはまったく動けません。責任をとりたくないのか保身的なのか……。
あるとき、お客さんが絡むので絶対にミスが許されない仕事をお願いしました。そこで私は、資料を重ねる順、使う封筒や糊付けの場所など、これでもかというくらい細かく手順を書いたものを渡しました。
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【第3話】へ続く。
原案・編集部 脚本・rollingdell 作画・りますけ 編集・荻野実紀子