
【動画】「時々、すごい寂しそうな顔するんだよね」想の悩みとは? 『silent』第10話予告編
■描かれた想の空白の8年間
想の“空白の8年間”が、繊細に描かれた第9話。家族といる時の想を見ていると、人っていろいろな顔を持つのだなと思わされる。紬や湊斗の前では、いつも落ち着いている想。その落ち着きが、なんだか寂しくなるほどに。
でも、母の律子(篠原涼子)の前では、当たり前だが“息子”としての顔をのぞかせる。聴力を失っていく葛藤をありのままさらけだし、「声、出てないよね? 何か言ってよ…」とすがっていたこともあった。その姿を見た時、安心した人も多いのではないだろうか。想にも、ちゃんと子どもに戻れる場所があるのだな…と。
しかし、優しくて繊細な想は、人の心の機敏をすぐに感じ取ってしまう。病状が進んでいくたびに、律子が悲しい顔をすること。「想」と呼びかける時、ちゃんと振り向くかな? と不安になっていることも。全部、全部分かってしまう。だから、実家から遠ざかったのだろう。誰にも悲しい思いをさせたくない、と高校時代の友人をシャットアウトしたのと同じように。
そんな彼の気持ちを変えたのは、紬であり湊斗だった。2人は、耳が聴こえなくなったことを知っても、まったく変わらずに接してくれた。まるで、8年のブランクなんてなかったかのように。やっぱり、学生時代の友人ってすごい。久しぶりに会っても、あっという間に10代の自分に戻ることができる。
想が、「なんで(耳が聴こえないことを)隠してたんだろう?」と不思議そうに言った時、よかった…と涙が出た。つらいことがあった時、誰かれかまわず相談できる人もいれば、言ったってどうにもならないと殻に閉じこもってしまう人もいる。第9話のサブタイトル「誰がどうやって力になってくれるの?」にもあるように、想は後者だ。でも、殻を破ってみたら、世界が広がって見えた。「どうせ聴こえないから」と捨てたCDも、紬がいれば、「あの歌詞いいよね」と言い合える魔法のアイテムに変わる。
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■紬との交際に踏み切らない理由は?
第9話では、想の病気“若年発症型両側性感音難聴”が、遺伝性のものであることが判明した。過去に、「ご親族に難聴の方って? 遺伝性の病気の可能性もあるので」と医師に聞かれた律子が、「聞いたことないです!」と慌てて否定していたのは、隠したいものがあるわけではなく、息子や娘の子どもたちにも遺伝することを恐れていたからかもしれない。
実際に、想の姉の華(石川恋)は、子どもをみごもった時、まっさきに“耳が聴こえなかったらどうしよう”と不安になっていた。「この子も同じだったら、どうすればいいの? 私のせいじゃん。私のせいで耳聴こえなかったら…」と。
そして、検査をして聴こえると分かってからも、想はずっと甥っ子の耳の様子を気にしていた。予告に、「若年発症型両側性感音難聴 遺伝」と検索する場面が映っていたということは、紬との将来を考える上でのかせになっているのかもしれない。SNS上では、「一緒にいて楽しいだけじゃなくて、その先の先を考えて怖くなっちゃうのかな」「想ってどこかで付き合うってことやその先にある結婚とかを諦めているのかな?」など紬と想が交際に踏み切らないわけを考察する声も多く上がっていた。
いよいよ、残り2話となってしまった『silent』。紬と想のハッピーエンドが見たいところではあるが、スピッツの「楓」のように、“君の声を抱いて歩いていく”お別れエンドになる可能性も出てきた。どのような形であれ、全員が少しでも前向きになるラストになってくれたらうれしい。