中学受験で「大手塾が合わない家庭」の特徴は3つ! 伸学会×6社の塾で働いた受験専門家がホンネ対談

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2022年12月09日 21:51  All About

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自由が丘・目黒・中野に3校舎をもつ中堅規模の塾、中学受験専門塾伸学会の菊池洋匡先生に「大手塾には合わないご家庭の特徴TOP3」を伺いました。
塾選びって難しいですよね。筆者は6社の塾で働いてきましたが、塾選びでは、塾とご家庭の相性がとても大事だと感じています。とりあえず有名な大手塾だったら大丈夫だろうと安易に選ぶと、大半の子はいわゆる「お客さん」状態になってしまいます。そして、そもそもどの大手塾にも合わない子もいるのです。

そこで、今回は自由が丘・目黒・中野に3校舎をもつ中堅規模の塾、中学受験専門塾伸学会の菊池洋匡先生に「大手塾には合わないご家庭の特徴」を伺いました。立地的に大手塾も多い場所ですから、大手塾を辞めて伸学会に入会される生徒さんも多いそうで、大手塾が合わなかったご家庭の特徴をよくご存じです。

特徴1:親が子どもの勉強をサポートしきれない

――大手塾から菊池先生の塾にきた子には、どんな特徴がありましたか?

菊池洋匡先生(以下、菊池):まずは「親が子どもの勉強をサポートしきれない」というパターンです。子どもはまだ未熟ですから、自分で自分の勉強を管理して進めていくのは難しいんですよね。例えばわからないところがあったときに、解説を読んで自分で解決できる子はほぼいません。たいてい、フリーズするか投げ出します。

だから、わからないことはサポートしてあげる必要がありますし、徐々に自分で解決できるようにするために、解説の読み方も教えてあげる必要があるでしょう。あとで振り返ることができるよう、授業中にノートに何を残しておくかも教えなければいけません。

もちろん、こうしたことは、大手塾でも多かれ少なかれ指導しているとは思いますけれどね。

――大手塾の中では、早稲アカがそのあたりのサポートは手厚いですね。また、希や駿台・浜のような関西系も手厚いです。日能研や四谷大塚は早稲アカよりはサポートが薄そうです。

SAPIXやGnobleは、「サポートしなくても自分でできる子か、親がサポートできる、または第二の個別塾や家庭教師を活用できるご家庭だけ入塾してください」というスタンスを感じます。

菊池:そうですよね。伸学会は自由が丘校・中野校だとSAPIXから、目黒校だとGnobleから転塾してくる子が多かったのですが、やはりサポートを必要とする子たちがそれを求めてという感じでした。早稲アカから来る子も一定数いて、それもさらなるサポートを求めてかと思います。

大人数のクラスでは、全体に向けて「こういうふうに勉強しようね」と話しても、全員に理解させることは難しいですよね。その点、小規模な塾なら、個別のフィードバックをしてあげられます。ノートをチェックしながら「ここは、もっとこうしたら良くなるよ!」と個別に見てあげられるので、成長が早まります。

――確かに、生徒数が多いとひとりにかけられる時間は少なくなってしまいますからね。

菊池:その他、スケジュール管理も大人のサポートが必要な部分です。子どもにスケジュール管理を自分でやらせようとしても、難しいですよね。

計画的に行動することができる子はほとんどいませんし、だいたいの子は宿題に着手するのはいつも期限ぎりぎり。終わればまだいい方で、終わらないこともしばしばです。もちろん間違えた問題を解き直す時間なんてありません。受験勉強を始めたての頃はみんなそんな状態です。

そこから徐々に、1週間のスケジュールを立てて早めに宿題を1周終わらせ、2周目の解き直しをできるように育てていくのです。このときに、自分でスケジュールを立てさせようとしてもめちゃくちゃなものができ上がるだけで機能しません。

だからといって、大人がスケジュールを立ててそれを子どもにやらせようとしても、その通りには動いてくれないんですよね。

――押しつけられたものには反抗する年頃ですからね。

菊池:そうなんです。だから、子どもが自分で計画を立てるのを大人は手伝い、うまくいかないときにはフィードバックを与えて計画を改善するのをまた手伝う。これをくり返さなければいけません。これは代わりに計画を立ててあげるよりも手間がかかり、負担になる作業です。

こうしたサポートは「先生」か「親」がやるしかありませんが、大手塾ではそうしたサポートは薄いところが多いため、親がやることを覚悟しておかなければいけません。

――先ほどのお話と同様に、個別対応は大手塾では限界があるということですよね。

菊池:そうですね。あとは、塾との相性もあります。早稲アカではサポートが手厚いというお話がありましたが、少し力押しなところがありますよね。早稲アカが合う子にとってはその情熱的な感じは「パワフル」に感じられて魅力だと思うんです。でも、子どもによっては、過度に暑苦しく感じられて、引いてしまう場合もありますよね。

そんなふうに、塾からのサポートがないとか、サポートがあってもわが子に合わない場合には親がサポートしないといけなくなるわけです。でもその場合、単に手間と時間を取られるだけでなく、サポート法を学ぶための時間が別に必要になります。場合によってはお金もかかります。

そうした子どもへのサポートの大変さをよくご存じないまま、とりあえず大手塾に行かせてみたとか、知ってはいたけれど予想以上に大変でサポートしきれなかったといった理由で、うまくいかずに塾を変えることになるご家庭は多いですね。

お子さんのサポートにどの程度リソースを割くことができるか、ご家庭の状況を確認したうえで、それに合った塾を選択することが大切です。

――大手塾だと程度の差はあれど親がサポートをしなければいけない部分が大きくて、それができないご家庭だと合わないということですね。

特徴2:子どもに受験勉強のモチベーションがない

――他にはどんなパターンが多いでしょうか?

菊池:子どもに受験勉強に対してのモチベーションがない場合ですね。「うちの子、やる気がないので何とかしてください」とお問い合わせをいただくことが多いです。

子どもが勉強自体を好きだとか、受験してこの学校に行きたいという気持ちが明確にある場合には問題ないんです。でも、そうした受験勉強そのものへのモチベーションがない場合には、別のモチベーションを与えてあげる必要があります。

そうしたときに、少人数で近い距離間で寄り添うことができるので、私たち中小塾の方がモチベーションを与えてあげやすいのかなと思います。「塾が楽しくなった」と言ってくれる子が多いです。

もちろん塾が好き=勉強が好きというわけではありません。ただ、勉強が好きになるその前の段階として、まずは塾という勉強する空間を好きになってもらうことはとても大事なことです。

どうしても親御さんは「勉強をすると将来役に立つ」というようなことを言って聞かせてモチベーションを高めようとしがちなんですけど、効果は薄いんですよね。たとえば子どもが放っておいても勝手にやる気を出す「ゲーム」ですが、遊ぶときに「将来役に立つか」なんて考えていませんよね。

――確かに、自分を振り返ってみても、むしろ役に立たないことや、やっちゃいけないと言われたことの方がやりたくなった気がします。

菊池:そうですよね。子どもにとって役に立つかどうかは、やる気への影響度がすごく薄いのです。一方、「誰かと一緒に遊ぶ」というのは子どもにとってやる気になる場合が多いです。

好きな友達と一緒に遊ぶのが好きで、遊びの中身はゲームでもスポーツでもいい、そんな子って多いですよね。そういう子たちにとって、塾が好き、塾の先生やクラスメイトが好きというのは、一緒に勉強したいというモチベーションにつながるんです。

大手塾でもトップレベルの子たちはクラスがほぼ固定で、クラスメイトも先生も変わらないですが、ボリュームゾーンにいる子たちはテストごとのほんの少しの偏差値の上下でクラスが変わってしまいますよね。

それがモチベーション的にプラスに働き、クラスアップを目指すぞ!となる子はそれで良いのですが、周囲との関係性が作れず、塾が居心地の良い環境になっていないという場合には、中小塾で先生や友達との関係性を作った方がモチベーションを上げられる可能性があります。

お子さん自身のモチベーションがしっかりしていない場合には、寄り添ってもらえる塾を選ぶ方がいいかもしれません。

――なるほど。先生や友達との関係性からモチベーションを作っていくことが必要な子にとっては、クラスのアップダウンが激しくない環境の方が良いというのはわかる気がします。

特徴3:塾の課題に処理力がついていけない

――他には、大手塾が合わない子の特徴はありますか?

菊池:塾の課題をこなせないケースですね。大手塾の学習ペースに子どもの処理力がついていけないというパターンです。

同じ量の宿題が出されたとしても、それをこなすのにかかる時間は一人ひとり違うんですよね。そして、塾のカリキュラムというのは、その塾の中の上位層にあわせて作られます。大手塾は合格実績を広告にして集客するビジネスモデルなので、合格実績を出してくれる成績上位層を引き上げるためのカリキュラムにせざるを得ません。

6年生で学習する内容を見ていると、「これ、中堅校を受験するのに必要?」という内容がけっこう入っています。そうした中で、必死に今塾で習ってる内容についていこうとするんだけど、力負けしてしまっていて、頑張っても勉強していることが理解できない、だから時間が人一倍かかる。それだけ時間をかけても定着している気がしない。

だからといって、基礎の復習をして立て直す余裕もない。そして、無力感・徒労感がつきまとい、限界を迎えてその塾をやめる……そんなケースが出てきます。

そうした子は、個別指導や、少人数でカリキュラムに柔軟性を持たせてくれる塾などで、その子にちょうどいい負荷の勉強をさせた方が成長できるんですよね。

――なるほど。5年生の学習内容がちゃんと定着させられれば中堅校は十分合格できるといいますもんね。

菊池:その通りです。目指しているゴールが最難関レベルというわけではない子が、大手塾の「華々しい合格実績狙い」のカリキュラムを無理にこなす必要はないですよね。

それにもし目指すのが最難関レベルであったとしても、キャパオーバーなのに無理やりついていこうとすると体と心が壊れてしまいます。まずはお子さんありきで、お子さんがこなせるギリギリの、ちょうどいい負荷はどのレベルなのかを考えてみてほしいですね。

塾から出される課題が全てこなせていないならその塾はやめましょうということではないですよ。ただ、基本的に塾の勉強は、授業で扱う内容も宿題も、過剰はあっても不足はないようになっています。だから、やるべきものを取捨選択して、過剰を削ってあげた方がいいでしょう。

こなせない量があまりにも多すぎるという場合には、ちょうどいい負荷を与えてくれる環境を探してみるといいかもしれませんね。

――やはり、しっかり消化して身になる学習を与えてあげることが大事ですよね。とても納得できるお話です。ありがとうございました。


ということで今回は菊池先生から、大手塾を辞めて伸学会に来た子たちの傾向を3パターン教えてもらいました。ひとくくりに大手塾といっても塾ごとに差がありますし、もっといえば校舎ごと、講師ごとにも差があります。それは、中小の塾でもいえることです。

ですから今回お話ししてもらったことが全ての中小塾にそのまま当てはまるというものではないですが、ひとつの視点として役に立てていただけるのではないでしょうか。これから塾を選ぼうという方も、すでに通っていてそのまま続けるか迷っている方も、参考にしてみてもらえたらと思います。

西村 創プロフィール

早稲田アカデミー、駿台、河合塾Wings等で、講師、講師指導、校長などを務め、受験指導の専門家に。歴史・公民・小論文等に関する書籍を11冊出版。メディア出演・YouTube等で、受験や時事問題に関する情報を精力的に発信している。
(文:西村 創(学習塾・個別指導塾ガイド))

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