太田光も注目の20歳、アンジェリーナ1/3の素顔 中1で父を亡くし不登校を経て発信者に

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2022年12月10日 11:30  AERA dot.

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アンジェリーナ1/3さん。ラジオで講談師・神田伯山さんの代打パーソナリティーを務めた際も各方面から称賛された(撮影/写真映像部・高橋奈緒)
「爆笑問題」の太田光さんが“これからのラジオをしょって立つと思う人物”として名を挙げたことでも話題になったアンジェリーナ1/3。突如現れた20歳のアーティストの素顔に迫る。


【写真】ロックバンド“Gacharic Spin”はこちら。*  * *


 2019年、高校2年生のときに6人組バンドGacharic Spinに加入。マイクパフォーマーとして活動する一方、情報番組「サンデージャポン」のゲストコメンテーター、ラジオパーソナリティなど活躍の場を広げているアンジェリーナ1/3。ユニークな芸名は、彼女自身が日本、フィリピン、スペインの3つのルーツを持っていることに由来する(父方は日本、母方はフィリピンとスペインをルーツに持つ)。


 東京の下町で生まれ育った彼女は、中学1年で父親を亡くし、不登校を経験。その後、奨学金を利用して芸術系の高校に進学、文化祭の弾き語りライブがGacharic Spinのリーダーの目に止まったことをきっかけに、高い演奏技術で知られるロックバンドに加入した。若くして様々な経験を重ねてきた彼女が、新世代の発信者として注目を集めている理由とは?


■中学時代は不登校の時期も


 Gacharic Spinのライブステージでは自由に動き回り、歌とシャウトで観客を魅了。パーソナリティをつとめる「A世代!ラジオ」(文化放送)では、元気いっぱいの語り口と等身大の思いを込めたメッセージで広い世代の支持を集めているアンジェリーナ1/3。「与えてもらったチャンスには全力で応えたい」と笑顔で話す姿はポジティブそのものだが、中学時代には周囲から心を閉ざし、学校に行けない日々が続いていたという。


「中学1年のときに父親を病気で亡くした後、“いちばんつらいのは自分。この気持ちは誰にもわからない”と周囲をシャットアウトしてしまい、学校にも行かなくなって。そのときに支えてくれたのは、幼なじみの親友と音楽。SUPER BEAVER、UVERworld、ONE OK ROCKの曲に背中を押してもらってました。中3から少しずつ学校に行きはじめたんですけど、とにかく人と関わりたくなくて、登下校時も授業中もずっと音楽を聴いてましたね」


 音楽に救われた彼女は、「自分も音楽を発信する人になりたい」という夢を抱くようになる。その根底にあるのは、父親との思い出だ。



「小さい頃からユニコーンやプリンセスプリンセスのCDを聴かせてくれて。亡くなって肉体はなくなったけど、曲を聴くと“あんなこと話してたな”って思い出すんです。音楽には思い出を蘇らせたり、日常に彩りを与えてくれる。私も音楽を通して、誰かの人生に寄り添いたいと思うようになりました」


■就学支援金とアルバイトで高校へ


 音楽の道を志した彼女が選んだ進学先は、芸術系の高校。就学支援金を利用し、バイトに明け暮れる高校生活だったという。


「夢を叶えるために芸術系の私立高校に行きたかったんですけど、実家が裕福ではないので、就学支援金を利用しました。母親は海外の人で、日本語がわからないところもあるので、学校とのやりとりも全部自分でやったんですよ。高校に入学してすぐ、飲食店でバイトをはじめて、朝に仕込みをやって、学校行って、放課後はまたバイトという生活でしたね」


「バイトで忙しかったし、好きなバンドのライブにも行ってたので、そんなに勉強してないかも(笑)」というアンジェリーナ1/3さん。自分で学費を払う大変な高校生活を送ったわけだが、「他の人をうらやましいと思ったことはないですね」という。


「誰かと比べてお金が増えるわけでもないし(笑)、小さい頃から“ウチは裕福じゃないから、しょうがない”って受け入れてました。父、母、祖母にすごく大切に育ててもらったし、不登校だったときも“家でやれることを探せばいい”と言ってくれて。お金はなかったし、ドラマみたいな理想の家族の形ではないけど、私にとってはすごくいい家庭環境でした」


■デビューのきっかけは文化祭


 ロックバンド“Gacharic Spin”にマイクパフォーマーとして加入したきっかけは、文化祭の弾き語りライブをリーダーのF チョッパー KOGAがたまたま見て、オーディションに誘ったこと。初ライブは都内の有名ライブハウスLIQUIDROOMだった。


「オーディションで“LIQUIDROOMのステージに立つのが夢です”と言ったくらい、憧れの会場。最初のライブでいきなり叶っちゃいました(笑)。ステージの上で、号泣しちゃったんですよ、私。それまでは自分の感情をあまり出さなくて、イヤなことがあっても何となく笑って、“しょうがないよね”っていうタイプだったんです。でも、全力で表現しているメンバーを見て、“全部出さないと、何も伝えられない”と思って。生まれて初めて、自分に正直になれた瞬間かもしれないですね。親友にも“あんなに泣いているアンジーは初めて見た”と言われました」



 “アンジェリーナ1/3”という名前は、日本人の父、フィリピンとスペインのハーフの母を持つ彼女自身のルーツに由来する。“アンジェリーナ”は海外ネームの本名で、“1/3”は日本、フィリピン、スペインの血が1/3ずつ入ってるという意味だ。


「この名前を付けてくれたのはメンバーなんですけど、みなさんに興味を持ってもらえるし、よかったなって思ってます(笑)。小学生の頃はハーフであることをからかわれたりしたけど、当時から“そんなこと言うなんて、しょうもないヤツだな”と思ってました。誰かを否定する言葉って、その人の世界の狭さ、想像力のなさが原因じゃないかなって。それは今も変わらないですね」


■ラジオやTVでも話題に


“サンジャポ”への出演、そして、9月末からパーソナリティをつとめる「A世代!ラジオ」(文化放送)がスタートするなど、活動の場を広げている彼女。20歳女子の日常から人種差別の問題まで幅広い話題を網羅する抜群のトーク力は、人気講談師の神田伯山からも一目置かれるほど。


「大した才能もないし、まだまだ未熟なんですけど、人の縁には本当に恵まれていて。バンドもラジオもそうですけど、“これをやりたい”と強く思っていると、必ず叶えてくれる人と出会えるんですよ。どうして皆さんが気にかけてくれるのか自分ではまったくわからないんですけど、もしかしたら人徳があるのかも(笑)。もちろん、メンバーの存在も大きいです。“声で表現できることは全部やれ”と言われてるし、私の活動は全部、Gacharic Spinのおかげなので」


 彼女が作詞したGacharic Spinの楽曲「I wish I」には、<こうやって辛くたって僕ら/生きていくんだ 信じてこの時代を/世界はとても美しい>というフレーズがある。中1で父を亡くし、経済的なハンディを負いながらも、持ち前の前向きさで夢や目標に突き進むアンジェリーナ1/3。彼女が新世代の発信者として注目を集めているのは、マイナスな環境を突破し、運命を引き寄せる強さがあるからだろう。


「まだ20年しか生きてないので偉そうなことは言えないですけど、いろんな経験をしているからこそ発信できることもあるのかなって。ただ、“自分の思いがそのまま伝わることなんて、絶対にない”とも思っていて。誤解されることもあるし、心のない言葉が目に入ることもあるけど、“なにくそ!”と思ってやってます。これから何ができるかわからないけど、私の活動を見たり聞いたりしてくれた方が、“自分もやってみよう”と思ってくれたらうれしいですね」


(森朋之)


アンジェリーナ1/3(あんじぇりーなさんぶんのいち)/ミュージシャン。6人組バンド、Gacharic Spin(ガチャリックスピン)のマイクパフォーマーを担当。ラジオ『アンジェリーナ1/3のA世代!ラジオ』(文化放送)のパーソナリティをつとめるなど多方面で活躍中。


2023年2月23日(木祝)には、LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)でワンマンライブを開催。


【Gacharic SpinのHP】https://www.gacharicspin.com/









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