「子供は作らない」父親と同じ遺伝性疾患を発症した男性が苦渋の決断(英)

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2022年12月21日 05:11  Techinsight Japan

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父親と同じ病気になってしまった26歳の男性(画像は『Daily Record 2022年12月12日付「Man vows to not have children after discovering he has hidden disease which killed his dad」(Image: Adam Bowes)』のスクリーンショット)
難病の多くを占めるという遺伝性疾患だが、このほどイギリスのある男性が父親と同じ病気を発症してしまった。しかもその遺伝性疾患は50%の確率で子供に受け継がれると言われており、男性は子供を作ることを諦めることにしたという。『Liverpool Echo』などが伝えている。

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英チェシャー州出身のアダム・ボウズさん(Adam Bowes、26)が抱えている遺伝性疾患について今月11日、英メディア『Liverpool Echo』が伝えたところ、関心を集めることとなった。アダムさんは2019年12月に父親のアンディさん(Andy)を遺伝性疾患「ハンチントン病」で亡くしている。

そしてアダムさんも、21歳の時に同じ病気を発症していることが判明した。ハンチントン病とは、筋肉の動きを滑らかにする働きをしている脳の一部に変性が起こる病気で、動作がぎこちなくなって協調運動が難しくなることに加え、自制や記憶などの精神機能も低下し、発症してからの余命は長くて20年と言われている。

また医学事典『MSDマニュアル』のウェブサイトによると、両親のどちらかがハンチントン病を患っている場合、その片方の親から異常な遺伝子を1つでも受け継ぐと発症してしまうという。そのためハンチントン病を患う親の子供は50%の確率でこの病気を発症するそうだ。アダムさんは自分の子供が病気を受け継ぐことを恐れて「子供は作らない」と心に誓ったのだ。

アダムさんの父親アンディさんがハンチントン病と診断されたのは、2001年のことだった。航空機を設計していたアンディさんは病状が悪化して、仕事を辞めざるを得なかった。また脳が正常に機能しなくなったせいで攻撃的な行動を取るようになり、ついには息子のアダムさんにまで暴力を振るいそうになった。

のちにアンディさんは介護施設に入所したが、施設を2度も脱走し警察沙汰を起こすこともあった。その時アンディさんの行動を見た警察は、彼が病気ではなく「泥酔している」と思ったそうだ。

そして「余命15年」と宣告されたアンディさんは19年間生き続け、2019年に50歳でこの世を去った。そんな父親の闘病生活を目の当たりにしてきたアダムさんは、自分が同じ病気だと診断された時に「爆弾を落とされた気分だった」と明かしている。

アダムさんは病気発覚から2年後の23歳の時に、関節の強張りなどに加えうつ病を発症し、他人との協調性を保てなくなり認知機能に問題が生じてきた。幸いだったのはアダムさんを支援する団体に彼と同年代の人が多く、孤立しがちな病気にもかかわらず「自分はひとりじゃない」と感じることができたことだった。

そんなアダムさんはハンチントン病についてもっと多くの人に知ってもらうため、「自分の病気について話せるうちに話しておこうと思う」と明かしている。またアダムさんの家族は「それはまるでパーキンソン病、運動ニューロン疾患と認知症が1つになったような病気だ」と表現しており、ハンチントン病の患者は周りから泥酔者や単に不適切な振る舞いをする人と見られてしまうことが多いため、アダムさんと共にこの病気について「正しい認識を広めていかなければならない」と語った。


世の中には「長くは生きられない」と言われる難病を抱える人もいるが、アメリカに住む身長68センチの男性は4歳の時に「すぐに死んでしまう」と医師に言われるも、大学院を卒業し無事に24歳の誕生日を迎えたことで多くの人に感動を与えていた。

画像は『Daily Record 2022年12月12日付「Man vows to not have children after discovering he has hidden disease which killed his dad」(Image: Adam Bowes)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 MasumiMaher)

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